インタビュー イ・ビョンホン

0

俳優を一生の仕事にするとは思ってもいませんでした

「ガチ!」BOUT. 250

 

 

いまやハリウッドで活躍する“最も有名なアジア人俳優”と言っても過言ではないイ・ビョンホンさん。韓国で1995年にスクリーンデビューして以来、そのカリスマ性で常にトップクラスを走ってきたスター俳優が2009年にハリウッドに進出、数々の作品に出演してきた。「荒野の七人」のリメイク作「The Magnificent Seven」(日本公開1月27日)の撮影秘話や、俳優としての生きざまなど、ニューヨーク滞在時に、お話をうかがった。(聞き手・高橋克明)

新作の撮影秘話

出演された「マグニフィセント・セブン」が日本では来年(2017年)1月27日に公開されます。すでに何本もハリウッド映画に出られていますが、今回の撮影現場はいかがでしたか。

ビョンホン 撮影のロケーションになったバトンルージュ(米ルイジアナ州)は、天候がころころ変わる環境で、暑い日は40度、湿度も90%というような過酷な環境でした。暑さで現場で倒れるスタッフが続出したぐらいだったんですね。そんな過酷な状況だったから、時間をたくさん共有した他の共演者やスタッフたちとはとても近い存在になりました。個人的なこともたくさん話したし、よく飲みにも行きました。

共演者のクリス・プラット、デンゼル・ワシントン、イーサン・ホークらとの関係はいかがでしたか。

ビョンホン 彼らとはとてもすばらしい時間を過ごすことができました。クリスはとっても楽しい人で、スクリーンの中より、実際の方が面白い男です。もちろん映画の中同様、クールですが、実際の彼はもっと謙虚で、勉強熱心ですね。デンゼルは常に映画のことを考えていて、僕とも「あのシーン」のこと、「このシーン」のこと、常に撮影の話をしました。俳優としてのカリスマ性やエネルギーを感じましたね。イーサンは……彼はよくしゃべりますね。(笑)

イーサン・ホークの印象だけ「よくしゃべる」。(笑)

ビョンホン いや、いや(笑)。でも、彼の口から出る言葉は、いつも詩的で…まるで詩人のようなんです。撮影の最後の日に、彼が書いた3冊目の小説をプレゼントしてくれました。僕の宝物の一つですね。彼とは同い年だし(今回の撮影で)一番仲良くなった俳優だと思います。アメリカ人の俳優たちと撮影現場でこのような関係を築くのは久しぶりだったので、とても楽しい時間でしたね。

出演する上で、韓国映画とハリウッド映画の一番の違いはなんですか。

ビョンホン 最初は慣れることで精いっぱいで、違いを感じる余裕もありませんでした。でも、どちらにも良い面、悪い面があると思います。ただ僕は韓国人なので、新鮮に感じたのはハリウッド映画(の撮影方法)でした。いろいろと勉強にはなりましたね。あ! あとアメリカで仕事をして考えさせられることもありました。例えば、韓国では、昔から「男は男らしく。女は女らしく振るまえ」とよく言われます。みんなそうやって育ってきました。「歳をとったら、年相当に振るまえ」と。でもこっちで仕事をして最近思うのは、例えばアーティストであれば、年齢に関係なく「Stay Young(若くいて)」「Be hungry(貪欲であれ)」と思います。あまり決めつけて生きる必要もないんじゃないかなって思い始めました。

なるほど。それでは一観客として、両国の映画の違いは何だと思われますか。

ビョンホン 海外に住んでいる韓国人の友人が言うには、ハリウッド映画は展開が読みやすい、と言います。韓国映画は次に何が起きるか分からない。それが今の韓国映画をパワフルなものにしている理由かな、と。イメージが追いつかないストーリーが韓国映画の特徴な気がします。

それにしても、今やハリウッドではKEN WATANABEと並び、もっとも有名なアジア人俳優ですね。

ビョンホン それを言うなら、俳優という職業自体、まさか一生の仕事になるとは、思ってもいませんでした。若いころ、自分に何(の職業)が合ってるのか、たくさん経験をした方がいいと思い、いろいろな仕事をしてきましたが、俳優はその中の一つに過ぎなかったので。

 

 

演技をする上で一番大切なことは何でしょう。

ビョンホン “イマジネーション”だと思います。最悪な状況を演じる時は、自分の人生で最悪だったことを思い出して、その中に身を投じる。なので、経験そのものが役に立つ職業だと言えるでしょうね。あとは演じる役柄が“自分である”と思い込むことです。「演じる」のではなく「なる」|。そして、もう一つは、全く反対のことを言いますが、自分が観客の一人にもなる、ということ。客観的に観るということですね。それらが私の演じる上でのルールですね。

