BOUT. 293
プロテニスプレーヤー 錦織圭に聞く
USオープン出場
テニスの全米(US)オープン開幕を3日後に控えた8月23日、錦織圭選手(日清食品)が、滞在先でもあるニューヨーク唯一の日系ホテル、「ザ・キタノホテル ニューヨーク」で記者会見を行った。会見後、試合への思いやニューヨークでのエピソードなどお話を伺った。(聞き手・高橋克明)
毎年、この時期のUSオープンは暑さとの戦いにもなります。真夏に開催される大会はいかがですか。
錦織 暑すぎるのは、もちろん好きではないですけれど…。でも、まぁ苦手ではないかもしれないですね。条件は(他の選手も)同じなので、大丈夫です。ただ、去年はさすがにキツかったですね。40度くらいのものすごい日が何日かあったので(笑)。さすがに、あの時の記憶はキツかったです。
それでも、前回も前々回のインタビューで、この時期のUSオープンは好きだとおっしゃっていました。
錦織 はい、好きですね。うん、好きです。他のグランドスラムよりは、結果としていちばん残しているので。気持ち的にも他のグランドスラムより、リラックスしている自分でいられているかもしれないですね。前向きな自分でいられるというか…。あとは、まぁ、単純に、ニューヨークという街が好きなのもあるんですけれど(笑)。オフの日に、結構、ここで買い物に出掛けたり。でも、ニューヨークなので流行の最先端なものが集まってるし、その時間はテニスから離れてリフレッシュできるので、大切な時間ですね。(時間的に)なかなか(行きたいところ)全部には行けないんですけどね。
ニューヨークで、まだ行かれてないところで行ってみたいところはありますか。
錦織 ロックフェラーセンターはまだ行ったことがないので、一度行ってみたいですね。
大坂なおみ選手の印象を聞かせてください。
錦織 すごくひたむきで、努力家なので、これからグランドスラムでいくつもタイトルを取っていくと思います。(去年)いきなり1位になったのは、気持ちの上で(プレッシャーなどで)苦労することもあるだろうとは思いますが、でも、まだまだ若いので(大丈夫)。これからも日本を背負って頑張ってほしいと思います。
世界中でプレーされています。移動であれ、大変なことも多いと思うのですが。
錦織 でも、僕は小さい頃から海外に出るということに賛成派なので。自分のテニスはいろんな国の選手と対戦して、見つけたテニスだと思っているので。もし自分の息子がテニスをして、プロを目指すなら、やっぱり海外に出したいとは思いますね。
母国日本を振り返るとどんな印象を持たれていますか。
錦織 もちろん、日本のいいところも、悪いところも見えてきますけれど、いいところは、やっぱり日本人はやさしいし、真面目ですよね。世界各国の外国人を見てもそのあたりは、日本人がやっぱりいちばんですよね。ネガティブなところを言えば、ちょっと、まだ世界から隔離されているというか、遅れているところも正直あると思います。いろんな考え方が日本(という国)の中だけで固まっちゃっているのかなと。そういう人はまだまだ多いと思います。これからオリンピックもありますし、この機会に、少しずつ、世界に目を向けて、変わっていってもいいのかなとは思いますね。
プレーヤーとして、今後の目標、ゴールを教えてください。
錦織 もちろん、大きなタイトルで優勝、というのは毎年、目標にしているので、そこはいつか達成したいですね。グランドスラムなり、今は、マスターなりを目標にやっているので。でも、まぁ、どの試合も自分が納得いくプレーができて、100%実力を出し切れば、いつ引退しても多分、悔いはないですね。自分が20歳くらいの時は、30(歳)くらいで引退するのかなと思ってたんですよ。でも、それこそロジャー(・フェデラー)だったり、今でも現役をやっている選手たちのおかげで自分もやれていると思うんですよ。トレーニングも進化しているし。自分も年を重ねているけど、1試合1試合に全力で集中して。そこさえ忘れなければ、と今は思っていますね。
★ インタビューの舞台裏 → ameblo.jp/matenrounikki/entry-12520089952.html
錦織圭(にしこり・けい) 職業:プロテニスプレーヤー
1989年12月29日生まれ。 島根県松江市出身。 日清食品所属。 身長178センチ。 右利き、バックハンド・ストロークは両手打ち。 男子プロテニス協会(ATP)が発表する世界ランキング自己最高位はシングルス4位(アジア男子歴代最高位)。 シングルスとしては日本男子史上初の世界ランキングトップ10入りを果たした。 2014年全米オープン男子シングルスの準優勝者であり、アジア男子史上初のグランドスラム4大大会シングルスファイナリスト。
◇ ◇ ◇
〈インタビュアー〉
高橋克明(たかはし・よしあき)
専門学校講師の職を捨て、27歳単身あてもなくニューヨークへ。ビザとパスポートの違いも分からず、幼少期の「NYでジャーナリスト」の夢だけを胸に渡米。現在はニューヨークをベースに発刊する週刊邦字紙「NEW YORK ビズ」発行人兼インタビュアーとして、過去ハリウッドスター、スポーツ選手、俳優、アイドル、政治家など、400人を超える著名人にインタビュー。人気インタビューコーナー「ガチ!」(nybiz.nyc/gachi)担当。日本最大のメルマガポータルサイト「まぐまぐ!」で「NEW YORK摩天楼便り」絶賛連載中。
(2019年9月7日号掲載)