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インタビュー 渡辺直美

芸人のくせに、じゃなくて、芸人だからこそ、NY公演を実現させたかった

「ガチ!」BOUT. 249

 

渡辺直美

 

2016年にデビュー10周年を迎えた、日本を代表するコメディアンヌ、渡辺直美さん。昨年、自身初となるワールドツアーを実施。14年に留学した思い出の地、ニューヨークを皮切りに、ロサンゼルス、台北(台湾)を回った。得意とする、ビヨンセやレディー・ガガの完全コピーで、ニューヨーカーたちを爆笑の渦に叩きこんだ。ライブ直前の緊張感漂うなか、これから目指す活動の行方についてなど、お話を伺った。 (聞き手・高橋克明)

世界の舞台に立つことで、日本で大きく活躍したい

いよいよ後数分で、初のニューヨーク公演が始まります。今のお気持ちは。

渡辺 (この街では)まだ新人ですからねー。本当は100人くらいのキャパでやりたいって言ったんですよ。みんなから「それはさすがに」って言われて、で200人にしたんですよ。それもスグ売れちゃって。

発売と同時に完売でした。

渡辺 それじゃあ、追加しよっかってなって。もう100枚。

それも追加と同時に即完売で。

渡辺 なので下(の会場小ホール)から上(の大ホール)に。たまたま(日程が)空いてたので。

この街の日本人のイベントで、ここまでチケットが飛ぶように売れたのは初めてだと思います。僕の周囲でも「チケット手に入らないか」と話題になっていました。

渡辺 ありがたいですね〜。

次回はもっと大きな会場で。

渡辺 ぜひとも。そっちの方がダンスも踊りやすいし。ただ大きすぎると、今回もやっぱりタッパ(身長)が低いんで(客席の)後ろの方の人まで見えないってことで、結構ギリギリまでもめて(ステージをせり)上げられるようになったんですけれど。

 

レディ・ガガのヒット曲「テレフォン」を口パクで“熱唱”

レディ・ガガのヒット曲「テレフォン」を口パクで“熱唱”

 

今回のワールドツアー開催のきっかけは何だったのでしょうか。

渡辺 今年が(デビュー)10年目ってことで、これをきっかけにワールドツアーをやりましょうってことになったんですけど、よしもと(クリエイティブ・エージェンシー)的にもこんなツアーをやるのが初めてみたいで、結構あたふたしてはいたんですけれど、強力な友達とかも連れてきて、なんとか実現までこぎ着けましたね。

一昨年(2014年)のこちらでの留学は、その後の芸人生活にも影響はありましたか。

渡辺 そうですねー、留学中はいろいろと勉強になりました。日本とアメリカの文化はやっぱり全然違うので、そのあたりを学んで日本に帰ったんですけれど、その後の2〜3年でも結構、海外に行く機会が増えまして、アメリカでもロケでネタをやらせていただくことも何回かあったんですよ。その時も「どうすればアメリカ人に笑いが伝わるだろう」っていうことをいろいろ考えたりして。

「渡辺直美」を知らない人を笑わせなきゃいけない。

渡辺 その人たちにどうやって自分を伝えればいいかっていうことにすごく苦労しましたね。ただ、今までは(アタシのことを)誰も知らないアメリカ人のお客さんの前でネタをやることが多かったんですけれど、今日は日本人のお客さんも多いし、アタシのことを知ってる方と、知らない方が交ざってる前でやるわけで、逆にそこは、ちょっと余計に難しいかなって思います。

日米両国で人を笑わせていく中で、違いは感じますか。

渡辺 例えば、日本で(ステージ上から客席に)冗談で「もう帰っていいよ」みたいなノリ。これって、意外とアメリカの方には伝わらなかったりして(笑)。「えっ…!」ってショック受けちゃったりとか。でも、そのわりには「おまえダメだなー」って(意味の)「you suck !」とか言うとめちゃくちゃウケたり。どうすればいいの? って(笑)。強いコメントの具合が分かんないですね。この強いコメントだとウケる。この強いコメントだと引いちゃう、みたいな。そこはいまだに分かんないかもしんないです。

外国人にとって、言葉のニュアンスは難しいですね。

渡辺 今日マシュマロキャッチやるんですね(笑)。で、さっきリハーサルで、実際にアメリカ人のスタッフをステージに上げて(マシュマロを)投げるのがヘタだったので「you suck !」って言ったんですよ。そしたらそれがめっっちゃウケたの。(笑)

