BOUT. 305
ユーチューバー てんちむに聞く
生きてく上で本当必要なモノって、ごくわずか
4カ月におよぶ世界一人旅最終地、ニューヨークで
登録者数167万人、日本を代表する女性ユーチューバーの一人、てんちむさん。コロナ禍での4カ月間に及ぶ、世界各国への一人旅。最終目的地、ニューヨークで、世界を見てきたてんちむさんにお話を伺いました。(聞き手・高橋克明)
今回の旅のきっかけを教えてください。
てんちむ 最初のきっかけはお仕事だったんです。ありがたいことに三つほど決まって(コロナ禍と言っても)飛行機も飛んでいるし、ちゃんと制約を守れば、行けないわけじゃないじゃないですか。今までは世間の目とか気にして、せっかくのお話もお断りしてたんですけど、なかなか1人で海外に行くこともなかったので、「お仕事頑張ろう」って思い決めました。
YouTubeで拝見させていただいて、いつものてんちむさんとはまた違った魅力を感じました。生き生きしているようにも見えて…。
てんちむ めちゃめちゃ楽しかったです(笑)。やっぱり日本だと、普通に街を歩くだけでも気を遣うこともあるんですね。ごはん屋さんでも個室を取らないといけないし。リフレッシュできたんだと思います。好きなタイミングで、ジムもコンビニも行けるので。うん、開放感がありますよね、海外は。特に一人旅だと、自分と向き合っていろいろ考えることができました。今後のことだったり、頭の中をちゃんと整理できた気がします。
海外に出たことで見えたこともある、と。
てんちむ まずは視野が広くなった気がします。日本にいた時の悩みが、すごくちっぽけに感じるというか、いい意味でマインドリセットできた感じですね。
数えきれないほどの世界の都市を巡られていました。時間が許す限り、それぞれの印象を一言ずつ、聞かせてもらえますか。まずパリはいかがでしょう。
てんちむ パリはお仕事でも遊びでも何度も行っていて。やっぱりきれいですよね。でも、エレベーターがあるビルが少ない…。古い建物だといまだに階段のところが多いんですよ。なので体力的に結構、疲れる(笑)。でも、お買い物がやっぱり楽しいです。
ヨーロッパは多いですね。イスタンブールはいかがでしたか。
てんちむ 今回は、トランジットで1泊しかしてないんですよ。アヤソフィアとか観光地くらいしか行けなくて。それこそ、タトゥー(彫り師)のすごい人もいるらしくて、調べれば調べるほど、行きたいところが出てきたので、次回はもっと長くいたいですね。
ドバイはいかがでしたか。
てんちむ 便利すぎて、逆に時間を持て余してたかもしれないです、発展しすぎて。あとは外を歩けないほど暑い時期だったので、ドバイ・モールとホテルくらいしか行けなくて。砂漠は、でも楽しかったですね。砂漠を見ることってなかなかないじゃないですか。それはすごく新鮮でした。
フロリダはいかがでしたか。
てんちむ マイアミは、楽しかったです。オーランドのテーマパークも、もちろん楽しいんですけど、多分、あたしは自然が好きなんだと思います。
いちばんのお気に入り場所はどこでしょう。
てんちむ バハマとカンクン(即答)。カリブ海に面しているところが好きですねー。カリブに行く度、なぜか、めっちゃ幸せな気分になるんですよ。うわぁ、カリブ海、最高! きれい! 気持ちいい! みたいな。合ってるんですかね…。(前世が)海賊だったのかもしれない。(笑)
人が生涯かけても行けないくらいの数でいろいろな都市を回られましたが、まず、その体力はどこから来るのでしょう。時間も労力も半端ないと思います。
てんちむ 好奇心ですね! ここってどういう国なんだろうっていう気持ちがすごく強いのだと思います。好奇心がないと、めんどくさいが勝っちゃう。好奇心があるから、体力も自然とついてきてる感じです。あとは、いつでも自分が海外行ける人間だったらいいんですけど、日本でのお仕事もあるし、なかなかこんなに長期間、海外に滞在できることが、そもそもないんですよね。なので、今のこの時間は、自分にとってはめちゃめちゃ貴重なんですよ。だから、今のうちに行けるところは、行こうって。
この4カ月の旅で、ご自身の中でいちばん変化したモノはなんでしょうか。
てんちむ うーん…心、ですかね。心がすごく変化したと思います。なんて言うのかな…今まで色々と忙しくて、自分のことをそんなに大切にしてなかった気がするんですよ。睡眠が短くても、仕事詰めまくったり、損とか得とかばかりを考えてたんですけど、そういう次元じゃなくて、何かもっと、自分自身がヘルシーに生きて、ストレスを極力感じないように生きていくのがいちばんいいんじゃないかなって思ったりしましたね。うん。人の顔色をうかがったりではなく、もっといい意味でわがままになっていいんじゃないのかなって。生きていくのに、本当に必要なモノってすごく少ないと気づいたんですよ。例えば、旅だとパスポートとスマホさえあれば、どこにでも行けちゃう。洋服も現地で買えばいいだけの話だし、それと一緒で、私自身も本当に必要なモノって、ごくわずかじゃないかって思うようになって。
世界を見て、てんちむさんご自身の中のものが、色々と削ぎ落とされていった感じですか。
てんちむ そうですね。海外に出た時、生きてきて初めて、自分を大事にできたような気がしたんです。ごはんにも気を使うようになったり、ジムに行き始めたり、すごく自分が変わりましたね。ひょっとすると帰国後、動画のスタイルも変わるんじゃないかと思うくらい。
これからも時間が許せば、また世界を回りたいと思われますか。
てんちむ もちろん! 海外って、やっぱり“別世界”なんですよね。文化も違うし、言葉も違うし、景色も違うんですよ。視覚から入るタイプなんですけど、全然違う視覚のところに行くと、それだけでテンション上がります。あとは、経験値が増えますね。自分自身が成長できるって思ってます。
てんちむ 職業:女性タレント、モデル、YouTuber
1993年11月19日生まれ。2004年にNHK『天才てれびくんMAX』にレギュラー出演。その後、ブロガー、タレント、ギャルモデルを経て、現在はチャンネル登録者160万人超えの人気Youtuberとして「てんちむCH」を配信中。数多くの商品のプロデュース、プロモーションに関わっており、インフルエンサーとしても活躍する。「写真集 TENCHIM」、「フォトスタイルブック-Breath てんちむの呼吸」(宝島社)、「私、息してる?」(竹書房)、「恋愛白書」(KADOKAWA)なども出版。
■YouTube:てんちむCH/ tenchim
■インスタグラム:@super_muchiko
■ツイッター:https://twitter.com/tenchim_1119
YouTubeチャンネル「てんちむCH」
飾らない人柄で、さまざまなライフスタイルトピックをネタに動画を配信。特に10代から30代の視聴者に支持されている。
(2022年1月1日号掲載)
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〈インタビュアー〉
高橋克明(たかはし・よしあき)
専門学校講師の職を捨て、27歳単身あてもなくニューヨークへ。ビザとパスポートの違いも分からず、幼少期の「NYでジャーナリスト」の夢だけを胸に渡米。現在はニューヨークをベースに発刊する週刊邦字紙「NEW YORK ビズ」発行人兼インタビュアーとして、過去ハリウッドスター、スポーツ選手、俳優、アイドル、政治家など、1000人を超える著名人にインタビュー。人気インタビューコーナー「ガチ!」(nybiz.nyc/gachi)担当。日本最大のメルマガポータルサイト「まぐまぐ!」で「NEW YORK摩天楼便り」絶賛連載中。