エメリヤーエンコ・ヒョードル(2)

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日本のファンは私にとって今でも特別な存在です

「ガチ!」BOUT. 206

 

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米国の総合格闘技団体「Bellator(ベラトール) MMA」が2月27日、コネチカット州にあるモヒガン・サン・アリーナで試合を開催。大会前夜にはファンイベントも行われ、特別ゲストとして招待された、エメリヤーエンコ・ヒョードルとホイス・グレーシーのサイン会には、多くの格闘技ファンが駆け付けた。一線を退いた後も世界中のファンに愛される一時代を築いた“レジェンド”たちに話を伺った。 (聞き手・高橋克明)

 

米「Bellator MMA」で特別ゲスト 

今回のイベント、いちばん人気はヒョードルさんでした。引退後もこれだけファンに愛されていることをどう思いますか。

ヒョードル とてもうれしいですね。今回、ここに来られて本当にうれしく思います。引退以降、ファンに触れる機会がすっかり減ってしまっていたので、オファーをいただいた際にはすぐに承諾しました。やはりファンは私にとって今でも大切な存在ですから。

引退して2年。現在はどのような活動をされているのでしょう。

ヒョードル 今はロシア政府の仕事をしています。Ministry of combat sportsで働いています。ロシア中を回りながら、若い人たちにMMA(総合格闘技)やコンバットスポーツを教えています。現役は引退したけれど、格闘技に携わる仕事は生涯やっていこうと思っていますから。

世界中の格闘技ファンが、あなたの現役復帰を望んでいると思うのですが…。

ヒョードル (笑)。ありがとうございます。でも、もう終わったことですから。今のところ復帰は100%ありえないですね。

そんなにハッキリ言い切られちゃうと、余計に寂しいのですが(笑)。やり残したことはありませんか。

ヒョードル 全くないです。(にっこり)

ただ、現在世界最高峰の団体UFCには結局、最後まで出場しませんでしたが、後悔はありませんか。

ヒョードル 全く後悔していません。むしろPRIDEでまだまだ闘いたかったですね。

やはりPRIDEは特別な場所でしたか。

ヒョードル 間違いなく、当時、世界最高峰の闘いが行われていた場所はPRIDEだったと思っています。それだけでなくPRIDEのファイターはスピリットがありました。PRIDEで闘えたことを今でも誇りに思っています。

それでは現UFCのヘビー級チャンピオン、ケイン・ヴェラスケスについてはどう思っていますか。

ヒョードル 彼は素晴らしいファイターだと思います。今、現役で間違いなくナンバーワンだと思います。肉体面だけでなく、メンタル面でも最強ですね。オクタゴンの中にいる彼の集中力は他のどのファイターより上だと思います。

他に今、注目している選手はいますか。

ヒョードル うーーーーん…(しばらく考えて)やはりケイン・ヴェラスケスですね。

それでは現役時代、あなたが闘った中で一番強かった選手は誰で…。

ヒョードル (さえぎりながら)(アントニオ・ホドリゴ・)ノゲイラです。

即答ですね。もう一人のライバルであるミルコ・クロコップについてはいかがでしょう。今回、ミルコのUFC復帰が決まりましたが。

サイン会の模様=2月26日、コネチカット(撮影:岩城)

サイン会の模様=2月26日、コネチカット(撮影:岩城)

ヒョードル もちろんミルコにも頑張ってほしいと思いますね。彼には、グッドラックと伝えたいです。

最後に日本のファンにメッセージをお願いします。

ヒョードル 私にとって、日本のファンは特別な存在です。日本はいつでもすぐにでも行きたい国ですね。(現役時代)多い時には年に4回か5回行った年もあるくらいですから。今年も4月か、5月に行くかもしれないです。それまで皆さん元気でいてください。

 

エメリヤーエンコ・ヒョードル(Fedor Emelianenko)
職業:総合格闘家、サンボ選手、元柔道家
1976年生まれ。ウクライナ出身、ロシア育ち。柔道の国際大会で活躍した後、総合格闘技に転向、2000年にリングスの大会で日本に渡り、ヘビー級と無差別級の王座に就く。02年のリングス休止以降はPRIDEに出場し、03年にアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラを下しヘビー級王座を獲得した。04年にはヘビー級グランプリに優勝、05年にはミルコ・クロコップを下し王座を防衛した。07年のPRIDE消滅後も日本国外の大会を渡り歩き、08年にはAfflictionで元UFCヘビー級王者ティム・シルビアを破りWAMMA世界ヘビー級王者となっている。その後も、09年にはアンドレイ・アルロフスキーに勝ち、WAMMA王座の防衛に成功。またプロ格闘家として活動する傍らコンバットサンボの大会にも出場し、世界選手権で4度の優勝を果たしている。

 

〈インタビュアー〉
高橋克明(たかはし・よしあき)
専門学校講師の職を捨て、27歳単身あてもなくニューヨークへ。ビザとパスポートの違いも分からず、幼少期の「NYでジャーナリスト」の夢だけを胸に渡米。現在はニューヨークをベースに発刊する週刊邦字紙「NEW YORK ビズ」発行人兼インタビュアーとして、過去ハリウッドスター、スポーツ選手、俳優、アイドル、政治家など、400人を超える著名人にインタビュー。人気インタビューコーナー「ガチ!」(nybiz.nyc/gachi)担当。日本最大のメルマガポータルサイト「まぐまぐ!」で「NEW YORK摩天楼便り」絶賛連載中。

 

(2015年4月11日号掲載)

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