HAN-KUN

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今、音楽を作ったり、歌ったりがスゲー楽しくて

「ガチ!」BOUT. 230

 

HAN-KUN

 

人気レゲエグループ「湘南乃風」メーンボーカルであり、ソロとしても活動するHAN-KUN。現在、自身の音楽に磨きをかけるため半年前よりニューヨークに滞在中。19日には老舗ライブハウスでのイベント『SOB’S NY MATSURI 2016』にも出演する。半年を振り返り、この街で得たものなどについてお話を伺った。 (聞き手・高橋克明)

 

19日、NYでライブ

日本での音楽活動を休止されてまで、こちらで半年もの間、滞在されたわけですが、以前からご自身で希望されていたことでしょうか。

HAN-KUN (毎年)年に1回は制作のためにジャマイカに行ってたんですが、その帰りに2〜3日ですけれど、ニューヨークには寄ってたんですね。で、毎回「ノってきたなぁ」と思うころに帰んなきゃいけなくて。作品の完成とはまた違った意味で、自分の感覚の部分で、まだ完成しきらないままに帰ってっていうのを繰り返してたので。やっぱり、いつかは少しでも長く、納得できるまでいたいなって気持ちはずっと思ってましたね。後はタイミング的にもちょうど、制作の時期に重なったので、メンバーも事務所も快く背中を押してくれました。

レゲエのイメージからジャマイカは分かるのですが、ニューヨークを選んだ理由はなんでしょう。

HAN-KUN レゲエという音楽を自分なりに解釈して15年もの間、日本で体現させていただいてたんですが、僕の中ではレゲエはやっぱりジャマイカなんです。ジャマイカで本場のアーティストと触れ合わさせてもらって、吸収させてもらって、で、そのジャマイカも常に進化し続けて、僕も負けじと追いつくように努力して、自分が追いかけ続けてる音楽は100%ジャマイカにはあるんです。ただ、広く見たときに、世界のトレンドを作ってるのは、やっぱり世界の中心であるここなので、どういうふうに世界に発信している音楽が生まれていくのか、自分なりに感じてみたかったんですね。もちろん今の時代、ネットで見ることもできるけど、その空気の中に入って肌で感じるのはやっぱり違うだろうし、どういった人たちがどうやって作り出しているのか、目の前で見て、なんなら一緒に作って感じてみたいっていうのが一番デカい理由ですね。

なるほど。ジャマイカで感じた部分を、ニューヨークで形作っていくというか。

HAN-KUN そうですね。音楽って、やっぱり人の心の無意識の部分をいかに操作できるか、だと思うんですよ。その感覚をいかに操れるか。ジャマイカの人たちは無意識にそれをやれている。感覚として、音楽を作る。血がそうさせるというか(笑)。ニューヨークの人たちは、もちろん感覚も持っていて、さらにそれプラス、知識として、理論として。それを形作る方が多いですね。

音楽を通じて両国の違いを感じたわけですね。

HAN-KUN 僕なんかが言うのもアレですけど(笑)。ジャマイカで感じた本能の行き着く先を、さらにこの街で肥大化させて、飛躍化させて、それを自分の中に取り入れていきたいなって。やっぱり、この街は世界的なアーティストのライブを目の前で見られる街なので。例えばグラミーを受賞されたプロデューサーとか、そういう世界のトップレベルで戦っている人たちと音楽制作を一緒にさせてもらえたのは、自分の中ですごい財産だし、これからも続けていきたいですね。

滞在中、印象に残ったエピソードなどはありますか。

HAN-KUN ジャマイカの知り合いを通じて、こっちのアーティストのライブを観にいくことになったんですけど、バックステージで観てるうちに歌いたくなっちゃって。(笑)

体がうずいて。

HAN-KUN そう。(バックステージから)ちょこっとのぞきながら「オレいるよー」みたいな(笑)。当然、ステージの後ろからだから、背中にアピールしてもなかなか気付いてくれなくて。一生懸命、熱を送って、一瞬振り返ったところで、こうやって(手を振るしぐさ)。

あははは。

HAN-KUN そうしたら、そのアーティストの方が気を使ってくれて、僕を呼び込んでくれて。

ステージに出られたんですか!?

HAN-KUN 日本語で歌いました(笑)。もちろん「いきなり出てきて、誰だこいつは?」みたいな反応だったかもしれないけれど、でも、おもしろおかしく聞いてもらえたんじゃないかなって。思い違いかもしれないけど、一瞬だけかもしれないけど、日本語でも、 純粋に僕のメロディーなり、音自体を楽しんでくれてるって瞬間が確かにあって。歓声までくれて。

ニューヨーカーの観客は厳しいですから、歓声があった時点で思い過ごしでは絶対ないと思います。

HAN-KUN 英語で歌いたかったんですけど、でも音楽って言葉や国境を越えることができるものなんだなってあらためて感じられました。例えば日本(のステージ)で海外のアーティストと一緒にやらせてもらったことは何度かあったんですけれど、日本でやるソレと、こっちでやるソレは大きく違うし。そう考えたら、ホントにこっちのルールで、こっちの人と肩を並べて勝負をしている(世界各国の)人たちはスゴいと思うし。でも、その人たちと重なり合う瞬間が、その時にはあったなって思えたんです…。言葉ではうまく言えないけど。

伝わります。ステージに立ちたいというアピールは、やっぱり、自信があったから?

