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インタビュー 安藤サクラ

目指すのは〝女優さん〟じゃなくて、目の前にある役柄だから

「ガチ!」BOUT.224

 

安藤サクラ

 

その抜群の演技力で、今最も話題を集める女優の一人、安藤サクラさん。特に昨年は映画「0.5ミリ」や「百円の恋」で日本アカデミー賞など日本国内映画の主演女優賞を総なめにした。さらに今年は国際映画賞も獲得するという快進撃を続けている。その賞の一つが、北米最大の日本映画祭「第9回JAPAN CUTS」(主催:ジャパン・ソサエティー=JS)での「CUT ABOVE」賞だ。日本映画界に貢献する監督や俳優の功績をたたえるために4年前に設けられ、過去には役所広司さん、北村一輝さん、豊田利晃さんらが名を連ねる。同映画祭では7月16日に、主演した2作品が上映された。上映前、女性初の同賞受賞者である安藤さんに、映画制作に込める思いなどを伺った。 (聞き手・高橋克明)

 

「CUT ABOVE」賞受賞、NYで授賞式と質疑応答

今回、主演の2作品が北米初上映となりました。ニューヨーカーの観客にはどこを観てほしいでしょう。

安藤 全然タイプの違う2作品ですよね。「白河夜船」は日本独特の空気が全編にわたって映っています。ニューヨークの皆さんに観ていただけるので、私は、その日本独特の曇った曖昧な美しさを感じていただけたらうれしいです。シーン、シーンがどこを切り取っても一つの絵になる映画です。あとは人によって捉え方が全然違う作品で、ストーリーにしても、さまざまな感じ方ができるんです。何度も観ていくうちに新たな発見があったり、夢なのか現実なのか、はたまた、過去なのか、現在なのか。その登場人物が時空を越えて漂う感じを楽しんでいただけると思います。「百円の恋」は、こう、エネルギー! …今日を生きるエネルギーを感じられると思います。観るだけで力がみなぎる作品だと思うので。

特に「百円の恋」を観て、スクリーン上と、今、目の前に座ってらっしゃるサクラさんと同一人物とは思えなくて。撮影中、ご本人の中でまったくの別人になる瞬間があるのでしょうか。

安藤 出来上がった作品を観た時は別人を観ているような気になることもありますね。私自身、撮影を経てどんどん変化していきますし、作品が出来上がるころには、スクリーンに映る自分を観て、「こんな人いたなー」という感覚になったり。

スイッチが入る瞬間がある。

安藤 スイッチという言い方をするのであれば、カチンコが鳴った時かな。カットがかかるまでの間、自分と変わるのはカメラの前だけですね。

この質問はよくされると思うのですが、ご実家も、嫁ぎ先も名優だらけの俳優一家という環境は、ご自身の演技に影響はありますか。

安藤 どう映画と向き合うか、そういう姿勢は生まれた時から近くで映画作りを見ていたため、何よりも大きな影響があったと思います。でも女優としてさらに影響があったなぁと思うのは、柄本家に嫁いでからですね。夫に限らず、制作部の義理の姉を含め、柄本家の父、母、姉、弟、もちろん夫。みんなからスゴく影響を受けてます。

そして、今回、CUT ABOVE賞を受賞されたわけですが…。こういった形で海外で評価されることが非常に多いですが、ご自身ではどう分析されてらっしゃいますか。

安藤 なんて言うんでしょう。本当に本当にうれしいです。でも、これからもっともっとしっかりやっていかなきゃいけないなという、とても心地よいプレッシャーを感じています。今までの評価というより、これからどう映画に向き合っていくかということを問われているような気がしています。これからちゃんとやれよって言われてるような気がして、気合いが入ります。

日本の賞とは、また受賞後の感想は違いますか。

安藤 海外と日本って私にとっては隔たりがなくて。映画っていう芸術作品自体が、いろんな人の心を飛び越えられるものだと思ってるから。海外だから、日本だから、っていう感覚は私にはないですね。とくに私は肉体や魂が映画に映る仕事をしてるわけじゃないですか。なので、どの国にこの肉体をブン投げられてもたくましく健康な人間でいたいなって思うんですね。国によって隔たりはないです。

ということは、特に憧れているハリウッド女優とか往年の女優さんとか、こうなりたいという人も…。

安藤 すっごいかっこいい!とか、いろんな女優さんに感動するけど、目指すのは“女優さん”じゃなくて、目の前にある役柄だから。だからいないです! 日本でも海外でも映画を作るシステムは多少違うと思うけど、でも芸術的な物に踏み込んで行った場合、例えば、照明一つとっても…。あれ?今、何話してたのか忘れちゃった! ふふふ(笑)。ん? どんな質問でしたっけ。(笑)

400人くらいインタビューしましたけど、目を見て「質問、忘れちゃった!」って言われたのは初めてです。(笑)

安藤 そうだ! 海外に憧れを感じるか、ですよね。どこにも憧れないけど、どこにでも憧れてます!!

