新しい「ロキシー」で新しい「シカゴ」をお届けしたい
「 ガチ!」BOUT. 216
NHK連続テレビ小説「マッサン」のヒロインとして日本で一躍人気者となった女優のシャーロット・ケイト・フォックスさん。ニューヨークで9月28日に行われた日本政府観光局(JNTO)の「訪日観光セミナー」で安倍晋三首相や元ヤンキースの松井秀喜氏とともに、ゲストスピーカーとして招かれ、日本のPRに一役買った。また10月31日には、いよいよミュージカル「CHICAGO」でブロードウェイ・デビューを果たす。世界最高峰の舞台に立つシャーロットさんに、これからの意気込みや日本への思いなどを伺った。
(聞き手・高橋克明)(※太字表記は日本語で発言)
NYで安倍首相や松井秀喜氏と日本をPR
今回は日本を世界に紹介するというイベントに特別ゲストとして招待されました。シャーロットさんにはピッタリのお仕事ですね。
シャーロット トテモ光栄デス。日本ダイスキデス(ニッコリ)。日本という国をとても誇りに思っているので、今日ご招待いただいて、すごくうれしかったです。あとは、この機会に少しだけでも日本のことを話せたことがハッピーでした。
アメリカ人に「日本のここを勧めたい!」って所はどこでしょう。
シャーロット いっぱいあります。とても美しい国です。東京はどこにも負けないくらいの都会で、北海道は今まで訪れた国でも見たことなかったくらいに一番美しい! シーフードはとてもおいしくて、海の景色も素晴らしかったです。広島には古き良き建築がありました。それが印象に残ってます。大阪は人が親しみやすくて、独特の社会がユニークで声が東京の人と比べて大きいと思います。
大阪だけ印象は“人”なんですね(笑)。日本食は大丈夫でしたか。
シャーロット 日本食、ダイスキデス! 特に伝統料理はとてもヘルシーで、よく食べました。
日本で暮らし始めた当初、一番苦労したことは何でしょう。
シャーロット 日本語ワカラナカッタ。友達イナイ。オ母サンイナイ。家族イナイ。サミシカッタ。でも「マッサン」の共演者、スタッフ、事務所やマネージャーさんたちみんな良い人たちで、いつも支えてもらい、そこからは寂しさよりも楽しさが多い生活に変わりました。そこからはとにかく、上手じゃなくても日本語で、その人たちととにかく話そうって思いました。
大丈夫です。在米15年の僕の英語よりずっとお上手です(笑)。具体的にはどうやって日本語を勉強されましたか。
シャーロット 「マッサン」の撮影では毎日一日中日本語を使っていました。その時のが今よりもっと話せたと思います。会話の70%くらいは理解していますが、まだ日本語で喋ることが苦手なので、日本語の勉強を続けたいです。
ということは、機会があればまた日本でもお仕事したいという気持ちも。
シャーロット もちろん! すでに12月にも決まってますし(注)この先もずっと日本という国とは関わっていきたいです。本当に大好きな国だし、何より女優というキャリアを築き上げさせてくれた場所だからです。
それにしても…、シャーロットさんってどの角度から見てもおキレイですね…(完全に仕事を忘れて)
シャーロット ありがとうございます。メークさんのおかげです。(笑)
「マッサン」のエリーから「CHICAGO」のロキシーへ
あ(われに返って)すみません…。そして、いよいよ今月末からは「CHICAGO」のステージに主演として立ちます。
シャーロット もう、夢みたいです! オン・ブロードウェイの、しかも「CHICAGO」の舞台に立つということは、女優としてはこれ以上ない名誉です。このお仕事を始めた時からの夢でした。いまだに「現実なの? これ」って感じです。
ブロードウェイデビューが「CHICAGO」のロキシー・ハート役ってすごいですね。
シャーロット とても興奮しています。もうリハーサルの段階で幸せを感じています。自分の一番好きな舞台の、一番好きな役を自分が演じられる。女優としてはこれ以上ないほどの幸せです。
かつて多くの女優さんが演じてきた役です。ご自身の中で、今回はどんなロキシーを演じたいですか。
