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インタビュー ボビー・バレンタイン

MLB、NPBは全くの別物

「ガチ!」BOUT.91

 

"Bobby" Valentine
世界でただ一人、ワールドシリーズと日本シリーズに監督として出場。野球ファンにとっては今も特別な存在であり続けるボビー・バレンタイン監督。現在の活動、今後の夢、そして野球という国民的スポーツの日米間の違いについて熱く語ってもらった。(聞き手・高橋克明)

 

今だから語る野球論

今日お時間を取っていただいたのは、監督の現在の活動を知りたい日本のファンも多いと思いまして。

バレンタイン Japanese people still care ネ、ドウモ、アリガトゴゼーマス(日本語で)。今は(世界最大のスポーツネットワーク)ESPNチャンネルで4年間契約のもと、メーンコメンテーターをやらせてもらっているよ。毎日働くわけじゃないけど、30チーム全ての戦力を分析しなきゃいけないから監督時代より大変ではあるんだけどね。(笑)

先々月は、JAA(ニューヨーク日系人会)のレセプションパーティーにゲストスピーカーとして招待されました。(インタビュー収録日は昨年11月17日)

バレンタイン たくさんの日本の方とお話しする機会が持てて、とても素晴らしい時間だったよ。でも、実はその日はもう一つのパーティーと掛け持ちだったのでドタバタして忙しかったことばかり覚えている。2000年のワールドシリーズの10周年パーティーもあってね、ジョー(・トーリ)やデレク(・ジーター)も出席していて、忘れられない夜だったよ。

ヤンキース対メッツの「サブウェーシリーズ」ですね。その後、2度目のロッテ監督時代が始まり、一昨年退任されてから1年以上が経ちました。

バレンタイン 千葉ロッテ・マリーンズの監督として日本で過ごした時間はとても貴重な6年間だったよ。自分の人生においても素晴らしい経験だったと言えるね。日本の文化に触れ、多くの友人ができて、コミュニティーにも関わる事ができたんだ。実は今週末にも日本に行く予定なんだよ。

今週末ですか!

バレンタイン ロッテが日本一になったから、その優勝パレードに参加するためにね。あとは日本のバスケットボールチーム(東京アパッチ)のオーナーになった友人からも結成パーティーに招待されたんだよ。

またダブルブッキングですね。(笑)

バレンタイン もう一つ。アマチュアベースボールチームを作った友人もいてね。そこにもサポートするために顔を出すよ。

大忙しですが、日本に行くと必ず立ち寄る場所はありますか。

バレンタイン (即答)温泉! 必ずカントウ・エリアの温泉には足を運ぶよ。若さの秘訣(ひけつ)かな。(笑)

確かにお若いですよね。(現在60歳)

バレンタイン この歳になっても日課のワークアウトは欠かさないようにしているからね。日本にいた時にファンからプレゼントされたマウンテンバイクを毎日2時間は乗るようにしているよ。

監督はワールドシリーズと日本シリーズを戦った世界で唯一の監督です。今まで嫌というほどされてきた質問だと思うのですが、日米間のベースボールの違いとはひと言で言ってなんでしょう。

バレンタイン 確かに数えきれないほど聞かれた質問だね(笑)。うーん、ひと言で言うとするなら、野球とベースボールは一緒だけどプロ野球とメジャーリーグは全然違うもの、ということだね。

はあ。

バレンタイン いいかい、ベースボールはベースボール、結局は同じスポーツなんだよ。選手は同じルールで同じように試合をしている。でもビジネスが違うんだ。野球をビジネスから見たとき、二つの違いはそれこそひと言では言い表せないほどの違いがある。NPB(Nippon Professional Baseball)とMLB(Major League Baseball)は全く別物、別のビジネスモデルと言っていいほどにね。

どちらがお好きでしょう。

バレンタイン MLBだね。 ビジネスとして考えるなら断然、MLBのモデルのほうがスマートだよ。

競技自体というよりあくまでビジネスモデルとして、ということですよね。

バレンタイン なぜなら利益を生むためのプロフェッショナルなスポーツとして、MLBはしっかりと組織化されている。日本の野球はそういった意味では少し遅れていると言わざるを得ないね。

なるほど。

バレンタイン それは非常にもったいないことだよ。何より日本人にとっての野球はアメリカ人にとってのベースボールよりずっと生活に浸透している。国技と言っていいんじゃないかな。アメリカではベースボールの位置づけはスポーツ全体の中であくまで2番目か3番目。