(笑)

渡辺 その後、フリートークで「なんだこのデブ女ー、もう帰りたいよーって思ってる人、手を上げて〜♪」って言って、うれしそうに手を上げてるアメリカ人に「じゃ、帰ってくださ〜い♪」って言ったら、その人「え…え…、どういうこと?」みたいに傷ついちゃって(笑)。ちょっと難しいですね。なので、今日はそのあたりの加減を見ながら、やっていきたいな、と。なんてったって初めてですから。

やっぱり日本との違いも若干ではあれ、あるんですね。

渡辺 あと、一番分からないのは、顔芸(笑)。顔でふざけてやるじゃないですか、アタシ。

ビヨンセの時とか。

渡辺 そう。その時は(アメリカ人が)どういう感情で見てんのかなって。

あれは万国共通で面白いと思います。笑うんじゃないですかね。

渡辺 え、でも「ビヨンセ、そんな顔しねえじゃん」とは思わないですか?

思います。だって、ビヨンセ、そんな顔しないですから。(笑)

渡辺 わはは。ってことは「そんな顔しないよ〜!」って笑いですか。

だと思います。

渡辺 冷たい感じで「そんな顔しないよ、フンっ!」って感じではない?

ではないと思います。だって……ビヨンセ、あんな面白い顔できないですから。(笑)

渡辺 じゃ、よかった(笑)。だから、そういうのは考えましたね、今回。

今回のワールドツアーをきっかけに、今後、お笑いでの「世界進出」ということに興味はありますか。

渡辺 うーん…もともと自分が留学した理由の一つに、日本でもっといろいろな仕事がしたいっていうのがあったんですよね。海外で力をつけて、日本に帰った時に、もっと仕事の幅が広がるかなって。それが一番最初の理由だったんですよ。

なるほど。

渡辺 今回のワールドツアーも、それをやることによって、もっと太くなって日本に帰ってやろうというのが一番の目的なんですね。世界で活躍したい!ってことが目的じゃなくて、世界の舞台に立つことによって日本にアピールできたらいいなって。日本で大きくなる、その延長線上に海外での活躍っていうのがある感じですね。それがアタシの夢っていうか。

でも、直美さんは日本の芸能界では確固たるポジションが既にあると思うのですが。

渡辺 でもねぇ…やっぱりまだまだ認めてくれないんですよねぇ。なんでかっていうと王道を走ってないんですよ、アタシ。誰が決めたのか、芸人にとってこれが「王道」って言われている道があって。「これは芸人(のすること)じゃないよね」とか。アタシが今やってることって、芸人じゃないって言われてるんですよ、日本で。あとは「芸人のくせに」とか。例えば「芸人のくせに、なんでKREVAさんの武道館ライブに出てるの?」とか。

芸人だから、こうあるべきだ、とカテゴライズされちゃう。

渡辺 でも、アタシはなんで? って思っちゃうんですよ。漫才とコントとひな壇だけが芸人なのかなって。そこから広げてもっと幅広い場所で、芸人としても仕事ができるんじゃないかなって。今日(のステージ)も、ワールドツアー(自体)も、アタシとしては“芸人としての一つのパフォーマンス”なんですね。一部の人は「え? 芸人のくせになんでワールドツアーなの?」って言う人もいるけど、逆に芸人というのは「こういう道もあるんだよ」というのを示したいというか。体を使った、こういう一つのジャンルを作りたいなって(いう気持ちは)すごくありますね。芸人のくせに、じゃなくて、芸人だからこそ、こういうステージもできるんじゃないかなって、アタシは思うんですね。

ニューヨークでステージをやる意味が非常に伝わってきました。会社の方針というより、直美さんご自身がやりたいと思って始めたツアーなわけですね。

渡辺 (周囲の)みんなを無理矢理ひっぱり出しました(笑)。でも最初、会社的には腰が重かった。でも、マネジャーが代わって、そこからすごく前向きに考えてくれて、すごく協力してくれて。でも(ステージ上に関しては)全部、自分で決めなきゃいけなかったですから。チケットの価格から、箱(会場)から、曲(の選曲)もダンサー(の選考)も。もちろん全てに担当の人はいるんですけれど、全てアタシに「これどれにしますか?」「これどうすればいいですか?」って来るので、この2カ月はめちゃくちゃつらかったですね。

