FB Tweet はてぶ RSS
ニューヨークのイマを知る情報サイト

米国でも飲める世界に認められた常陸野ネストビール

創業193年。老舗の酒蔵が造りだすクラフトビール

 

white-ale

フクロウのロゴが印象的な「常陸野ネストビール」を製造するのは、茨城県那珂市に本社を置く木内酒造。その創業は1823年、江戸時代にまでさかのぼる。当時、常陸国那珂郡鴻巣村で庄屋を営んでいた木内義兵衛は、年貢米の余りを蔵にしまっておくより酒に加工し販売した方がよりもうかると考え、酒造りを始めたという。

 

木内酒造店舗正面

木内酒造店舗正面

現在の社長、木内造酒夫氏が家業を継承したのは1950(昭和25)年。終戦後で物資不足の時代、当時、アルコールや砂糖を加えるコストの安い清酒が大量に造られるなか、原料、品質にこだわり、本物の醸造を続けてきた。

日本では酒税法改正により1995年にビールの小規模醸造が解禁。全国的な「地ビール」ブームが起こった。その中で木内酒造は「茨城でしか飲めない味わいのあるビール造り」を目標とし、欧米に倣った高品質のビール造りを目指した。

設備は度重なる交渉の末、カナダDME社から購入、米国からブルワーを招き技術指導を受け、醸造開始1年後の96年には、大阪で開催された「インターナショナルビアサミット」で「アンバーエール」が金賞を受賞した。

その後も国内外のコンテストで受賞を重ね、2000年には米国への輸出を開始。02年にはビール業界のオスカー賞ともいわれる「The Brewing Industry International Awards」で「ホワイトエール」が総合チャンピオンを受賞し世界一に輝いた。

 

地図

 

世界で認められる味わい
「日本らしいビール」造りへ

ビール製造長の谷幸治氏。ビールはブラッシュアップを繰り返し、より洗練された味わいを提供している

ビール製造長の谷幸治氏。ビールはブラッシュアップを繰り返し、より洗練された味わいを提供している

「ビール醸造を開始した当初は、ヨーロッパのビールをまねる事から始めました。しかし、あるインポーターから〝日本らしいビールを造ってくれ〟と言われたことが大きな転機でした。そこから、国産原料にこだわったオリジナルのビール造りが始まったんです」(ビール製造長の谷幸治氏)

そうして開発された、古代米を用いた「赤米エール」は赤い色をしたベリー系の香りのビールになり、海外で大評判に。

また、「茨城県那珂市でこそ造れるビールを造りたい」という思いから誕生したのが「ニッポニア」。

「常陸野ネストビール」を醸造する額田醸造所。2015年に工場を増設。年間3000キロリットルの生産体制が整った

「常陸野ネストビール」を醸造する額田醸造所。2015年に工場を増設。年間3000キロリットルの生産体制が整った

かつてビール麦の生産地であった本社のある那珂市は後継者不足などの理由から耕作放棄地が増えていたが、木内酒造は若手農業後継者たちが立ち上げた農事法人組合「那珂アグリス」と契約を結び、そばの裏作としてビール麦の栽培を依頼。日本で最初に造られたビール麦の原種「金子ゴールデン」を復活栽培し、同じく日本で開発された、華やかで柑橘(かんきつ)系の芳香を持つホップ「ソラチエース」を使用した、まさに日本オリジナルのクラフトビール「ニッポニア」を造り上げた。

現在、木内酒造では契約農家が栽培するビール用の大麦を年間約28トン、小麦を18トン買い上げている。「製造までのコストを比較すると、海外から麦芽を仕入れるのに比べ約3倍かかります。しかしわれわれが地元の麦を使い続けるのは、〝日本のビール〟を造りたいという強い思いからです」(谷氏)

新たな取り組み
ウイスキー蒸留への思い

赤銅色に輝くハイブリット型ポットスチル

赤銅色に輝くハイブリット型ポットスチル

ビール醸造開始から21年。「常陸野ネストビール」は世界でその味わいを認められ、現在では年間生産量の約50%以上が米国、欧州をはじめ、世界33カ国以上へ輸出されている。

15年には、増える国内外の需要に応えるためビール工場を増設。年間3000キロリットルを生産する体制が出来上がった。同時に、ウイスキー蒸留用のポットスチルを新設。

地元のビール麦を使ったビール造りにおいて、従来は廃棄せざるをえなかった、タンパク質が少なかったり、でんぷんが多すぎたりするビール麦をウイスキーの製造に用いることができる。数年後には熟成期間を経て木内酒造ならではのブレンデッドウイスキーが誕生する予定だ。

 

那珂市で栽培するビール麦「金子ゴールデン」と日本で開発されたホップ「ソラチエース」を用いて醸造した「ニッポニア」

那珂市で栽培するビール麦「金子ゴールデン」と日本で開発されたホップ「ソラチエース」を用いて醸造した「ニッポニア」

「常陸野ネストビール」◎情報
木内酒造合資会社
〒311-0133 茨城県那珂市鴻巣1257

Kiuchi Brewery
1257 Kounosu, Naka-shi, Ibaraki-ken 311-0133 JAPAN

【電話】+81-029-2980105
【FAX】+81-29-2954580
【ウェブ】www.kodawari.cc

(2016年8月20日号掲載)


ページのトップへ