デヴィ・スカルノ(2)

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やっぱりアメリカの政治はどこより面白いわね

「ガチ!」BOUT. 233

 

デヴィ・スカルノ

 

インドネシア元大統領夫人で、現在は活動基点を日本に置き、「デヴィ夫人」の愛称で親しまれているデヴィ・スカルノさん。ニューヨークにも居住地を置き、国連環境計画の特別顧問としても活躍。海外での暮らしも長く、社交界にも幅広いネットワークを持つデヴィ夫人は米国の大統領選をどうみているのか、お話を伺った。 (聞き手・高橋克明)

 

米国の大統領選をこうみる

デヴィさんはどれくらいの割合でニューヨークには来られているんでしょうか。

デヴィ夫人 ニューヨークへは昨年もGWを利用してきましたし、今年もそう。去年も今年も1週間いますのでね、全部で9日間。まあ、それはぜいたくな方ですね。ひどい時は滞在2日間でしたもの。2日してもう帰るみたいな感じでした。本当にもったいない。いろんな舞踏会がニューヨークでもあって、皆さんに「もうちょっといて」とか言われていたんだけれど、仕事が入っているので。私がたまにしか来ないものですから、お友達みんなが「デヴィ、デヴィ」と言って昼も夜もランチ、ディナー、ランチ、ディナーの繰り返しになってしまいます。

今年は大統領選の年でもあり、連日報道されています。デヴィさんのご意見を聞かせてくださいますか。

デヴィ夫人 ちょうどね、ワタクシのお友達の中にも(ドナルド・)トランプを応援している人がいてビックリしました。日本では産経新聞に「トランプのような人間が共和党の第一候補になるという、アメリカ人の民意の低さ」って書いてあったわね。(笑)

でも、現大統領を信じたにもかかわらず「暗いアメリカ」から脱去しない疲弊した国民意識に加え、トランプは実はハイ・エデュケーション(高学歴)という報道もこちらでは目立つようになって…。

デヴィ夫人 (さえぎって)それは分かるけれども、彼、ボキャブラリーがあまりにも下品じゃないですか。本当はオバマさんが一番真っ当なこと言ってたと思う。それを白人たちが邪魔して、邪魔して、彼の思うようにさせなかったのよ。彼が言ってきたことは歴代の大統領の中でも一番正しいと思うの。世界中の大統領の中でもね。でも、とにかく、WASP(ワスプ)が許さないわよね。

ということはデヴィさんは民主党派だと。

デヴィ夫人 私は分からない。ただ、トランプさんで一つだけ、「この人よく言ってくれた」と思ったのは、彼、(ジョージ・W・)ブッシュさんのことかなり非難したじゃない。「アメリカがイラク戦争を起こした」って、大量破壊兵器なんかないのに行って、よその国に行って攻めて(サダム・フセイン)大統領つかまえて絞首刑に追い込んじゃった、で、今どうなった? って、イスラム国ができちゃったじゃないですか、もう最悪よ! (当時)私も同じこと発言したら、ものすごいバッシング受けちゃったけど。(笑)

今後のアメリカという国はどうなっていくと予想されますか。

デヴィ夫人 富がある人にはすごくいいんじゃない? (民主党候補のバーニー・)サンダースさんが若者に人気があるのは分かるけど、結局、リッチ・ロシアンだろうが、リッチ・チャイニーズだろうが、今でも陰でコントロールしてるのは、リッチ・アメリカンなんですから。なのでお金持ちのリッチ・ジューイッシュはやっぱりトランプさんを応援するんじゃない。だって彼らはムスリム(イスラム教徒)の人がこの街に入ってほしくないって心底思ってるわけですから。普通、常識的に考えればヒラリー(・クリントン)さん(が当選)だと皆さん思ってらっしゃるみたいですけれど、本当に最後は分からないわよ。

共和党が政権を握らないと経済的にも発展しないという意見もありますね。

デヴィ夫人 でもヒラリーさんだってウォール街から応援されてるんじゃないですか。選挙は本当に分からないわよ。ワタクシね、アメリカって本当に面白いなって思うのは、黒人系の大統領が生まれるってことすらびっくりじゃない。こんなに早くよ! それが今度はトランプさんのような人?…可能性はなくはないわよね。今までの政治家は美辞麗句をたらたらたらたら述べて何にも実行してくれなかったって感じですけど、この人は何かしてくれるのかもしれないって人を求めてるんじゃないかしら。やっぱり強い男の人を求めてるんじゃない? だって、なんだかんだって言ったって(ロシアの)プーチンさん、やっぱり強そうじゃない。

見た目も怖そうです。(笑)

デヴィ夫人 やっぱりプーチンさんに対して魅力を持っている人って多いですよね。アメリカって弱くなっちゃったじゃないですか。だからやっぱり対中国でバシっと言ってくれる人がいてもいいかなって。「怖い魅力」って言うのかしら。アメリカにも強い大統領が必要な時が来ている感じはしますね。

ただトランプさんが大統領になっちゃった場合、庶民や在米外国人にはいろいろと厳しくなるのは明らかですよね。ちなみに僕は庶民で外国人です。(笑)

デヴィ夫人 そうね、もう完全に排他的だから。だからこそ、人気なんじゃない? アメリカ人って自分たちが勤勉じゃないことを認めないで、中国人や、日本人や、韓国人が、自分たちの経済を脅かしているんだ、くらいに思っているのよね。だから彼が排他的なこと言うと、みんな喜ぶじゃないですか。もう当然、日本にも中国にもどこにでもキツくなるでしょうね。特に日本に対してはすごいでしょう。今後、アメリカのいろんな諸問題が解決できないと「敵は中国だ! 敵は日本だ! 日本がこうだからアメリカが良くならないんだ!」っていうふうに国民の気持ちをそらしていくでしょうね。でも、それは、それこそが、アメリカ人の求めていることなのね。

