テキサス州ヒューストンに支店設立
田畑のり子社長に聞く
人材紹介会社のTOP-NY(本社:ニューヨーク、社長:田畑のり子氏)は、テキサス州ヒューストンに支店を設立し昨年11月1日より業務を開始した。現在、世界10都市で展開する同社の田畑社長に、米国雇用市場の現状や、同社成長の背景について伺った。
米国人雇って育てる方向に
―求職者にとって、今は売り手市場ですか。
20代の若手求職者に関しては売り手市場だと思います。職があり転職で給料も上がるため、表面的な条件で“気軽に”転職する人も多くいます。しかしそれを続けた結果、30、40代で厳しい状況になる人がいる現状もあります。しかるべき時期にスキルを身に付けていた人は成功し、計画性無く給料だけで転職を続けた人は後で苦労する姿を私たちは数多く見ています。
―企業が直面する状況は。
ビザが取れなくなったため、新卒の日本人は採用しづらくなりました。新入社員を育ててビザを出す方法が難しくなったため、米国人を雇って育てる方向に切り替える企業が増えています。
また90年代、円が強かったころに渡米した人たちの子供が就職市場に出てきています。米国育ちの彼らはバイリンガルで会話はできますが、読み書き、文化、名刺の出し方など日本的なマナーはトレーニングが必要です。企業は採用も大変ながら、育成にかなりの時間をかけないと、人材は居付かないでしょう。
―TOPについて教えてください。まずテキサス州ヒューストン支店開設の背景は。
これまで中西部(シカゴ・アトランタ・ダラス)で行っていたアライアンス(提携)契約を解消して、自社で開拓できる支社を設立しました。都市の勢いや隣国メキシコとの立地、エネルギー関連事業復活の兆しなどを鑑みてヒューストンを選びました。
専門を深く掘り下げ続け
―1992年の創立以来、長年成長を続けてきた秘訣(ひけつ)は。
「職業紹介、テンプスタッフ派遣、人事コンサルタント」という一番の強みのビジネスに特化したことでしょうか。他のサービスを広げたりせず、その専門を深く掘り下げることに努めました。リーマンショック以降は景気の波に乗ったと思います。
とはいえ、エントリーポジションは少なくなりました。企業は、大学からインターン生を直接入れてそのまま採用するようになったからです。求職者もインターネットで簡単に仕事を探し、手軽に人を採用できる時代になったと言えます。
日系企業と求職者のマッチング力が強み
―その状況は貴社にとって逆境では。
逆に忙しくなっています。米国では、日系企業は米系と比べてブランド力が弱く、採用時点の短期的な条件で劣ることも多いため、米国人を雇おうとしても人材が集まらないのが実情です。そこで求職者にキャリアパスの話をするなど、長期的なイメージをさせて、面接に持っていく。これが当社の得意とするところです。人材を横流しにするのではなく、振り向いていない人を振り向かせて企業に紹介する、あるいは履歴書にない才能を見つけて引き出すのも当社の仕事の一部です。
―今後の計画は。
人事コンサルティングにより力を入れていきます。多くの企業が参入し、インターネットで情報も入手できますが、それを自社にカスタマイズしようとすると難しい。「分かるけど、どうやって?」「社内の弁護士が言っていることが、さっぱり」などという声に応えて、より具体的に説明するサービスを強化していきます。
〈TOP-NY〉
【住所】45 W. 34th St, Suite 1102(bet 5th & 6th Ave)
【電話】212-983-0055
【Eメール】ny@top-us.com
【ウェブ】top-us.com
〈ヒューストン支店 概要〉
【社名】TOP Houston
【所在地】3200 Southwest Freeway, Suite 3300 Houston, TX 77027
【電話】713-257-3505
【Eメール】tx@top-us.com
(2018年1月13日号掲載)