英語からのストレスを治療

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慢性的な肩凝りとはさよならできる?(3)
瓜阪美穂「理学療法士が教えます」身体が痛い本当の理由【第29回】

前回=6月16日号掲載=は交感神経と副交感神経の話をしました。二つ合わせて自律神経と呼ばれるこれらが、身体の緊張やリラックスをコントロールしています。

慢性的な肩凝りで来院したAさんは、自律神経と関係がある首の周りが硬くなっており、それが肩凝りの原因だと分かりました。そこで首周りの自律神経の筋膜を治療していくことで、Aさんの「凝り」は和らいでいきました。

そこで大事なのは、なぜ症状が起きたか理由を突き止めることです。治療を進めると、Aさんの場合は英語が関係していることが分かりました。首を触りながら英語で話してもらうと、声が高くなり首が緊張してしまうのです。これは米国在住の日本人によくあるケースで、母国語ではない言語を使う緊張がこのような形で出ていたのです。そのため理学療法の治療には「アレクサンダー・テクニック」を取り入れました。これは身の周りの刺激に反応して緊張していることに気付き、無意識に身に付けたその身体の緊張を意識的に開放していくことで、思うように身体を動かせるようになる「心と身体のトレーニング」です。

Aさんの場合は駐在で来て英語に自信があったので、肩凝りの原因が仕事のストレスではなく英語からくることに驚きました。多くの方が肩凝りになりますが、その原因は多岐にわたります。Aさんの場合はストレスと自立神経からきていましたが、他のケース(2016年5月21日号掲載)では内臓の硬さと食事からきていました。同じこ凝りでも原因を突き止めて、適切な治療を受けるようにしましょう。

瓜阪美穂〈筆者プロフィル〉
瓜阪美穂(うりさか みほ)  理学療法博士、整形臨床スペシャリスト。ニューヨーク州立大学ビンガムトン校を卒業後、南カリフォルニア大学理学療法博士課程を修了。ブロードウェイミュージカルのダンサーの理学療法士としても活躍中。米国の理学療法により、自身の身体に興味をもち、正しい動作を生活に取り入れることを目的に治療や指導を行っている。
★身体に関する皆様からの質問も受け付けています。
【ウェブ】https://omptny.com/ja/

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