〈コラム〉アーティスト・林世宝「チリも積もれば芸術に」第52回

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集夢計画47 「伝奇再続」

台湾南山高校で行われたPR座談会での劉モニカ(左)と筆者。中国語が分かる人は是非読んでみてください

台湾南山高校で行われたPR座談会での劉モニカ(左)と筆者。中国語が分かる人は是非読んでみてください

林世宝物語の2作目「伝奇再続:行動芸術家林世宝の集夢人生」が12月末に発行されました。作家は1作目同様、劉モニカ。雑誌の記者として私を取材した彼女が、作品にまつわる話が面白いと手がけてくれたのが「平和行進曲:林世宝ペニー物語」(2002年発行)。2年前の夏に座談会で久しぶりに再会し、続編の構想が持ち上がり、ようやく完成したのが今作です。

思い起こせば30数年、数え切れないほどの作品を作り、たくさんのものを集めてきました。ペニー硬貨100万枚、ペン30万本、おしゃぶり2万個、携帯電話2万5000個等々。ものには愛情や友情などの人間ドラマがあり、その人たちの心を盛り込む制作スタイルが私の行動アート。彼女が書いてくれた2冊の本は私の夢の道半ばの作品であり、全ては映画「集夢計画」の実現に向かっています。

昨年、モニカに大きな禍がふりかかりました。定期的に連絡を取り合っていたのですが、春すぎから2、3カ月、電話もメールも全く返事が来なくなりました。やっと彼女から電話が来たのが夏前、台湾の病院に入院しているとのこと。がんで余命6カ月と宣告されたというのです。執筆を中断し、治療に専念してと申し入れましたが、「書くことは私の力になるから止めない」と言って、放射線治療を受けながら病室で執筆を続けました。10月発行の企画でしたので、入稿の遅れで編集者から再三の催促があったにも関わらず、病気のことは一切伏せていました。プロの作家としてまさに命懸けだったのです。がんの宣告から10カ月、本は完成し発行に至りました。現在も治療を続けながら、PR活動に参加してくれています。夢を諦めず命の結晶を紡ぎ出したモニカは「集夢計画」の重要な出演者の一人。彼女のためにも映画制作の実現を今年頭にあらためて誓いました。

(次回は3月第2週号掲載)

〈プロフィル〉リン・セイホウ 1962年台湾生まれ。日本に留学中に日展、日仏現代美術展に出展し数々の賞を受賞。その後、渡米し、96年NY大学大学院修士課程を修了。NY現代美術展メディア賞、アジア傑出アーティスト賞などを受賞。世界中から素材を集める、ハート集結シリーズの代表作には「智恵の門(愛知万博)」、「ラブツリー(20万のおしゃぶり)」がある。NY在住。【フェイスブック

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