なるほど。すごく分かります。

安藤 どんな場所でも地に足をつけて、かつ、分け隔てなく宇宙レベルで飛びこえていける意識を持てたらいいなと思います。

はい。一昨日、ニューヨークに到着されたとのことですが、この街の印象はいかがでしょう。

安藤 場所によっていろんな表情があるなって。なので、たくさん回るほど、面白いんだろうなって。でも、実はまだセントラルパークも、なんだっけ、あのタイムズスクエアも行ってなくて…。

昨日はどちらへ…。

安藤 たぶん、変な回り方してるなって人に思われると思うんですけど、まずどこへ行ったかというと、クイーンズの方と、ウィリアムズバーグへ…。

あ。ブルックリンの。

安藤 昨日、歩いた所の、地図を見せたい!! 「なんで、こんなとこ、歩いてるの!」って思うだろうなぁ。普通の住宅街を1人で2時間くらい歩いて、いわゆる「ニューヨークの景色」みたいな中にはまだ全然入ってないですね。

あえて、観光名所を避けて…。

安藤 そんなつもりはないんです。

自然と観光スポットを避けている自分が…。

安藤 (さえぎって)いや! 間違えただけ! 北と南を。ふふふ。

クイーンズの住宅街はいかがでしたか。(笑)

安藤 すっごい良かったです! スゴくステキな街でした。

 

★インタビューの舞台裏★ → ameblo.jp/matenrounikki/entry-12059778629.html

 

安藤サクラ(あんどう さくら) 職業:女優
1986年生まれ。東京都出身。父、奥田瑛二監督の「風の外側」(2007)でデビュー、自主映画を中心に活躍しながら、大胆で存在感のある演技で一躍注目を浴びる。12年に第86回キネマ旬報ベスト・テン主演女優賞と助演女優賞をダブル受賞し、第55回ブルーリボン賞主演女優賞、文化庁芸術選奨文部科学大臣賞をはじめ、10以上の賞を受賞。映画「0.5ミリ」で日本アカデミー賞優秀主演女優賞、同作品と「百円の恋」で第88回キネマ旬報ベスト・テン入賞、2度目の主演女優賞を受賞した。
公式ツイッター:twitter.com/sakura_ando

 

安藤さん、賞は〝激励をいただいた〟と意気込み

安藤サクラ

「CUT ABOVE賞」を受賞し、トロフィーを手に撮影に応じる安藤サクラさん=7月16日、ニューヨーク(撮影:野村)

ニューヨークのジャパン・ソサエティーで先月行われた「JAPAN CUTS」で、7月16日に安藤サクラさん主演の「白河夜船」と「百円の恋」が上映された。安藤さんは、それぞれの上映前に舞台あいさつのため登壇。「百円の恋」上映前には、同映画祭が設ける「CUT ABOVE賞 for Outstanding Performance in Film」の授賞式で舞台に上がった。JSの芸術監督・塩谷陽子氏よりこれまでの功績をたたえた紹介を受けて登場すると「ありがとうございます。このような(素晴らしい)紹介の後に、こんな人が出てきちゃってすみません」と述べ、観客の和やかな笑いを誘った。そして同受賞に関し「今までのことは、まだまだチビッとしたキャリアです。これから映画にどう向かっていくか、これからのオイッ!(激励)をいただいたと思っています」と、独自の言葉で今後の意気込みを伝えた安藤さんに、会場は大きな拍手でたたえた。また両作品の上映後には質疑応答も行い、観客からの多くの質問に丁寧に答え、時に椅子から立ち上がり身を乗り出して熱く述べる場面もあった。

 

〈インタビュアー〉
高橋克明(たかはし・よしあき)
専門学校講師の職を捨て、27歳単身あてもなくニューヨークへ。ビザとパスポートの違いも分からず、幼少期の「NYでジャーナリスト」の夢だけを胸に渡米。現在はニューヨークをベースに発刊する週刊邦字紙「NEW YORK ビズ」発行人兼インタビュアーとして、過去ハリウッドスター、スポーツ選手、俳優、アイドル、政治家など、400人を超える著名人にインタビュー。人気インタビューコーナー「ガチ!」(nybiz.nyc/gachi)担当。日本最大のメルマガポータルサイト「まぐまぐ!」で「NEW YORK摩天楼便り」絶賛連載中。

 

(2015年8月1日号掲載)


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