【独占インタビュー】国枝慎吾

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BOUT. 322

元プロ車いすテニス選手 国枝慎吾に聞く

とにかくミスを恐れず、1歩踏み出すこと

ジャパンパレードでグランドマーシャル

世界の車いすテニス界の第一人者で、テニスの豪仏英米の四大大会とパラリンピックを制覇した国枝慎吾氏。第3回「ジャパンパレード」のグランドマーシャルに選出され、ニューヨーク入りした国枝氏に話を伺った。
(聞き手・高橋克明)

今回(「ジャパンパレード 2024」の)グランドマーシャルに選ばれました。

国枝 すごく、光栄ですね。晴天の青空の下、こうやってニューヨークのストリートの真ん中を行進できるのは、本当に気持ちがいいですね。

ニューヨークは何度目ぐらいですか。

国枝 10回以上来ていますね。20回は来ているかもしれない。

どんな印象でしょう。

国枝 僕は世界中回ってますけれど、ここは特別ですね。ここしか感じることができないものがある、特別な都市だと思います。ビルも高いし、世界中の人が集まってきて、ストリートも活気に満ちあふれていて…こんなところ、他にないですよね。大好きな街です。

世界中に行かれて、どこが一番お好きでしょう。

国枝 うーん…どこかな、難しいな(笑)でも、今、僕、フロリダに住んでいるんですよね。今住んでるオーランドも結構好きです、はい。

世界中で活躍されて、世界に出て気づいたことはありますか。

国枝 特にアメリカは生きやすいと思いますね。ADA(Americans with Disabilities Act/障害を持つアメリカ人法)があるので、どのレストラン入っても車椅子で十分なスペースがあって、トイレにもスペースがあって、先日、(フロリダのウォルト・)ディズニー(・ワールド・リゾート)に行ったんですけど、すごく使いやすいな、と感じました。決して日本のディズニーランドに問題があるわけじゃないんですが、アメリカはすべての人に対して、等しい権利を持たせている。そこはアメリカの良さだと思うし、すごくリスペクトしますよね。

これから世界で活躍しようと思っている日本人に何かメッセージを頂けますか。

国枝 いやいや、僕もこれからで、ちょうど今、英語も勉強中なんです。オーランドでテニスを教えながらも、学校に通ってがんばっているところなんですよ。ただ、大事なことかなと思うところは、ミスを恐れないことかなと。20年くらいのテニスのキャリアでも、なかなか英語を学ぶ機会がなかったので、今ようやく始めたところで、とにかくミスを恐れず、勇気を持っていろんな人とコミュニケーション取るのことが、第一歩かなと。それを第一歩と意識しています。

国枝慎吾(くにえだ・しんご) 元プロ車いすテニス選手
1984年生まれ。千葉県出身。9歳で脊髄腫瘍のため車いす生活となり、11歳で車いすテニスと出会う。2006年、アジア人初の世界ランキング1位に。07年には、車いすテニス史上初となる年間グランドスラムを達成する。09年4月、車いすテニス選手として日本初のプロ転向を宣言。10年11月まで続いたシングルス連続勝利記録は107に達した。21年には、東京パラリンピックで2大会ぶり3度目の金メダルを獲得。2022年にはウィンブルドン選手権を悲願の初制覇し、四大大会を制覇する「生涯グランドスラム」を車いす男子で初めて達成。また、四大大会とパラリンピックを制覇する「生涯ゴールデンスラム」の偉業も成し遂げた。これまでに、全豪オープン優勝11回、全仏オープン優勝8回、ウィンブルドン優勝1回、全米オープン優勝8回と前人未踏の功績を残す。23年1月世界ランキング1位のまま引退。今後は車いすテニスのみならずさまざまな分野での活躍が期待される。
【ウェブ】https://imgjapan.com/athlete/shingokunieda/

〈インタビュアー〉
高橋克明(たかはし・よしあき)
専門学校講師の職を捨て、27歳単身あてもなくニューヨークへ。ビザとパスポートの違いも分からず、幼少期の「NYでジャーナリスト」の夢だけを胸に渡米。現在はニューヨークをベースに発刊する週刊邦字紙「ニューヨーク Biz!」発行人兼インタビュアーとして、過去ハリウッドスター、スポーツ選手、俳優、アイドル、政治家など、1000人を超える著名人にインタビュー。人気インタビューコーナー「ガチ!」(nybiz.nyc/gachi)担当。日本最大のメルマガポータルサイト「まぐまぐ!」で「NEW YORK摩天楼便り」絶賛連載中。

(2024年5月18日号掲載)

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