インタビュー 藤谷文子

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世界中でアジアの役者が活躍できるようにしたい 

「ガチ!」 BOUT. 204

 

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Photo by Izumi Hasegawa / HollywoodNewsWire.net

 

ロサンゼルスと日本に拠点を構え、“国境なき”活動をする女優で作家の藤谷文子さん。10代で日本の映画界でスクリーンデビューを果たし、現在では邦画のみならず、カンヌ映画祭招待作品のフランス映画や、米国製作の作品にも多く出演、キャリアを積んでいる。そんな藤谷さんの新作「Man From Reno(リノから来た男)」が3月から4月にかけて北米で封切られる。ロサンゼルス映画祭でグランプリを受賞した本作は、ヒロインを藤谷さん、謎の男、アキラを北村一輝さんが演じる日米合同制作のミステリー映画。同作について、また米国での活動などについてお話を伺った。 (聞き手・高橋克明)

 

3〜4月にかけ、主演映画、北米8都市で公開 

まずはロサンゼルス映画祭長編コンペティション部門のグランプリ受賞おめでとうございます。

藤谷 ありがとうございます。(にっこり)

受賞を聞いた際はどんなお気持ちでしたか。

藤谷 ロサンゼルス映画祭に参加してるってことに、すごく興奮していて(笑)。それ自体を楽しんでいたので、コンペティションのことは忘れちゃってたんですね(笑)。なので、当日、会場に向かっている時に家族から電話で「獲ったよ!」って言われて「何を?」って返事したくらいで、

(笑)。で、あれば、余計にうれしいですね。

藤谷 そうなんです(笑)。会場に着いた後、監督と二人で本当に喜びました。やっぱりキックスターター(の利用)も含めて長い長い道のりでしたので。

制作から公開までの月日が2年というのは近年の映画では非常に長いですよね。

藤谷 撮影が始まる前もすごく長かったんですよー。みんなで一緒に支援をお願いしたり、台本を読み合ったり、リハーサルをしたり。撮影に入るまでは「いつ入るんだろう」って思って。で、撮影に入ったら今度は「いつ完成するんだろう」って。それくらい長い道のりって感じでしたね。それが今回、公開にやっと至って、それだけでなく映画祭にも招待していただいて。なので今は「これ、本当に起こってることかな」って感じですね。(笑)

デイブ・ボイル監督から出演オファーが来た時のお気持ちは覚えてらっしゃいますか。

藤谷 もともとデイブとは仲が良くて、オファーをもらったというより「今、こんなの書いてるんだけど、読んで意見聞かせて」って脚本を渡されて。そんなやりとりの途中から、「これ、オファーされてるのかな」って感じでしたね(笑)。気がついたら出演が決まってました。だから、最初は自分が観客だったらどう感じるだろう、自分がライターだったらどう書くだろうって思いながら台本を読んでましたね。なので余計に「文子のために書いたんだよ」って聞いた時には光栄な気持ちでした。

監督との仕事は信頼関係の下、成り立っていたんですね。

藤谷 クリエイター同士の信頼関係はすでに築けていたので、そのあたりは自然に向き合えましたね。それと、台本を読んだ時にいいホンだなって思ったのと同時に、これはちゃんと演(や)らなきゃダメだぞって思いました。あんまりお金(制作費)がない中で(今回の受賞は)そのあたりも評価してもらったんだと思います。

撮影中、一番気をつけたことは何でしょう。

藤谷 台本自体がすごくきめ細かいので、大ざっぱなことは一切しないように心掛けました。制作費がないからといって、演技はもちろん、衣装もロケーションもそう見えてはいけないと思ってました。

主役2人が日本人キャストでのアメリカ映画。そのあたりは苦労されませんでしたか。

藤谷 確かに最初はどうなるかって心配してた面もあるんですけれど、でも、まずデイブが2カ国語しゃべれるので。

日本語もネーティブ並みに話せるとか。

藤谷 そうなんですよ。なので、アメリカ側のキャストと日本側のキャストの間にしっかり入って、懸け橋になってくれました。だから(そのシーンが)日本語であっても、英語であっても、そこにいる全員がスタッフも含めて、監督の今の意図が、分かっていたという感じでしたね。

共演の北村一輝さんにも先日インタビューさせていただきましたが、その際に「リオから来た男」が非常に誇れる作品だとおっしゃっていました。

藤谷 一輝さんとは、お会いする前に事前にスカイプでお話ししたりしてました。実際にお会いするのが結局、撮影の前日になっちゃうのが最初から分かっていたので。でも、お会いしてリハーサルルームで朝から晩まで、一個一個のセリフ、一つ一つのシーンを何度も何度も話し合いましたねー。一輝さん本人が率先してやられてました。そんなにリハーサルの時間がなくても、一人一人がちゃんとしたものを作りたいって意識すれば、いい物ができるんだなぁって実感しましたね。

