〈コラム〉法律の専門家がお答えします

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senmonka

今週は「シンデル法律事務所」

最近の気になる移民法関連ニュース(その1)

私はこれまで移民法に関わる会社による不当な雇用及びその管理に対する政府の対応、監査査察、判決結果等、様々に紹介してきました。それに関連し、最近、気になるニュースがありましたので、記事という形で紹介させていただきます。
ハルマーク工業サービス会社のマネジャー、トーマス・ガード氏は、連邦地方裁判所で、ミシガン州のカラマズー市で発生した石油流出の除去作業に対し不法就労者を故意に雇ったとして有罪を認めました。以前にもハルマーク社のオーナーであるフィリップ・ハルマーク氏も同様の罪に対し有罪を認めていました。ガード氏の有罪答弁によると、ハルマーク社はガーナーエンバイロンメンタル社より石油流出の原因である破裂したパイプラインの処分の依頼を受けていました。ハルマーク社は、労働許可がない事を知りながらも不法就労者42人を雇い、労働許可証などを偽造したのです。今回の有罪の決め手となった要因の一つに、当労働者が食事と作業現場までの通勤が保障されていた一方で、ホテルに匿われていたと見受けられる状況がありました。更に国会議員の告訴により、ガード氏とハルマーク氏は不法就労者の雇用に対して現金で賃金を支払っていた事も認めました。また今回の調査で明らかになった事に、ハルマーク社は、ガーナーエンバイロンメンタル社から労働賃金として支払うべきとして受け取っていた金額より低い賃金を不法就労者に支払っていた事も発覚しました。ガード氏とハルマーク氏は、最大で懲役10年と、25万ドルの罰金の判決を受けました。 今件はあくまでも一例で、会社の規模に関わらず、会社としてマネジャーやオーナーが不法就労者の雇用に関わるなど、移民法違反で刑事処分になるケースは少なくありません。
更に最近では不法就労者の取り締まりに限らず、政府はL―1ビザ保持者を抱える会社に対して正しくL―1保持者が申請書の内容に矛盾の無い雇用を受けているかについて、本格的に監査を開始致しました。これまではH―1B保持者に対する監査は行われてきておりましたが、それに加えてL―1に対する監査も本格化することで、より雇用者側は注意が必要となるでしょう。    (次回に続く)
(次回は4月第2週号掲載) sindel_faceup
〈今週の執筆者〉
弁護士 デビッド・シンデル(David S. Sindell – Attorney at Law) NY、NJ州公認弁護士、NY弁護士会会員 アメリカ移民法弁護士協会会員 1994年NYマンハッタンにシンデル法律事務所を設立。移民法を専門に扱う。以後1万件以上のビザ、永住権等の取得実績を誇る。2011年4月にはCA州シリコンバレーにもオフィスを設立。NY、CA、日本を中心とした法律セミナーの多数開催をはじめ、多数の日系情報誌にも法律記事を連載中で、在米日本人を中心に広く好評を得ている。米国在住の日本人とも交流が深く、米国を拠点に直接日本語で法律相談にも応じている。
〈今週の執筆事務所〉シンデル法律事務所 7 W. 36th St., 14Fl. NYC Tel:212-459-3800 Email:slony@sindelllaw.com Web:www.sindelllaw.com
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