アジアの若い世代の俳優がハリウッドで通用するためには何が必要だと思われますか。

ビョンホン 最近、若い俳優から「どうやったら良い俳優になれますか?」とよく相談されますが、答えはないんです。演じる(acting)ことは教えることも、教えられることもできない。それでも、あえて言うとするなら、背伸びをせずに、今いる現状で想像(imagine)すること。そして、その状況からさまざまなことを学び、感じ取ること。そう答えるようにしています。僕が言えることはそれだけですね。

ビョンホンさんと言えば、肉体美!がまずイメージされますが、筋肉美をキープするために日頃からかなり気をつけてらっしゃいますか。

ビョンホン 毎日の生活の中ではそれほどストイックに追い込まないです。撮影が始まる前に、結構追い込む感じですね。(笑)

ダイエット中に、どうしても食べたくなるものありますか。

ビョンホン (韓国語で)チャンジャンミョン(笑)。なんのことか分かります? ブラックビーンを…。

ジャージャー麺ですね、分かります(笑)。今後ご自身がやりたい役柄はありますか。

ビョンホン うーーんん…今、コレ! というのは思いつきませんが、興味深い脚本に出合えたら、なんでも。とにかくやれるものなら、なんでもやってみたいですね。僕(のキャリア)は「スーパーマン」などのハリウッド映画や、香港のカンフー映画、中国の武術映画からも間違いなく影響を受けています。なので、なんでもやりたいです。(笑)

ハリウッドだけでなく世界各国の多くの巨匠といわれる監督とも仕事をされてきました。いつかご自身で監督業をやられたいお気持ちはありますか。

ビョンホン やりたいです(即答)。やれるとも思っています。でも、今はまだその時ではない気もします。自分で表現したいと思うことができたら、その時はきっとやると思います。幼い時からたくさんの映画を観てきた僕にとって、映画監督をするのは一つの夢でもありますので。

最後に。ニューヨークはお好きな街ですか。

ビョンホン もちろん!大好きな街です。(にっこり)

 

★ インタビューの舞台裏 → https://ameblo.jp/matenrounikki/entry-12224865401.html

 

イ・ビョンホン 職業:俳優
1970年7月12日生まれ。ソウル特別市出身。95年に韓国でスクリーンデビューして以来、常に主役を張り、多数のドラマや映画に出演、数々の賞を取ってきた。日本では2003年、NHKで放映された『美しき日々』で、圧倒的な人気を獲得し、翌年の紅白歌合戦にゲストとして出演。“韓流四天王”の1人と称され、日本ではペ・ヨンジュンと並ぶ人気の韓国俳優。06年には韓国人として初めて、世界でも初の東京ドーム単独公演(約5万人)を役者として満杯にし、07年には全国4カ所アリーナ・ツアーに約6万人を動員した。同年9月、木村拓哉主演の大ヒット映画『HERO』に友情出演するなど、日韓両国で活躍。公式ファンサイト:www.byung-hun.com(日本語)

●作品情報▪
The Magnificent Seven/荒野の七人

© 2016 MGM AND CPII. THE MAGNIFICENT SEVET™ MGM. ALL RIGHTS RESERVED

© 2016 MGM AND CPII. THE MAGNIFICENT SEVET™ MGM. ALL RIGHTS RESERVED

黒澤明監督の傑作時代劇「七人の侍」(1954年)と、同作を西部開拓時代のメキシコに置き換えてハリウッドリメイクしたウエスタン「荒野の七人」(60年)という二つの名作を原案に描いた西部劇。出演は、デンゼル・ワシントン、クリス・プラット、イーサン・ホーク、イ・ビョンホンら。米国公開は2016年9月。日本公開は17年1月27日。

 

〈インタビュアー〉
高橋克明(たかはし・よしあき)
専門学校講師の職を捨て、27歳単身あてもなくニューヨークへ。ビザとパスポートの違いも分からず、幼少期の「NYでジャーナリスト」の夢だけを胸に渡米。現在はニューヨークをベースに発刊する週刊邦字紙「NEW YORK ビズ」発行人兼インタビュアーとして、過去ハリウッドスター、スポーツ選手、俳優、アイドル、政治家など、400人を超える著名人にインタビュー。人気インタビューコーナー「ガチ!」(nybiz.nyc/gachi)担当。日本最大のメルマガポータルサイト「まぐまぐ!」で「NEW YORK摩天楼便り」絶賛連載中。

 

(2017年1月1日号掲載)

Share.