〈コラム〉HR Guidance for the Post COVID-19 Workplace Shutdown~外出制限の緩和・解除に向けて~

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事業計画、働き方、勤怠管理や職場環境の見直しを

「マネジメントへの手紙」
マネジメント・コンサルタント/プロフェッショナル・コーチの視点から
HRMパートナーズ社 社長 三ツ木 良太
第40・41回

3月下旬頃から多くの州で始まった「外出制限とそれに類する行政命令(Stay-at-Home Order、Shelter-in-Place Order等)」のために、従業員がオフィスに出社することを事実上禁止され、在宅勤務に切り替えざるをえなかった企業も多かったと思います。
また、在宅勤務で対応できない場合には解雇やレイオフ(一時解雇)もしくはファーロウ(一時帰休/無給一時休業)によって対処せざるをえなかった企業もあるでしょう。

そういった意味では、この期間は本当に急な変化を求められ、心身共に大変な状況に置かれた方が多かったのではないかと推察いたします。 そしてようやく慣れてきたと思ったところで、4月下旬から徐々に緩和措置が取られ始めてきており、経済活動が一部再開されてきている州もあることから、今度はそれへの対応が必要になっていることと思います。

従業員の健康と安全に配慮するのは最も重要なことで皆様も常に気にされていることと思いますが、外出制限の緩和・解除に向けて、人事労務管理面では従業員の健康と安全に加えて検討した方が良い事項は多くございます。
検討・取組内容例を含めてキーポイントをまとめましたので、ご参考になれば幸いです。

■事業計画および人員計画の見直し

既に取り組まれている企業も多いことと思いますが、事業計画はどのように見直されていますでしょうか? また、どのような事業計画かによると思いますが(現状維持、撤退、縮小、拡大?)、今後の組織体制はどうするか、人員は現状維持か、減らすか、増やすか? いずれにしましても、組織体制と各ポジションの職務範囲と職責を見直す良い機会になると考えます。
〈検討・取組内容例〉
・Organization Chart(組織図)
・Job Description(ジョブ・ディスクリプション)
・Termination, Layoff, Furlough(解雇、レイオフ、ファーロウ)

■働き方および規程の見直し

人員計画の見直しによって再定義された職務範囲と職責によっては、しばらくは在宅勤務を継続するポジションもあるかもしれません。今回の対応として作成した在宅勤務規程が一時的なものであれば、対象期間を含めて修正が必要になるでしょう。また、ソーシャル・ディスタンシングを念頭に置きつつ、勤務場所、勤務形態、勤務時間(時差出勤やフレックス・タイム等)、各種休暇制度、移動・出張等、従業員の“働き方”に係わる様々な規程を見直した方が良いでしょう。
〈検討・取組内容例〉
・Telecommuting Policy(在宅勤務規程)
・Company Policies(会社規程)/Employee Handbook(従業員ハンドブック)
・Business Travel Policy(出張規程)

■勤怠管理や業績管理の仕組みの見直し

従業員の働き方の変化に合わせて、勤怠管理や業績管理の仕組みも見直す必要が出てくるでしょう。勤務時間や各種休暇をアナログ的に管理されている場合は新たなシステムを導入することも考えられるでしょう。また、これまではオフィス出勤をベースにして「働いているように見える」ということも含めて従業員のパフォーマンスを評価していた場合、今後は“プロセス”を見える化しつつ、“結果”を重視した評価制度に見直していく必要が出てくるでしょう。
〈検討・取組項目例〉
・Human Resource Information System(HRIS)/Human Resource Management System(HRMS)(人事労務管理システム)
・Performance Appraisal System(業績評価制度)
・Management by Objectives/Goal Setting(目標管理制度)

■職場環境・安全規程の見直し

これまでと同様、今後もDOL・EEOC・OSHA等の法規制やCDC等の公的機関のガイドラインに従うのは当然として、貴社が入居しているビル等のルールも確認する必要があるでしょう。また、しばらくはソーシャル・ディスタンシングが標準となると考えられることから、オフィスのレイアウトも再構築する必要が出てくるかもしれません。

さらに、見落とされがちですが、在宅勤務を導入している場合は雇用主の義務として従業員の自宅の勤務場所の安全にも配慮しなければなりません。

前記のとおり従業員の健康と安全に配慮するのは最も重要なことであり、従業員が安心して勤務できるよう、清掃・消毒のルールや手順を決めたり、マスクや手袋、ハンド・サニタイザー等を整備したり、従業員の健康状態の確認や検温のルール作りも必要になるでしょう。そして会社が取り組んでいる内容や決定事項について従業員と十分にコミュニケーションをとるべきです。
〈検討・取組項目例〉
・Office Layout Rearrangement(職場のレイアウト変更)
・Telecommuting Agreement(在宅勤務契約書)
・Personal Protective Equipment(PPE), Essential Goods(個人防護具、必需品)
・Cleaning/Disinfecting Rules and Procedures(清掃・消毒ルールや手順)
・Safety Policies(安全規程)
・Communication Letter/Guidance Letter(コミュニケーション・レター/ガイダンス・レター)

内容に関してご質問等がございましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください。

(次回は6月第3週号掲載)

 

〈執筆者プロフィル〉みつぎ・りょうた イリノイ州シカゴ生まれ。学習院大学法学部を卒業後、日本電信電話株式会社(NTT)、ニューヨークに本社を置くコンサルティング会社を経て、2009年よりHRM Partners, Inc.に在籍。各地の商工会等での講演・セミナー実績多数。また、日系紙『ニューヨーク Biz』『企業概況ニュース』でのコラム連載をはじめ、組織・人事労務管理等に関する記事も多数執筆。

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