【インタビュー】森山未來

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BOUT. 327

俳優 森山未來に聞く

JS主催のJAPAN CUTS 2024 授賞式で来米

重要なのは、どう作品に関わるのか

ニューヨークの夏の風物詩として定着したジャパン・ソサエティー(JS)主催の日本の新作映画を集めた映画祭「JAPAN CUTS~ジャパン・カッツ~2024」。同映画祭で、「Cut Above Award」を受賞した実力派俳優の森山未來さんに、今後の展望などお話を伺った。

今回は、(「ジャパン・カッツ」の)日本映画界に貢献する監督や俳優の功績をたたえる「Cut Above Award」受賞、おめでとうございます。

森山 はい。(「ほかげ」の塚本晋也)監督が(2019年に)とられた賞を、今度は僕がいただけるとのことで、非常にうれしく思います。こうやって撮影(22年)から23年の日本での上映があって、そしてこういう形でニューヨークで賞をいただいて、本当に監督にお会いできたおかげで、いろんな旅がこうやってこれて、非常にうれしいです。

「ほかげ」は、他の海外の映画祭でも上映されました。この作品に関わったことで、海外に目を向けるきっかけになりましたでしょうか。

森山 海外での活動をしながら、やっぱり日本にいて、日本のことを見るって、それは多分どこもそうかもしれないですけど、なかなか難しいと思うんですね、地理的な環境もあったりして。もちろん海外でいろいろ活動ができたらいいなって思うところもありつつ、まさに塚本さんがやってらっしゃること(映画で日本を伝える)なんですけど、もはや、それこそ、(「ほかげ」の時代背景でもある)第2次世界大戦が終わって、80年近くがたっていて、もう戦争のことを知らない人、僕ももちろん知らないですし、その体験としても知っている人たちがどんどんもう、いなくなっていくこれから、となった時に、戦争だけというわけでなくて、日本っていうものがどうして今形づくられてるのかみたいなことを、どういうふうに日本の人たちが捉えるかなっていうのはある視点を持って見ないといけないなっていうのはあります。なので、一度COVID(新型コロナウイルス感染症の感染拡大)があって、キュッとタイトになりましたけど、またグローバリゼーションが加速していく中で、海外に目を向けるのも、とてもすてきなことと同時に、日本人として生まれて育ってきているので、日本というものを、自分で自分なりの視点で捉えてそれを作品化できるのか、あるいはそういう作品に関われるのかっていうのは自分の中で考えていきたいですね。

今後、海外作品への出演などありますか。

森山 興味はありますけど、それに対して全部のモチベーションがあるというよりも、大事なことは、自分が自分なりに自分で生まれ育った場所をどう見て、それを作品にできるのか、そういう作品に関われるのかっていうところが重要だと思っています。

森山未來(もりやま・みらい)1984年、兵庫県生まれ。5歳からさまざまなジャンルのダンスを学び、15歳で本格的に舞台デビュー。2013年には文化庁文化交流使として、イスラエルに1年間滞在、ヨーロッパ諸国にて活動。俳優として、これまでに日本の映画賞を多数受賞。ダンサーとして、第10回日本ダンスフォーラム賞受賞。監督作として、ショートフィルム「Delivery Health」「in-side-out」などを手がける。東京2020オリンピックの開会式では鎮魂の舞を踊った。公式サイト:www.miraimoriyama.com

ジャパン・ソサエティーで行われたイベントの模様

ジャパン・ソサエティーで行われたイベントの模様

2024年8月3日号掲載)

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