めちゃめちゃ〝ホーム〟だったライブ(堂珍)
アニメの力のすごさに驚かされ興奮(川畑)
「ガチ!」BOUT.103
圧倒的な歌唱力で日本の音楽業界の中心に立ち、今や日本を代表するアーティストとなったケミストリー。先月29日、バルチモアで開催された全米最大級の アニメコンベンション「OTAKON」に名誉ゲストとして参加。米国で自身初となるライブを行った。興奮冷めやらぬライブ翌日、お話を伺った。(聞き手・高橋克明)
「OTAKON」出演で米デビュー
意外にもアメリカでのライブは昨夜が初めてだったんですね。
堂珍 アメリカでライブをすることは、自分たちにとっても今年の夏、一番のニュースな出来事だったので、初めは、ダンサー4人と僕たちの計6人で、やりきろうって気合入れて挑んだんですよ。でも、ライブが始まってすぐに感じたのは、もう会場全体が(アウェーではなく)めちゃめちゃ“ホーム”だったんですね。皆さん自分たちの歌もすでに知ってもらってたし、“CHEMISTRY”って書いてあるボードを掲げて応援してくださるアメリカ人もいましたし。
川畑 アニメの力のおかげですね。アニメの主題歌として自分たちの曲が使われていたのは知ってたんですけど、それによってこんなにも多くの方が自分たちのことを知ってくれていたんだって、あらためて、アニメのすごさに驚かされました。ほんっと興奮しましたね。今まで日本でも感じたことがなかった感覚でした。
堂珍 オーディエンスの盛り上げ方もうまいから。欲しいとこで歓声が来て、一個一個のアクションでいちいち(歓声を)いただくんで、すごくうれしかったし、とにかくみんなと触れ合えたってところが今回来て良かったなと思ったところです。
川畑 逆にまだ知られていない曲の場合は、自分たちのパフォーマンスの見せ方でどれだけ引きつけることができるか、そういった意味でもすごくステージを楽しめました。ほんとにいい経験ができたので、またぜひ来たいですね。
日本でのライブとはまた全然違った感想ですね。
堂珍 同じように緊張するし、同じように興奮するんですけど、ただこっちのオーディエンスの反応がすごく良くて、それによっていつもより前向きな自分になっちゃうっていうか(笑)。テンション上がってる自分がいたっていうのはありましたね。
川畑 来てくれた皆さんのおかげで、うん、大成功だったと思います。
実際に日本の文化でここまで盛り上がっているイベントを間近で見て感じられたことはなんでしょう。
川畑 日本の文化がこんなにも愛されてるんだなと。すごい(コスプレした)人の数ですよね。すごいなぁの一言です。
堂珍 (会場に)アニメーションが流れてるだけでワー! キャー! なんですよ。ディズニーランドのアトラクションに乗ってるかのごとくの歓声が聞こえてくるから。すごいなって。
川畑 いや、もう、ここまでの規模でこれだけみんな楽しんでると、もうそれだけでいいんじゃないかな、みたいな。(昨夜も)ライブが終わった後の遅い時間になってもコスプレした人が続々、会場に来てましたし。逆にうらやましかったですね。こんなに楽しいイベントができて、みんなハッピーになれて、そういうのは大切だなあと思いますね。元気になれます。
堂珍 (日本は)島国だから逆にいろんなものが入ってきていろんなものがミックスされてるじゃないですか、食べ物もそうだし、音楽もそうだし。情報も今やネットでリアルタイムで伝達されて、あらゆるものが飛び越えて行き来する時代になっちゃってるから、すごく面白い時代になってますよね。だからこそ、逆に言うとそれぞれの文化の個性がなくなっちゃうのは嫌だなとも思います。文化が伝わるのは当たり前の時代に、アニメの個性はそのままに受け止めてくれていることはうれしいですね。
震災があった年に招待されてのアメリカでのコンサート、非常に意味があったと思います。
川畑 3・11があってからは日本も節電でまあちょっと暗い夜もあったりするんですけど、徐々に、ほんとに徐々にですが、戻ってきてると思うんです。ただ、僕らは東京でしたので、被災地の方はまだまだ大変だと思うんですね。僕たちはこうやってアメリカに来て、すごくいろんな刺激を受けてうれしい半面、やっぱり日本のことを思うとそういった心配はありますね。
堂珍 ただ、僕は“日本はもう安全ですよ”って言いたい気持ちもあって、もちろん被災された方は、まだ元の生活に戻れてなくて大変ですけど、こんな大変な時期だからこそ、自分は今回のようなイベントで1日でもいいから、1時間でもいいから、楽しかったって思ってもらえるように音楽を続けたいですね。
CHEMISTRY
職業:歌手
2001年デビュー。ファーストシングル「PIECES OF A DREAM」が16週連続TOP10入りという驚異的なロングセラーを記録し、ミリオンヒットに。ファーストアルバム「The Way We Are」は発売1週間で200万枚を売り切る勢いを見せ、最終的には出荷ベースで300万枚というモンスターヒットを記録した。通算シングル29枚、アルバム12枚をリリース。CD総売り上げ枚数は1800万枚を誇る日本を代表するアーティスト。公式サイト:www.chemistryclub.net
〈インタビュアー〉
高橋克明(たかはし・よしあき)
専門学校講師の職を捨て、27歳単身あてもなくニューヨークへ。ビザとパスポートの違いも分からず、幼少期の「NYでジャーナリスト」の夢だけを胸に渡米。現在はニューヨークをベースに発刊する週刊邦字紙「NEW YORK ビズ」発行人兼インタビュアーとして、過去ハリウッドスター、スポーツ選手、俳優、アイドル、政治家など、400人を超える著名人にインタビュー。人気インタビューコーナー「ガチ!」(nybiz.nyc/gachi)担当。日本最大のメルマガポータルサイト「まぐまぐ!」で「NEW YORK摩天楼便り」絶賛連載中。
(2011年8月13日号掲載)