今回の作品の見どころはズバリどこでしょう。

藤谷 ミステリーなので、素直に何が起こるのか分からないってところを楽しんでもらえたら何よりです。ラストなんて本当に想像できないと思うので(笑)。あとは、日本人キャストがたくさん出演しているアメリカ映画っていうところもこの映画は独特だと思うんですね。でも、だからといって、いわゆる「忍者」とか「芸者」とか「寿司(すし)」とか「オタク」とか、海外の人が(安易に)イメージする日本の物や文化を、あえて入れてない。というか(入れる)必要もないと思うんですね。わざわざそこをキャッチーに取り入れて日本を絡めているっていうところがまったくないので、はい。そこは等身大の日本人がアメリカに来て、この国のいろんなディテールに巻き込まれていく。そういう作品は今までなかったと思うので。

現在、ロサンゼルスを拠点にされていますが、日本での活動と違いもいっぱいあるのではと思うんです。

藤谷 もう、何もかもが違いますね、やっぱり。まだまだアメリカのオーディションシステムに慣れないです(笑)。アジア人の仕事の少なさが毎日のように身に染みますね。ただデイブ監督みたいな人や、他にも頑張ってる日本の役者さんもたくさんいらっしゃるので、少しずつでもアメリカだけでなく、世界中でアジア人が普通の役で出演できるようになっていければいいなって思います。

最後に在米の日本人にメッセージをお願いします。

藤谷 今の時代、ボーダーレスにいろんな国で活躍している日本人がいるってことは私も心強く思っているので、みんなで頑張っていけたらなって思います。

 

藤谷文子(ふじたに あやこ) 職業:女優、小説家、エッセイスト
1979年生まれ、大阪府大阪市淀川区出身。13歳の時にCM「リハウス娘」に出演、映画「ガメラ・大怪獣空中決戦」のヒロイン草薙浅黄役で女優デビュー。10代の頃は、多方面で活躍していたが、英語と演技の勉強のため、ロサンゼルスに留学。1999年、日本に帰国し、女優としての活動を再開。米国滞在中に執筆された小説「逃避夢」が、「エヴァンゲリオン」の庵野秀明監督を触発。「式日」として映画化され、自ら主演も務めた。2006年、映画ではジークフリード監督のフランス映画「サンサーラ」(カンヌ映画祭招待作品)に出演するなど、国際的にも活躍し始め、「戦IKUSA」や「キャプテントキオ」など、ポップな役を精力的にこなし、10年にはミシェル・ゴンドリー監督の「インテリアデザイン」の主役に抜擢された。現在は、ロサンゼルスと日本に拠点を構え活動中。父はハリウッド俳優のスティーブン・セガール。
公式サイト:ayablue.com/

★作品紹介★

日米合作映画「Man From Reno-リノから来た男」

0321-gachi-Photo Credit - Nicole Rosario:Eleven Arts

映画の一場面。(左から)北村一輝、藤谷文子(© Nicole Rosario/Eleven Arts)

●NY公開情報●
3月27日(金)~4月2日(木)※1週間限定公開
【時間】午前11時、午後1時40分、4時20分、7時10分、10時20分(日程によって異なる)
【劇場】Regal E-Walk Stadium 13 & RPX(on 42nd St, bet 7th & 8th Ave)
2009年に「Whiteon Rice」で在米日本人を笑いに包んだデイブ・ボイル監督の最新作「Man From Reno-リノから来た男」が3月から4月にかけて北米8都市で封切られる。ニューヨークでの上映は3月27日。ロサンゼルス映画祭でグランプリを受賞し た本作は、ヒロインを藤谷文子が、謎の男アキラを北村一輝が演じる極上のミステリー。日本での公開は6月の予定。
【公開劇場、上映スケジュール】www.manfromrenomovie.com
〈あらすじ〉人気ミステリー作家のアキ(藤谷文子)は、サイン会ツアーを抜け出し、サンフランシスコに行く。そこで出会った男アキラ(北村一輝)と親密になるが…。

 

 

〈インタビュアー〉
高橋克明(たかはし・よしあき)
専門学校講師の職を捨て、27歳単身あてもなくニューヨークへ。ビザとパスポートの違いも分からず、幼少期の「NYでジャーナリスト」の夢だけを胸に渡米。現在はニューヨークをベースに発刊する週刊邦字紙「NEW YORK ビズ」発行人兼インタビュアーとして、過去ハリウッドスター、スポーツ選手、俳優、アイドル、政治家など、400人を超える著名人にインタビュー。人気インタビューコーナー「ガチ!」(nybiz.nyc/gachi)担当。日本最大のメルマガポータルサイト「まぐまぐ!」で「NEW YORK摩天楼便り」絶賛連載中。

 

(2015年3月21日号掲載)

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