シャーロット そうですね。「CHICAGO」が始まって以来、ホントに多くの方がロキシーの役を演じてこられて…。だからこそ、毎回新しい“ロキシー・ハート”を観ることができるので、皆さん何度も劇場に足を運ばれるんだと思うんです。ストーリーが同じでも、役者が違うとまた新しい「CHICAGO」になる。私もまた新しいロキシーを演じて、新しいシカゴを皆さんにお届けしたいと思っています。
なるほど。アメリカに戻られたばかりの今、いきなり稽古の時間を取るのは大変ではないですか。
シャーロット 今回の話をいただいて、日本にいた時から役作りのリサーチはしていました。(オープンの)10月31日には万全の状態で臨みたいって思ってます。ダイジョウブデス。(笑)
最後に日本人読者にメッセージをいただけますか。
シャーロット 日本人としてアメリカに来ていっぱい苦労もあると思います。私もアメリカ人として日本で生活してましたから、逆ではあるけれど、同じ立場です。なので、たくさんの苦労もあるということが想像できるのですが、頑張ってほしいです。私は日本にいる時に多くの日本の方に支えられてきました。感謝の気持ちでいっぱいです。よって、アメリカにいる日本人の皆さんにお会いできることを本当に、本当に、本当に、楽しみにしています!
(注)「CHICAGO」は、12月4日~23日まで「東京公演」(東京東急シアターオーブ・ヒカリエ)が、26日・27日に「大阪公演」(梅田芸術劇場メインホール)が予定されている。
★インタビューの舞台裏★ → ameblo.jp/matenrounikki/entry-12078893029.html
1985年8月14日生まれ、米国ニューメキシコ州出身。カレッジ・オブ・サンタフェで演劇ダンス専攻BFA(学士)取得後、ノーザンイリノイ大学演劇専攻MFA(修士課程)修了。米国俳優協会(Actors’ Equity Association)会員であり、レパートリー・シアター舞台「毛皮を着たビーナス」「ザ・スメル・オブ・ ザ・キル」「シカゴ」「バスストップ」では主役を演じ、複数の地元新聞の演劇レビューでその演技力・ダンスのスキルに高い評価を得る。日本でのテレビドラマ初出演となる、NHK連続テレビ小説「マッサン」でヒロインの大役を果たす。2015年8月には自身初のアルバム「Wabi Sabi」をリリースし、8月18日から1カ月間全国ツアーを行う。10月末よりブロードウェイで、ミュージカル「シカゴ」でロキシー・ハートを演じ、12月にアメリカ・カンパニー東京、大阪で公演。
作品紹介「CHICAGO」
10月31日~ニューヨークのアンバサダー劇場で
10月31日、ニューヨークでロングラン中のブロードウェイ・ミュージカル「CHICAGO」の主演、ロキシー・ハート役でブロードウェイデビューを果たす。
米国の大学で演劇を専攻し、母国でも舞台女優として演技力やダンスのスキルを高く評価されていたシャーロットさん。NHK連続テレビ小説「マッサン」でウイスキー作りに人生をささげる政春を健気に支える良妻・エリー役から一転、本作では欲望のために手段を選ばないセクシーな悪女・ロキシーを演じる。
ニューヨークのアンバサダー劇場で10月31日~11月15日(予定)で上演された後、12月に来日公演も行われる。チケットの詳細はchicagothemusical.com参照。
〈インタビュアー〉
高橋克明(たかはし・よしあき)
専門学校講師の職を捨て、27歳単身あてもなくニューヨークへ。ビザとパスポートの違いも分からず、幼少期の「NYでジャーナリスト」の夢だけを胸に渡米。現在はニューヨークをベースに発刊する週刊邦字紙「NEW YORK ビズ」発行人兼インタビュアーとして、過去ハリウッドスター、スポーツ選手、俳優、アイドル、政治家など、400人を超える著名人にインタビュー。人気インタビューコーナー「ガチ!」(nybiz.nyc/gachi)担当。日本最大のメルマガポータルサイト「まぐまぐ!」で「NEW YORK摩天楼便り」絶賛連載中。
(2015年10月17日号掲載)