日本のテレビのお仕事だと、ないことですよね。

渡辺 ないですね。ネタを考えるのは(日本でも)一緒じゃないですか。でも、今回は照明のことまで考えなきゃいけない。これはアタシの単独ライブだから。

今日は現地のニューヨーカーも、日本人もたくさん来場します。何を感じてほしいでしょうか。

渡辺 一番は、こんな明るい太ったアジア人もいるんだよっていうことですね。日本人のすてきなところって(既に)十分(アメリカの方に)伝わってると思うんですよ。時間を守るとか、几帳面さとか、親切なところとか。なので、日本人でもこういうヘンなことする人っているんだっていう。だからといって、ヘンすぎない(笑)。ちょうどいいヘンな人(笑)。そういう日本人もいるんだよーってアピールできたらいいなって思いますね。プラス、来てくれた人みんなが楽しんでくれたら、もうそれだけでいいです! はい。

ニューヨークに来たら、必ず行く場所はありますか。

渡辺 「Hakata Tonton」っていう、もつ鍋屋さんは絶対に行きますね。

今回はどちらに行かれる予定ですか。

渡辺 「がりのすし(Sushi of Gari)」とか。「大戸屋」とか。

食べ物屋さんばっか。(笑)

渡辺 あはは。だって、2週間前までイタリアにいて、ずっとピザ食ってたんで、もう日本食以外食べたくないんです、ホントに。さっき(差し入れの)おにぎり渡されて、カッピカピだったんですけど、めちゃくちゃうめえ!!と思いましたもん、わはは。

最後にニューヨークにいる日本人にメッセージをお願いします。

渡辺 今、日本の若い世代の人たちの中には「え? ニューヨークになんか住んでるの? ウザくない?」とか、「だからニューヨーカーって嫌なんだよ」みたいなこと言う人もいるんですよ。でも、そんな人たちもいざ(観光でも)ニューヨークに来てみると「住みてぇなー」とか言うんですね(笑)。「ニューヨーカー、カッコいー」みたいな。なので、住んでいるだけで本当にうらやましいなって思います。でも、ニューヨーカーって我が強いじゃないですか、みんな(笑)。それに飲み込まれずに、頑張ってほしいなって思います。アタシが言うのもなんですけれど、海外で暮らすって大変なこといっぱいあると思うんですけど、日本の心を忘れずに、たくさんのニューヨークの人たちに日本の良さを伝えてほしいなと思います。

 

会場と一体になり盛り上がったライブの模様

会場と一体になり盛り上がったライブの模様

 

〜ライブを終えて〜

アタシもすごく高ぶっちゃいました

大盛り上がりでした!

渡辺 いやぁ、お客さんのおかげで、アタシもすごく高ぶっちゃいました。ここまで盛り上がってくれるなんて!

お腹抱えて笑いました。

渡辺 ホントですか!? うっれしー。

またニューヨークに来てもらえますか。

渡辺 もちろんです! ぜひ!来たいです!

 

★ インタビューの舞台裏 → ameblo.jp/matenrounikki/entry-12232930864.html

 

渡辺直美(わたなべ・なおみ) 職業:タレント
1987年10月23日生まれ、茨城県出身。A型。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。東京NSC12期生。ビヨンセのものまねで一躍注目を浴び、バラエティー番組を中心に精力的に活躍中。インスタグラム(www.instagram.com/watanabenaomi703)のフォロワー数が5600万人で日本一。

 

〈インタビュアー〉
高橋克明(たかはし・よしあき)
専門学校講師の職を捨て、27歳単身あてもなくニューヨークへ。ビザとパスポートの違いも分からず、幼少期の「NYでジャーナリスト」の夢だけを胸に渡米。現在はニューヨークをベースに発刊する週刊邦字紙「NEW YORK ビズ」発行人兼インタビュアーとして、過去ハリウッドスター、スポーツ選手、俳優、アイドル、政治家など、400人を超える著名人にインタビュー。人気インタビューコーナー「ガチ!」(nybiz.nyc/gachi)担当。日本最大のメルマガポータルサイト「まぐまぐ!」で「NEW YORK摩天楼便り」絶賛連載中。

 

(2017年1月1日号掲載)


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