NYにただいまと帰ってこられる場所を
全150室を誇るニューヨークで唯一の日系ラグジュアリーホテル、「ザ・キタノホテル・ニューヨーク」に昨年11月中旬、新ディレクターが着任した。小池篤史さんがその人だ。広告代理店「電通」でメディアと営業を経験し、メディアバイイングからイベント運営など幅広く広告・宣伝に携わる。広告主が持つ課題解決をサポートすることをモットーに、日々仕事に没頭していた。そんな広告マン小池さんがニューヨークに赴任して、最初に感じたのは、ニューヨークを舞台に世界で活躍する日本のビジネスマンが「ただいま、と言って帰ってこられて、リラックスできる場所でありたい」という思いだった。
ボストンの大学に留学していた小池さん。学生時代からニューヨークは憧れの街で、事有るごとに来訪しては、いつかここで仕事をすることを夢見てきた。社会人になって、あらためて見るニューヨークは「観光でもレジャーでもお越しになる方がいらっしゃいますが、仕事で訪れる日本人のビジネスマンもとても多い」場所だった。「ここは厳しい場所ですよね。商談は強気ですし、慣れない英語で駆け引きしなければいけなくて…。そんな場所だからこそ、仕事を離れたらゆっくりリラックスしていただきたい。私たちは、皆さんがただいま、と帰ってこられる家でありたいと思っています」
例えば、深いバスタブでお風呂につかれること、ルームサービスでおにぎりやおみそ汁が頼めること、朝ごはんに納豆があること、フロントもコンシェルジュも、全て日本語が通じること。細かなこだわり一つ一つが、キタノホテルが44年間、ニューヨーク唯一の日系ホテルとして提供し、日本を含めた多くの方に愛されてきた理由だと、小池さんは感じている。何気ないけれども、日本と同じように心地よく過ごせる環境を提供することで、「日本からのお客さまにほっとしていただき、よし、また明日から頑張ろう!と、思っていただけたら」。
全宿泊客の3分の2を占める日本以外からの宿泊者にも特別な思いがある。「日本の文化を世界に発信するPR活動がしたいと常に思っていたので、国際的都市ニューヨークで日本のおもてなしを紹介、かつ、広められる仕事をしていることが誇らしくて」と、笑顔で話す。
◎情報
ザ・キタノホテル ニューヨーク
【ウェブ】www.kitano.com/jpn
【住所】66 Park Ave, E 38th St New York NY 10016
(2017年1月28日号掲載)