HAN-KUN そう!……って言いたいんですけど(笑)。どうですかね。その時はもう、ただ、「歌いたいー」「オレも、オレもー」みたいな子供のころの感覚でしたね(笑)。でも…生意気かもしれないけど、この先もまたこんなチャンスがあれば、歌いたいですねー。

この半年間は非常に貴重な期間でしたね。

HAN-KUN 自分の音楽っていうものを見つめ直すにはいい時間でした。日本だと、自分を客観的に見つめ直す機会が意外にないんですよ。ここにいる時間、「もしも、この時間日本にいたら」って考えながら生活できたので。まぁ半年でも少ないですよね。本当は、もっともっと、滞在して、もっともっと勉強したい。もっともっとっていう欲はあるんですけれど、この限られた時間の中で何ができるのか、そう考えながら過ごせましたね。

帰国後の音楽活動にもいい影響が期待できますね。

HAN-KUN どのお仕事でもそうだと思うんですけど、初期衝動って単純にやりたいって気持ちや、楽しいって思いからスタートすると思うんです。それがやっていくうちに、世界に憧れて、それを追いかけて、いつしかそれだけが目的になっていく。気付いたら、最初のただ、やりたいとか楽しいっていう一番大切な思いとは別のものに変わっていくんですね。自分ではそんな気持ちを保っていると思ってても、保たなきゃ“いけない”に変わっていってたと思うんです。でも、ここに来て、純粋に、やっぱり音楽を楽しむって気持ちにまたなれた気がしますね。このスタジオにいる時は、本当に音楽だけだし、今はやっていて楽しくて仕方ないですね。純粋に音楽を作ったり、歌ったりがすげー楽しくて。あらためて、音楽って楽しいなーって思えたことが今回のこの旅で一番デカかったことでしたね。

19日のライブでは観客のニューヨーカーに何を伝えたいでしょう。

HAN-KUN シンプルに僕たちの奏でる音を楽しんでいただけたらなって。日本人もこういう音楽やるんだぜって知ってほしいし「日本人もシブいじゃん!」って思ってほしい。あとは、そのイベント自体が「MATSURI(祭り)」ってタイトルなので、今、みんなで、日本の文化なり色をホール全体に響かせたいねって企画を考えているので。ぜひ、日本の方にも足を運んでいただきたいですね。

ニューヨークに来た際に必ず足を運ばれる所はありますか。

HAN-KUN うーん…ここ(笑)。必ず来る所はこのスタジオになりますかね…あ、あとはコリアンタウンに行きます。ご飯食べに(笑)。それくらいですね。でも、この街は大好きなんで、これから、もっともっと知りたいですね。

最後に在ニューヨークの読者にメッセージをお願いします。

HAN-KUN 僕なんかが何も言えないですけど、海外で生活されて、海外で活躍されている方って、ある意味、日本を代表している方たちだと思うんですよ。それはどんなご職業の方であれ、学生さんだってそうだと思うんです。この街で生きていくって僕たちが想像ができないくらい大変なことだらけだと思うので、本当に心から尊敬しています。僕たちもそんな皆さんに応援されるように、世界で自分たちの音楽が届くように努力し続けるので、いつしか街の中ですれ違ったら、「聴いてるよ〜」って声をかけてくれる瞬間が来たら最高ですね。

 

★インタビューの舞台裏★ → ameblo.jp/matenrounikki/entry-12167465480.html

 

HAN-KUN 職業:レゲエグループ「湘南乃風」ボーカル
神奈川県鎌倉市出身。2003年、アルバム「湘南乃風~Real Riders~」でメジャーデビューした男性4人組のレゲエグループ「湘南乃風」のメンバー。〈ハードコアなかけ合いもできてサビも歌える自分だけのスタイル〉を極めようとメッセージする歌い手であり、VOICE MAGICIAN(ヴォイス・マジシャン)の異名を持つ。レゲエDee Jayでもあり、RUB-A-DUB(ラバダブ)と呼ばれるダンスホール流儀のフリースタイルを得意とする。帰国後、湘南乃風として全国6都市10公演をまわる全国アリーナツアーへの出演が決定している。
湘南乃風オフィシャルサイト

 

●老舗ライブハウスでのイベントに出演決定!

鶏笑(TORISHO) presents『SOB'S NY MATSURI 2016』

鶏笑(TORISHO) presents
『SOB’S NY MATSURI 2016』

【日時】 6月19日(日)開場:午後6時半、開演:午後8時半
【会場】 SOB’S(204 Varick St, NYC)
【入場料】 一般9ドル、学生7ドル
【出演者】THE LIGHT/TAKUYA KURODA、Special Guest : HAN-KUN

 

〈インタビュアー〉
高橋克明(たかはし・よしあき)
専門学校講師の職を捨て、27歳単身あてもなくニューヨークへ。ビザとパスポートの違いも分からず、幼少期の「NYでジャーナリスト」の夢だけを胸に渡米。現在はニューヨークをベースに発刊する週刊邦字紙「NEW YORK ビズ」発行人兼インタビュアーとして、過去ハリウッドスター、スポーツ選手、俳優、アイドル、政治家など、400人を超える著名人にインタビュー。人気インタビューコーナー「ガチ!」(nybiz.nyc/gachi)担当。日本最大のメルマガポータルサイト「まぐまぐ!」で「NEW YORK摩天楼便り」絶賛連載中。

 

(2016年6月11日号掲載)

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