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インタビュー 佐藤有香(1)

五輪後にエンターテイナーとして挑戦

「ガチ!」BOUT.48

 

現在、アメリカを代表するアイスショー「スマッカーズ スターズ・オン・アイス」の全米ツアーに出演中のフィギュアスケーター、佐藤有香さん。 世界大会やオリンピックでメダルを獲得した選手のみが出演できるショーに7年連続出場している佐藤さんに、アメリカでのフィギュアスケーターとしての活 動、 今月末のニュージャージーとニューヨークでの公演についてお話を伺った。(聞き手・高橋克明)

 

「スターズ・オン・アイス」全米ツアーに出演
27日NY、28日NJで公演 

今回で7シーズン目という事なんですが、やはり有香さんにとって「スターズ・オン・アイス」は特別なものですか?

佐藤  はい! この「スターズ・オン・アイス」にあこがれて、子どものころから頑張ってきましたから。

あ、そうなんですか。(笑)

佐藤  現役の時もこのショーに早く出たいなあと思ってましたので(笑)。10歳くらいの時だったかな、当時サクラメントにいた友だちに送ってもらったビデオがきっかけでしたね。

アメリカに来たきっかけにもなっているというか…。

佐藤  (食い気味で)もちろん! その時からすでに私の最終的な夢というか目標になってましたね。

ではこの7年間はすごいハッピーな気持ちだったわけですね。

佐藤  それはもう。滑る事も、演技する事も、いろいろな所に(公演で)行く事も大好きなので、すごく楽しいです。もちろん、実際に実現してみるとスケジュール調整や体調管理とか毎晩続くのですごく大変ですけど。(笑)

アメリカでの公演と日本での公演、気持ちの中で違いはありますか。

佐藤  違いますね。日本で演技するのは、すごく楽しみにしている反面やはり、めったに帰らない日本だけにちょっと緊張します(笑)。なんか、こうタイトな感じっていうのかな。

(日本での)滞在期間もそんなに長くないんですよね。

佐藤  そうですね。去年は3週間くらいだったと思います。今年は、2週間くらいかな。

全米を移動する中、体調管理だけでも大変だと思いますが。

佐藤  何か不思議なもので、一人が体調を壊すとメンバーが次々に同じ症状で具合が悪くなっていくんです(笑)。特に風邪のシーズンなんか気をつけなきゃいけないですよね。代役とかがいるわけじゃないですから。

ブロードウエイのミュージカルと違って出演者の名前で観客を呼んでいるところもありますもんね。休みに休めない。

佐藤  先シーズン、1回、ツアー中にぶっ倒れて丸一日、脱水症状になっちゃったんですよ。ショーが始まるそのときまで体中が痛くて何も食べられない、水も飲めない状態だったんですね。でもアリーナに入った後はもう代わりもいないですから。(公演後の)移動中はバスの中でずーっと寝てました。

そんな思いまでしてなったプロスケーターをやめたいと思った瞬間はありますか。

佐藤  何度もあります。でも基本的には、やっぱりスケートが自分にとって一番好きな事だし、それを仕事としてやっていけるのなら、これ以上うれしい事はないし、何よりまだまだこれから自分でスケーターとして、エンターテイナーとして成長できるなと信じることができるので。だから今までも、やってこれたし、これからもやっていけるんだと思います。

特に今は「スターズ・オン・アイス」のスターでもあります。

佐藤  そうですね。アメリカってやっぱりエンターテイインメントの最先端だと信じていますので、そのど真ん中で、これだけ日々勉強できるのはどれだけ幸せなことか、いい経験させてもらってます。

共演者もスゴい顔ぶれです。

佐藤  はい。今のメンバーは本当の家族のように仲良しですね。ライバル意識よりもみんなでこのショーを良くしていこうっていう気持ちの方が強いです。お互いを支え合ってショーのレベルを落としたくないっていう、プライドはみんなすごく高いと思いますね。

やり抜いてる人たちの横顔って美しい

 

「スターズ・オン・アイス」の魅力を一言でいうとなんでしょうか。

佐藤  グループナンバーとしてレベルの高いものを私たちはやっています。で、それができるのはやはり個人的にそこまで成功してきたチャンピオンたちだからこそだと思っています。特に今シーズンはもっとスケートの根本に戻り、スピード感とエッジワークっていうものを強調したいと思ってるんですね。オリンピックを終えた後にも、新たにエンターテイナーとして挑戦していく。それはとても大変な事ですけど、やり抜いてる人たちの横顔ってすごく美しいし、その美しさにかなうもんはないんだって事を表現したいと思っています。

在米10年、ホームシックになることはありませんか。

佐藤  今はもうないですね。たまに(日本に)帰国した時には、やっぱりショッピングとかレストランとかいいなあとは思いますけど。でも実際に自分の家はもうこちらになってしまっているので。逆に日本に行った時にホームシックになって(こっちに)帰りたいなと思います。慣れるまで時間かかりましたけど。

最後に読者にメッセージをお願いします。

佐藤  私も拠点を日本からアメリカに移して生活していまして、皆さんに少しでも親近感を感じてもらえるかなって思っています。そんな人たちがたまにホームシックになったりした時に、それを乗り越えていけるように少しでも元気づけられるような活動ができたらなと思っています。

一番厳しいアメリカのエンターテインメント業界で活躍している、有香さんの言葉は読者にとってもいい刺激になると思います。

佐藤  その国その国、その都市その都市の生活環境っていい所も悪い所もあると思うのでガッカリしないで(笑)、頑張ってほしいと思いますね。

◎インタビューを終えて 印象に残ったのは何度も彼女の口から「信じてます」「信じる事にしてるんです」という 言葉が出てきた事です。まっすぐな目で照れる事も無く、その言葉を使う彼女はリンク上、同様輝いていました。やはり一流のアスリート、パフォーマー、エン ターテイナーは業界問わず、まず自身を信じる事からなのだなと思いました。インタビューが終わるころにはすっかり彼女のファンになっていました。

佐藤有香(さとう ゆか)

職業:フィギュアスケーター

東京出身。アマチュア選手時代から多くの記録を収め、冬季オリンピック(1992年、94年)に2度出場、世界ジュニア選手権(90年)と世界選手権(94年)で優勝。プロに転向後、世界プロフェッショナル選手権(95年)で3度優勝するなど、輝かしい成績を数多く残している。アメリカでのイベントやカナダ、日本、フランスで行われた試合にも参加。99年にペアを組むジェイソン・ダンジェンと結婚、以後ミシガン州ウォーターフォードに在住。2006トリノ冬季オリンピックでは、日本のテレビ解説者として活躍した。

■「スターズ・オン・アイス」公式サイト:www.starsonice.com

 

〈インタビュアー〉
高橋克明(たかはし・よしあき)
専門学校講師の職を捨て、27歳単身あてもなくニューヨークへ。ビザとパスポートの違いも分からず、幼少期の「NYでジャーナリスト」の夢だけを胸に渡米。現在はニューヨークをベースに発刊する週刊邦字紙「NEW YORK ビズ」発行人兼インタビュアーとして、過去ハリウッドスター、スポーツ選手、俳優、アイドル、政治家など、400人を超える著名人にインタビュー。人気インタビューコーナー「ガチ!」(nybiz.nyc/gachi)担当。日本最大のメルマガポータルサイト「まぐまぐ!」で「NEW YORK摩天楼便り」絶賛連載中。

 

(2009年3月14日号掲載)


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