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ニューヨークのイマを知る情報サイト

インタビュー 由紀さおり・安田祥子

私たちの歌を次の世代につなげたい(由紀)
皆さんの思い出、心を込めて歌いたい(安田)

「ガチ!」BOUT.107

 

 

今年で25周年を迎えた由紀さおりさんと安田祥子さん姉妹の童謡コンサート。「日本の歌を伝えたい」と1986年にスタートし、日本国内のみなら ず、海外公演でも数多くのコンサートを行ってきた。先日、3度目となるニューヨークでの単独コンサートを行ったお二人にお話を伺った。(聞き手・高橋克明)

 

NYで25周年の童謡コンサート

まずは25周年、おめでとうございます。25年と一言で言っても四半世紀ですね。

安田 ねぇ(笑)、周りの方にそう言っていただいてあらためて長い間、多くの方たちに支えられて来たんだなと思います。自分たちは日々をクリアする毎日で、あっという間でしたけど、お客さんの中には「あの時お腹をなでていただいた子なんです」って、20歳くらいの男性を連れて来られる方もいらっしゃったりして。(笑)四半世紀ですから。

お二人にとっては25年という月日は短かったでしょうか。それとも長かったでしょうか。

由紀 あっという間だったし、長かったと言えば長かったし。ただ、トントン拍子の日ばかりではなかったですし、その中には20世紀から21世紀に変わる目もあったわけで。世紀末って皆さん、こう、振り向いて懐かしむ心を持つじゃないですか、そこに私たちの(20世紀の)歌がうまくシンクロしていって。

安田 でも、世紀が変わった途端、皆さん前を向くでしょう。物事の進むスピードが早くなっていって、私たちの歌が忘れ去られていってしまうんじゃないかと危機感を持った時もありました。

由紀 ただ、だからこそ、ものの豊かな時代に本当の豊さって何かしらという問い掛けみたいなものを歌にして皆さんの心に届けたいって思っているんですね。

こんな時代だからこそ。

安田 心でイメージする力が今の方はすごく弱くなってると感じるんですよ。便利になりすぎて、インターネットの映像だけを見て、そこで納得してストップしちゃっている。昔に比べて、その先に踏み込んでいくチャレンジ精神があまりにもないように思えるんです。みんな同じところにとどまって、まったりしている感じね。

由紀 その先に皆さんがもう一つ踏み込んでもらえるような、そんな音楽を届けたいんですね。 私たちは先人たちの歌を「再現芸術」として私たちの歌声で伝えていくわけですが、その歌が、またこれからの世代を担う方たちにつながればいいなという気持ちがすごく強いんですね。歌がつながっていけばいいなって。

お二人が25年間続いた秘訣(ひけつ)って何でしょう。

由紀 あー、けんかする元気なんて、もうないですね。(笑)

安田 (笑)。それぞれ自分の音楽を見つけて大人になってから始めてますので。

由紀 (世間に)求められたからでしょう。そしてお客さまがここまで背中を押してくださったということに尽きますね。

安田 聞いてくださっている方がいらっしゃったので、続けていくことができたわけですから。

カーネギーホールで歌われたこともあり、お二人にとってニューヨークは特別な街なのではと勝手に想像していたのですが。

安田 特別な街ですね。私たちが海外で最初に歌った場所がニューヨークだったので。そこでまた25周年に歌うチャンスをいただけたことは、緊張と同時に楽しみでもあります。今回はカーネギーでなく「ジャズ・アット・リンカーン・センター」(アレンルーム)ですが、(時間の経過とともに)昼と夜の景色が変わるセントラルパークを後ろに背負って歌う楽しみもありますね。

由紀 これだけいろいろな芸術が毎晩のように行われている、エキサイティングでスリリングな街でしょう。だからこそ、この街で日本語で歌うことに意味があると思っています。日本の方が安らぎを得られるような非常に懐かしいサウンドを持ってきて、母国語で聞いていただくことに意味があると思っていますね。

最後に在米の日本人にメッセージをお願い致します。

安田 25年も歌い続けることができたのは、たくさんの方々のご支持を頂いたからだと思っています。皆さんの大事な思い出がいっぱい詰まっている歌を、皆さんの前で歌えるチャンスを頂いたので、心を込めて歌わせていただきたいと思っております。姉でした。(笑)

由紀 インターネットのおかげで世界がこんなに近くなったとしても、それでもここで暮らしてらっしゃる方はいつも日本人としてのアイデンティティーを突きつけられているでしょう。そういう暮らしの中でやっぱり日本語のボキャブラリーの豊かさ、表現の妙技っていうのかしら、そういうものを忘れないでほしいですね。私たちの歌が母国語である日本語をより身近に意識させる一翼になればいいなって思ってます。もしかしたら日本にいる日本の方より、日本語の持つ美しさにもっと敏感になっていらっしゃると思うので。

由紀さおり(ゆきさおり)・安田祥子(やすださちこ)

職業:歌手/声楽家

子供のころにひばり児童合唱団に所属し、童謡歌手として活躍。大人の歌い手になるために、姉、安田祥子はクラシック界へ、妹は、由紀さおりとして芸能界でデビュー。1986年から姉妹のコンサートをスタートさせ、美しい日本の言葉が残る日本の歌の数々を、次代に歌い継ぎたいと活動を続ける。国内外での公演は2000回以上を重ね、今年25年目を迎え、ソロ活動もそれぞれに行っている。公式サイト:www.yuki-yasuda.com

 

〈インタビュアー〉
高橋克明(たかはし・よしあき)
専門学校講師の職を捨て、27歳単身あてもなくニューヨークへ。ビザとパスポートの違いも分からず、幼少期の「NYでジャーナリスト」の夢だけを胸に渡米。現在はニューヨークをベースに発刊する週刊邦字紙「NEW YORK ビズ」発行人兼インタビュアーとして、過去ハリウッドスター、スポーツ選手、俳優、アイドル、政治家など、400人を超える著名人にインタビュー。人気インタビューコーナー「ガチ!」(nybiz.nyc/gachi)担当。日本最大のメルマガポータルサイト「まぐまぐ!」で「NEW YORK摩天楼便り」絶賛連載中。

 

(2011年12月10日号掲載)


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