錦織圭(2)

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プレッシャーの中でプレーできるのは幸せです

「ガチ!」BOUT. 241

 

錦織圭

 

リオデジャネイロ五輪において、日本人テニス選手として96年ぶりのメダルとなる銅を獲得した錦織圭選手。現在、四大大会の一つ、全米(US)オープン出場のためニューヨークに滞在。開幕前の記者会見終了直後、お時間をとっていただく。例年に比べてハードスケジュールな中の体調管理、ライバル、プレッシャーなどのお話を伺った。応援に駆け付けた、同じように世界を舞台に戦う、俳優の渡辺謙さんにもコメントを頂いた。
(聞き手・高橋克明)

 

USオープン出場

 

今夏はカナダ(で行われたロジャーズ・カップ)で準優勝、リオ(五輪)で銅メダル。そして次はいよいよUSオープンです。

錦織 滑り出しはいいと思ってるんですが、でもカナダは内容的には100点ではなかったし、オリンピックも後半、体力的に持たなかったので…。でも、まぁ、体力的にピークは、(次の)USオープンに持っていきたかったので、そういう意味ではいい準備になれたのかなとは思います。

例年に比べて、非常にハードスケジュールでした。

錦織圭錦織 そうですね、確かにキツかったですね。体力的には限界だったかもしれないので、その分今、しっかり休めてよかったです。まぁ、でも体調面は大丈夫です。心身ともにしっかり、休みます。(笑)

リオではあの(ラファエル・)ナダル選手から1勝を取りました。

錦織 (過去)9敗してましたし、でも、1回ハードコートで勝ってるので。その時のことだけをなるべく思い出して、自信を持って戦いました。強い気持ちで臨めたと思いますね。ただ上の2人(金、銀メダル)が以前よりさらにレベルが、(高くなってるので)その高い壁をどうやって切り崩していくのかが今後の課題ですね。

実際に日本人テニスプレーヤーとして、初めて五輪の表彰台に立ったわけですが、その時の気持ちはいかがでしたか。

錦織 うーん…、(日本の)国旗が見えた時に胸に熱いものが来ましたけど…。でもそんなうれしい気持ちと、隣を見ると2人(金メダリスト、銀メダリスト)がいるので、悔しい気持ちが、こう、交じってる感じでした。

でもナダル選手に勝った自信は、次のUSオープンでも生かせそうですね。

錦織圭錦織 そうですねー。まぁ“そこ”でしか味わえない、プレッシャーや重圧やいろんな思いがあるので。もちろん各選手そうでしょうけれど、その中でプレーして、物差しというか、自分がどれくらいレベルアップしたか確認できる場所でもあったと思うので。なので(銅メダルという)結果よりも、自分でレベルアップしてるなっていう実感できたことの方が大きかったですね。苦しい場面を経験していくことによって、より気持ちは強くなれただろうし…。うーん…。メダルを取れたこと以上に充実できたかもしれないですね。

(日本)国中のプレッシャーを背負うことにもなります。

錦織 でも、そういう中でプレーできるのはある意味幸せなことだと思ってます。まぁ、最後のグランドスラムでもありますし、(先の)オリンピックで自信も高まってるので、思いっきりプレーしたいです。なので1人でも多くの方に見てもらえたらなって思います。

3年前、インタビューさせていただいた時はランキング世界12位でした。その際、ランキングは一切、プレッシャーにならないと答えられました。そして現在は7位。アジア人で唯一のベスト10に入ってもその気持ちは変わりませんか。

錦織 そうですね。ランキングのことはあまり考えないで、自信を持ってプレーするようにしますし…。うん、昔はランキングを意識してたかもしれないけれど(ここに来て)ランキングに追われるようなことはなくなりましたね。自然となくなりました。最近は意識せずに思いきってプレーできていると思います。

世界を舞台にして戦ってらっしゃいますが、毎年USオープンの時期はこの「ザ・キタノホテル ニューヨーク」さんを定宿にされてらっしゃいます。やはり最終的には、日本のホテルであり、日本食、日本の環境が落ち着かれますか。

錦織 そうですね、ここはもう長く毎年利用させてもらってますけれど、すごく落ち着きます。やっぱり日本のスタッフさんだったり、日本の設備が整っているので、とても暮らしやすいので、プレーに集中できます。すごく快適に過ごさせてもらっていますね。あとは、ニューヨーク自体、日本食(レストラン)も多いしですし、うん、日本の何かに触れられる時、心は落ち着きますね。

 

「ザ・キタノホテル ニューヨーク」の従業員らと

「ザ・キタノホテル ニューヨーク」の従業員らと

 

★インタビューの舞台裏★ → ameblo.jp/matenrounikki/entry-12195676068.html

 

錦織 圭(にしこり・けい)職業:プロテニスプレーヤー
島根県出身。26歳。178センチ、75キロ。5歳でテニスを始め、13歳で米フロリダ州のIMGアカデミーに留学。07年プロ転向。14年5月に日本男子初の世界ランキングトップ10入りを果たし、最高4位。14年全米オープンで日本選手初の四大大会シングルス決勝に進出した。五輪は3大会連続出場。ツアー通算11勝。2016年リオデジャネイロ五輪で銅メダルを獲得。日本に96年ぶりのメダルをもたらした。公式サイト:www.keinishikori.com/

 

 

(左から)錦織圭選手と渡辺謙さん

(左から)錦織圭選手と渡辺謙さん

彼の階段の踏み方を目に焼き付けたい

渡辺謙に聞く

渡辺謙

 

一昨年のファイナリスト、ということもあり、もうほとんど実力的にはグランドスラマーに手が届きつつあると思うんですよね。そういった意味でも、彼にとっては本当に今年、来年くらいが大きなエポックになると思うんです。次(のUSオープン)は今年最後のメジャー(な大会)ですけれど、僕は、日本でテレビで観戦することになると思うのですが、彼がどういう準備をしながら、ああいった大舞台に臨んでいくのか。彼の階段の踏み方みたいなものを目にしっかり焼き付けていきたいなと思います。

 

★インタビューの舞台裏★ → ameblo.jp/matenrounikki/entry-12196599193.html

 

〈インタビュアー〉
高橋克明(たかはし・よしあき)
専門学校講師の職を捨て、27歳単身あてもなくニューヨークへ。ビザとパスポートの違いも分からず、幼少期の「NYでジャーナリスト」の夢だけを胸に渡米。現在はニューヨークをベースに発刊する週刊邦字紙「NEW YORK ビズ」発行人兼インタビュアーとして、過去ハリウッドスター、スポーツ選手、俳優、アイドル、政治家など、400人を超える著名人にインタビュー。人気インタビューコーナー「ガチ!」(nybiz.nyc/gachi)担当。日本最大のメルマガポータルサイト「まぐまぐ!」で「NEW YORK摩天楼便り」絶賛連載中。

 

(2016年9月3日号掲載)

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