日本においての野球の位置づけはいまだに1番目ですもんね。

バレンタイン そう。だからこそ球場の中でも外でも経済的に成功することが必要になってきている。よい選手を育てて、維持することは良い試合を行うことにもつながる。例えば西岡(剛)選手が来季メジャーリーグに挑戦することが決定したよね。そうすることで千葉ロッテは多額のお金を得ることができた。でもファンにとって、果たしてそれが一番いいことだったのだろうか。西岡を残留させることの方が、長い目で見たとき千葉ロッテにとってももっと儲けることができたのかもしれない。全てのチームが選手を日本にとどめる努力をするべきだと思うね。

でも、日本の選手がメジャーに通用するか見てみたい気持ちもあります。

バレンタイン 通用するかって? 選手のレベルはとっくの昔にメジャーのそれと同じだよ。NOMOやICHIRO、そしてWBCの結果を見れば僕が説明する必要もないほどにね。それよりもチームの成功をファンと一緒に作り上げていくこと。それが日本のプロ野球にとっての重要課題なんだよ。

非常に興味深いお話です。確かにチームが魅力的なら選手もファンも離れないですね。

バレンタイン 野球というスポーツは勝つことだけが全てじゃないんだ。ファンにどれだけの時間と情熱をかけ、チームを応援させることができるか。彼らがチケットを買い、グッズを買う。彼らのエネルギーとサポートが全てにかけて必要なスポーツなんだよ。だからこそ球団も選手たちも、ファンを納得させる強い野球をする必要がある。それが、NPBには欠けているように思えるね。

監督はメッツや千葉ロッテマリーンズを指揮して活躍されました。ということは、ヤンキースやジャイアンツはお嫌いですか。(笑)

バレンタイン 僕は小さい時、ヤンキースのファンだったんだよ。(笑)コネチカット生まれだしね。当時、メッツはそんなにメジャーじゃなかったからね。

今の日本人メジャーリーガーについてはどのような感想を持っていますか。

バレンタイン 全員が素晴らしいプレーヤーであることは間違いないね。ただ、今は、選手個人のタレントについては簡単に何かを言える立場ではなく、言ってはいけないと思っている。(ESPNの)メーンコメンテーターとして十分すぎるほどのギャラをもらっているしね。(笑)

ということは日本に監督として復帰することはもうないですね。

バレンタイン いや、分からないよ。もしそんな機会があればとは思うけどね。それに今は日本で子供たちのリーダーシップを開拓する目的で作られた心拓塾(www.shintakujuku.com)のサポートをしているので、日本にはちょくちょく行くことになるしね。

監督にとって、ニューヨークとはどんな街でしょう。

バレンタイン Big city ! デ、very exciting place ! ネ。自宅のあるコネチカットから週に何回か出てきて、友人たちと食事をするけど、でも僕はコネチカットが好きかな。小さな街(スタンフォード)でみんなが知り合いで、市長と一緒に街を良くするために、いろんな活動をしているんだ。

最後に読者にメッセージをお願いします。

バレンタイン 僕にとっての日本での滞在期間が素晴らしかったように、皆さんのアメリカでの滞在が、意味のある幸せな時間になることを願っています。

 

ボビー・バレンタイン
職業:ESPNの野球解説者 → MLBレッドソックス監督に就任(2011年12月現在)

1950年コネティカット州出身。1968年ドジャースよりメジャーデビュー。監督としてはレンジャーズを経てメッツへ。86年ア・リーグで最優秀監督として賞され2000年、メッツをプレーオフ優勝に導いた。05年には千葉ロッテマリーンズを31年ぶりの優勝に導いた。米国出身の監督が日本シリーズを制覇したのは初めて。現在、地元でレストラン(http://bobbyv.com)を経営。

 

〈インタビュアー〉
高橋克明(たかはし・よしあき)
専門学校講師の職を捨て、27歳単身あてもなくニューヨークへ。ビザとパスポートの違いも分からず、幼少期の「NYでジャーナリスト」の夢だけを胸に渡米。現在はニューヨークをベースに発刊する週刊邦字紙「NEW YORK ビズ」発行人兼インタビュアーとして、過去ハリウッドスター、スポーツ選手、俳優、アイドル、政治家など、400人を超える著名人にインタビュー。人気インタビューコーナー「ガチ!」(nybiz.nyc/gachi)担当。日本最大のメルマガポータルサイト「まぐまぐ!」で「NEW YORK摩天楼便り」絶賛連載中。

 

(2011年2月5日号掲載)


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