NYを意識しつつ、日本も感じられる選曲に
「ガチ!」BOUT.144
28日、NYでワンマンライブ
米3大音楽フェスの一つ「Coachella Music Festival」に続き、メキシコで公演を敢行。そして28日、ニューヨークで初のワンマンライブを決行する日本のスカバンド「東京スカパラダイスオーケストラ」(スカパラ)。ジャンルにとらわれない幅広い音楽性で世界屈指のライブバンドとしての信頼を勝ち得てきたスカパラのバリトンサックス奏者、谷中敦さんにニューヨークでのライブに先駆けお話を伺った。
(聞き手・高橋克明)
◇ ◇ ◇
以前、ニューヨークのサマーコンサートに出演されたことがあると思いますが、今回はそれ以来となりますか。
谷中 その時の2005年以来です。ライブハウスでもライブをしたり(メキシコから熱心なファンも来てくれていました)とても盛り上がりましたね。
その時のライブで印象に残っていることはありますか。
谷中 セントラルパークでのライブはかなり楽しみにしていたのですが直前まで猛暑、本番中には雷雨で、大変な目に遭いました。ですが、大雨の中でもお客さんがどんどん集まってくれて最高に盛り上がりました。びしょ濡れなのに笑顔のお客さんが多く、ニューヨークの人たちが子供のような好奇心を持っているのに感心した覚えがあります。ステージでピースサインをしながら「これは憎しみの鎖を断ち切る鋏(はさみ)だ」と反戦、反テロのMCをしましたがライブ後に何人もが僕に向かってピースサインを出してくれたのも印象に残っています。
やはり海外でのライブは、日本でのそれとお気持ちに違いはありますか。
谷中 日本では見に来てくれる人たちのほとんどは僕たちを知って見に来てくれていますが、海外はそうではないことが多いです。なので初めての人に向かって今までのベストのパフォーマンスを心がけてます。あとは英語、スペイン語、オランダ語、フランス語、ドイツ語などその土地の言葉でMCするようにしています。盛り上がる曲も日本と違うことがあるので音楽の楽しみ方の勉強になりますね。
皆さんの音楽は言葉の壁を必要としないパフォーマンススタイルかと思います。海外でも非常にうけるのでは。
谷中 最近のバンドの多くはあまり動かずに演奏することが多いですが、われわれは真逆。見て分かる音楽という側面もあります。あと、スカ(※注)という音楽が予習要らずの初めての人にも親切なダンス音楽だということも大きいですね。
日本でもたくさんのアーティストの方々と共演されていますが、米国のアーティストで注目されている方、共演してみたい方はいらっしゃいますか。
谷中 メンバーそれぞれだと思います。フィッシュボーンのアンジェロ・ムーアはレコーディングしたことがありますが、再演したい相手です。僕が一度セッションしたことがあるG.Loveもいいですね。ニューヨークを意識した選曲になってますが、日本も感じられるような選曲にもなっています。
そのコンセプトを言葉にすると。
谷中 日本人のimproveの能力です。
ニューヨークにお気に入りの場所はありますか。
谷中 20年以上前にレコード屋巡りをしました。管楽器屋さんもいいところがありますね。
滞在中、行かれたい場所はありますか。
谷中 さまざまな場所へ散歩をしてみたいです。
在米の読者にメッセージをお願いします。
谷中 世界中がグローバル化されている中で、なかなか日本は進んでいかないところがあります。しかし、それは日本人同士の力や肌理(きめ)の細かい愛情を信じてのことと思います。日本がどこかの部分で頑固な理由を自分なりに解釈して探求しつつ、日本を大事にしながら海外で活躍してください。僕らもがんばります。格好いい日本人になりましょう!
「東京スカパラダイスオーケストラ」
NARGO(Trumpet)、AMO(Tenor sax)、藤隆志(Guitar)、祐市(Keyboards)、茂木欣一(Drums)、上つよし(Bass)、谷中敦(Baritone sax)、北原雅彦(Trombone)、森はじめ(Percussion)
TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA(東京スカパラダイスオーケストラ)
ジャマイカ生まれのスカというジャンルをベースに、自ら奏でるサウンドを〝トーキョースカ〟と称し、日本だけでなく欧州、米国、アジアと世界各国を飛び回る世界屈指のスカバンド。メジャーデビュー翌年の1991年には日本武道館に1万人以上を動員。以降も大規模な会場でのライブとオーディエンスに近いライブハウスでのパフォーマンスを途切れることなく展開。オリジナルアルバム14枚、多数の海外公演を含むライブパフォーマンスは2000本を超える。2013年Coachella Music Festival 2013のメーンステージに出演。
公式サイト:www.tokyoska.net
〈インタビュアー〉
高橋克明(たかはし・よしあき)
専門学校講師の職を捨て、27歳単身あてもなくニューヨークへ。ビザとパスポートの違いも分からず、幼少期の「NYでジャーナリスト」の夢だけを胸に渡米。現在はニューヨークをベースに発刊する週刊邦字紙「NEW YORK ビズ」発行人兼インタビュアーとして、過去ハリウッドスター、スポーツ選手、俳優、アイドル、政治家など、400人を超える著名人にインタビュー。人気インタビューコーナー「ガチ!」(nybiz.nyc/gachi)担当。日本最大のメルマガポータルサイト「まぐまぐ!」で「NEW YORK摩天楼便り」絶賛連載中。
(2013年4月20日号掲載)