「永野・森田公認会計士事務所 日下武」ビジネスのツボ 第76回
最近はボストン近郊を運転することが多いのですが、ハイウェイは常に渋滞しているように感じます。場所によっては4車線あるような太い道なのですが、なかなか進みません。右からはどんどん新しい車がハイウェイに合流してきます。
早く目的地に着くために、できるだけ左車線へ行こうという車が多く、左車線の皆さん車間を空けずに自分の位置を守ります。徐行の中、最初は私も左車線を目指してバックミラーに目を光らせ、左後ろに車の隙に注意していましたが、指示器を出すとわざと詰められるというやり取りに疲れ、諦めました。冷静に周りの車両状況を見てみると、実は一番右側の車線が一番動いていることに気がつきました。よくよく分析してみると出口近くになると、ハイウェイから降りていく車が右に行くので出口付近では右車線の進みが速くなります。逆に合流場所では右車線は少し遅くなりますが、入ってきた車たちは左車線を目指しますので、しばらくするとやはり右車線が動き出します。ということで、渋滞になったら私は右車線をトライすることが多くなりました。ただ、上り坂の積荷トラックや安全運転のお年寄りなどが右車線にいらっしゃる場合は、右車線戦法は不利に働くので、状況を正確に判断しなくてはなりません。
状況判断という話になると最近は市販の会計帳簿ソフトやタックスリターンのソフトが急速に発達しているのが目立ちます。W─2発行の給料だけを収入とする人は、W─2を携帯で写真をとるとフォームの数字の場所から認識して、タックスリターンが仕上がってしまうというCMも見ました。さらに何年か前までは手入力だった帳簿ソフトもオンライン化し、銀行やクレジットカードはもちろん、POSなどにもリンクさせることができ、全てを自動化する時代も遠くないと思います。
会計士業はなくなるという記事もよく見ますが、ある程度の会計知識がないとこの便利なソフトも使いこなせません。この状況から判断すると、リンクやダウンロードによる自動化が発達することにより、入力の速さというのは必要なくなるかもしれませんが、会計帳簿ソフトのリンク設定や使い方に精通している会計士のニーズが出てくるのかもしれません。
どちらにしても時代の変化に伴い、なくなる仕事もありますが、新しい仕事も出てくることは確かです。この時代、状況判断をして、新しい職種を創造するのも一つの楽しみかもしれません。
〈プロフィル〉 日下 武(くさか たけし) 永野・森田公認会計士事務所NJ拠点マネージャー。大手日系食品商社での営業経験を生かし、顧客の立場になって、全体的なビジネス、会計、税務相談を受けている。メーカーからレストラン、リテーラーマで、幅広く顧客を持つ。
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