長谷川豊アナ

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NY着任での決意と夢
日本人ならではの感性で伝えたい

「ガチ!」BOUT.79

日本語放送「FCIモーニングアイ」の朝の顔としておなじみだった佐野瑞樹アナウンサーが、3年間の赴任期間を終え、9月末の放送を最後に日本に帰国した。 その後任として、佐野アナの5年後輩である長谷川豊アナウンサーが着任。渡米間もない長谷川アナに、街の印象や、今後の生活、仕事などについてお話を伺った。(取材日・9月27日)(聞き手・高橋克明)

 

日本で現場取材12年

着任されたばかりですが、ニューヨークの街の印象を聞かせてください。

長谷川  まず聞いていた通り、皆さん歩く速度が早いですね。あとは、空が狭いな、と。日本だと、それこそ観光名所になってもおかしくない(外観の)ビルが至る所に建っていて、なんてスケールの大きな街なんだと思いました。

今日が滞在10日目ということですが、すでに思い出に残っている場所とかはありますか。

長谷川  ただ、滞在6日目にして、イチロー選手が10年連続200本安打を達成しそうになりまして、その取材で1週間経たないうちにカナダのトロントに飛ばされたんですね(笑)。見事カナダで達成してくれたので良かったのですが、ニューヨーク滞在は実質まだ1週間くらいなんです。

なるほど(笑)。最初に赴任が決まった時の心境を聞かせてください。

長谷川  まだ英語が苦手なので、やっていけるかなという不安もありましたけれど、でもそれ以上に血が騒ぎましたね。というのは日本では現場に行って取材をしてリポートをするという記者的な仕事を12年やってきましたから。(この街には)国連もある、今後、中間選挙も行われる。もしかしたら私の任期の間にオバマさんの審判が下るかもしれない。大統領選挙があるかもしれない。これをもし取材できるとしたら、それは自分にとっても大きなチャンスなんだなと思いました。だから不安3割、期待7割くらいですかね。

報道に携わる者にとっては、この街はやはり特別ですか。

長谷川  たまりませんよね。赴任して4日目に国連の取材に行きまして、実際に日本のそれとは全く違う質の警備を目の当たりにしてきました。コンクリートのブロック塀が並んでるんですね。「あれ、何ですか?」と聞いたら、車ごと突っ込んで自爆させるという爆破テロ用のブロック塀だという説明を受けるわけですよ。日本ではありえない。具体的に何が起きるのか、それを想定して警備をするというのは、やはり「グラウンド・ゼロ」のある街ですよね。

これからカメラの前で全米在住の日本人にどういったものを伝えていきたいとお考えですか。

長谷川  日本では「とくダネ!」という朝の情報番組を11年間担当してきました。情報のある意味、一番早いところ、先端を走ってきたんですね。その人間ではないと見えない視点というものを織り交ぜていきたいなと思っています。ニューヨークにお住まいの方々は、やはり世界を見ているというふうに感じます。その方々に(日本にいる)日本人はこのニュースをこうとらえているんだ、という視点も伝えていければと。例えば、先日起きました尖閣諸島沖での漁船の追突事故のニュースなどは、ウォール・ストリート・ジャーナルでも、ニューヨーク・タイムズでも経済的に落ち目な日本が中国の圧力に屈したんだという見出しなわけですよ。日本人はそれを非常にナーバスに、屈辱的に受け止めています。そういう日本人ならではの感性というものも織り交ぜていければな、と。ニューヨークにお住まいで、このあと日本に帰ったとしても、すぐに日本の情報に解け込めるような、そういう情報の伝え方をしていきたいですね。

最後に。赴任中ここだけは行っておきたいという場所はありますか。

長谷川  まずは「グラウンド・ゼロ」ですね。あとはミュージカルが好きなのでいろいろ回ってみたいんですが…。でも取材が忙しすぎると思うので、プライベートでは子供と過ごす時間をちょっと大事にしたいなと思っています。

長谷川豊(はせがわ ゆたか)

職業:フジテレビアナウンサー

1975年8月12日生まれ。奈良県出身。立命館大学卒業。99年フジテレビ入社。日本での担当番組:「とくダネ!」「中央競馬ダイジェスト」「みんなのKEIBA」「うまプロ」。モットーは「伝わるように伝える」。FCI公式サイト:www.fujisankei.com

 

〈インタビュアー〉
高橋克明(たかはし・よしあき)
専門学校講師の職を捨て、27歳単身あてもなくニューヨークへ。ビザとパスポートの違いも分からず、幼少期の「NYでジャーナリスト」の夢だけを胸に渡米。現在はニューヨークをベースに発刊する週刊邦字紙「NEW YORK ビズ」発行人兼インタビュアーとして、過去ハリウッドスター、スポーツ選手、俳優、アイドル、政治家など、400人を超える著名人にインタビュー。人気インタビューコーナー「ガチ!」(nybiz.nyc/gachi)担当。日本最大のメルマガポータルサイト「まぐまぐ!」で「NEW YORK摩天楼便り」絶賛連載中。

 

(2010年10月2日号掲載)

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