……………。どうしましょ。(笑)

デヴィ夫人 最終的にヒラリーさんにどーんと票が行っちゃうか、どーんとトランプさんに行っちゃうか。やっぱりアメリカはどこよりも面白いですね。

ヒラリーさんだと初の女性大統領です。

デヴィ夫人 どちらにしろ“政治家”はいらないのよ。“英雄”が求められてるんです。

なるほど…。それでは、話を変えて。現在、日本のテレビ番組でも活躍中のデヴィさんですが、移り変わりの激しい業界で、かなり長い間、第一線で活躍されています。そこはご自身でどう分析されていますか。

デヴィ夫人 それはワタクシみたいな人がいないからじゃない? 類似した人がいないじゃない。他の(芸能人の)皆さんは、コメント聞かれた際に優等生になってしまうのよ。私は怖いものなしですから(笑)。普通のタレントさんとは全く違うことを言うし。なので「よく言ってくれた」って言ってもらえます。私は真のぜいたくを得た数少ない一人じゃない? 経済的に物理的に精神的に。なので完全に独立して誰にも何も負うものがない。だからワタクシは自由に話せるんです。

最近では若い世代の女性にも大人気とか。

デヴィ夫人 子供もね。ワタクシって子供から年寄りまで幅広いですから。

でもデヴィさんのこれまでの歴史を知らない若いファンは、バラエティー番組の影響でただの「タレントさん」として見る人も出てきたと思うんです。

デヴィ夫人 その方が、楽ですよ。昔、週刊誌やらでいろいろ何年もバッシングされてきましたから、今の若い人たちはそんなの読んだことがなくて純粋にワタクシのことが好き。特にお子さんたちが喜ぶのは「(世界の果てまで)イッテQ!」、あの番組に頻繁に出させていただいてからじゃないですか。(番組の企画で)「あんなの無理。できっこない」ってことに挑戦させられて、「あら、そう? じゃあ、やってみるわ」って不可能と思われることに挑戦してできてしまう。この歳になっても挑む気持ちを失ってないことに、一般の方は「すごいっ!」って思うんじゃないですか。

空中ブランコしかり。(笑)

デヴィ夫人 そうよぉ。いっちばん怖かったです。でも、あれねえ、私の方が先にできたんですよ。

放送では共演の出川(哲朗)さんが先にクリアして、負けず嫌いのデヴィさんが闘争心を燃やして…。

デヴィ夫人 番組的にはそう作りたかったんでしょ。でも先にできたのはワタクシの方なの。出川さんは無理よ。重いし、しなやかでないもの。

それは…ちょっと書けない…。(笑)

デヴィ夫人 ぜーんぶ、書いてください。全く構わない。(笑)

ニューヨークエリアに住む日本人は現在8万人強と言われています。その人たちにメッセージをいただけますでしょうか。

デヴィ夫人 少ないと思うわ。日本の人ってここ(ニューヨーク)に腰掛けじゃない。駐在員として3年くらいで帰る人も多いじゃないですか。ワタクシがニューヨークに初めて来た1967年、あの当時、ウォルドルフ・アストリア(ホテル)の1階は全部、バンク・オブ・トーキョー(東京銀行、三菱東京UFJ銀行の前身の一つ)だったんですよ。ロンドンの野村證券も、ニューヨークの野村證券もとっても大きかった。韓国の方とかは移民として来ますよね。なので、この街中のグロサリーやネイルサロンも、ほぼ全部、韓国の方ですよね。365日、24時間営業で頑張ってらっしゃる。薬関係はバングラデシュやパキスタン、インドの方が多いわね。そうやって、ここに腰を据えて覚悟を持って来る日本人が増えないと、この街で日本人の存在感はなくなっていくと思うんです。覚悟をして来ないとね。

 

★インタビューの舞台裏★ → ameblo.jp/matenrounikki/entry-12176467663.html

 

ラトナ サリ デヴィ・スカルノ  職業:元大統領夫人、タレント
1940(昭和15)年、東京麻布生まれ。19歳でインドネシアのスカルノ大統領に見初められ妻となるが、クーデターにより大統領は失脚。混乱の中をパリに亡命、社交界で「東洋の真珠」とうたわれる。政変の時期を通じて約40年間を海外で暮らす。90年にニューヨークに移住、国連環境計画の特別顧問として活躍。現在は活動基点を日本に置き、「デヴィ夫人」の愛称で親しまれている。ニューヨークでは国連環境計画の特別顧問として活躍。独特なキャラクターとしてテレビなどで活躍している。
公式ブログ:ameblo.jp/dewisukarno/

 

〈インタビュアー〉
高橋克明(たかはし・よしあき)
専門学校講師の職を捨て、27歳単身あてもなくニューヨークへ。ビザとパスポートの違いも分からず、幼少期の「NYでジャーナリスト」の夢だけを胸に渡米。現在はニューヨークをベースに発刊する週刊邦字紙「NEW YORK ビズ」発行人兼インタビュアーとして、過去ハリウッドスター、スポーツ選手、俳優、アイドル、政治家など、400人を超える著名人にインタビュー。人気インタビューコーナー「ガチ!」(nybiz.nyc/gachi)担当。日本最大のメルマガポータルサイト「まぐまぐ!」で「NEW YORK摩天楼便り」絶賛連載中。

 

(2016年7月2日号掲載)

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