やました ひでこ

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「断捨離」はブームでも流行でもない。〝日常〟なんです

初のNY講演で熱弁  「ガチ!」BOUT.129 

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「新・片づけ術 断捨離」「新・生き方術 俯瞰力」など、著書が累計200万部を突破し、話題の「断捨離」提唱者、やましたひでこさんが先月13日、ロサンゼルスに続き、ニューヨークでも講演会を行った。心と体を快方向に導くことを目的とし、そのセンサーを磨くための行動へ落とし込むメソッド。日本で流行語にまでなった「断捨離」について、ニューヨークを訪れたやましたさんにお話を伺いました。(聞き手・高橋克明)

◇ ◇ ◇

先生は日本での講演会は慣れてらっしゃると思うのですが、アメリカでのセミナーは今回が初めてということですよね。

やました そうですね。でも先進国である限り“モノ”に対しての皆さんの抱えているお悩みは変わりがありませんから。“過剰な状態で損なわれている”という意味では日本もこちらも全く同じという印象は受けましたね。

過剰だからこそ、逆に損なわれている、と。

やました アメリカでも日本でも“不足だから、健康的に、精神的に損なわれている”ということはないですよね。多過ぎて困っているっていう共通の悩みに対して、どうアプローチをかけていくか。「離捨離」って引き算なので、特にアメリカに住まれている日本の方には有効に機能すると思ってます。

では日本を離れての講演会でも別段、気持ちに変わりはないですね。

やました あのね、恥ずかしながら私マイク握ると人格が変わるんですよ。スイッチが入っちゃうというか(笑)、だから講演前でもいつもリラックスしてる(笑)。緊張はないですね。それよりも会場に来てくださった方々との出会いを楽しもう、と。抱えてるテーマが一緒の方々が集まってくださるので、それはすごいご縁だと思うんです。意味ある偶然だと思うので。

日本では「断捨離」という言葉が流行語にまでなりました。先生ご自身はこの現象をどう捉えられてますか。

やました ベストセラーになったことで「ブーム」とか「流行語」との扱いを受けてきましたけど、私自身としては30年以上も前から試行錯誤してきた日常のツールを落とし込んだだけのものですので、まったく(それにより)変わったことはないんですよ。

熱のこもった講演の模様。中央がやましたひでこさん=10月13日、ニューヨーク

熱のこもった講演の模様。中央がやましたひでこさん=10月13日、ニューヨーク

なるほど。

やました 私にとってはブームでもないし、流行でもない。あくまで“日常”なんですね。ただ、多くの方に実践していただくことによって多くの「断捨離」に対する視点を得られた。その分、質的にも量的にも「断捨離」に対する理解を深めることができたので、私一人で探求していったころよりもいろんな「断捨離」の行動哲学が深まったと思いますね。そしてそれをまた人にシェアできる、と。

「断捨離」も進化していっているわけですね。

やました こういうふうな捉え方、こういうふうな見方、こういうふうな体験があるんだなって、たくさんフィードバックしてもらえるようになりました。それが何よりうれしいです。多くの人が関わってくれたことでさらに広がり、さらに深まり、さらに高まった気がします。今までは単独無酸素登頂してたのにベースキャンプもでき、シェルターもでき、またさらに高い山に挑戦できる状態をいただけたと思ってるんです。それは本当にありがたいことですね。

熱のこもった講演の模様。中央がやましたひでこさん=10月13日、ニューヨーク

熱のこもった講演の模様。中央がやましたひでこさん=10月13日、ニューヨーク

アメリカという国の印象はどうでしょう。

やました 素晴らしいです! あの、来る前は怖かったんですよ(笑)。30年以上前に新婚旅行でハワイに来ただけで、本土は今回が初めてだったんですね。あまりに大きな国なのですごくわくわくして、ちょっと怖くて。でも昨日ニュージャージーからフェリーで渡った時に空も、川も、ビルまでキレイに見えて。あぁ、ディス・イズ・ニューヨーク! とうとう断捨離、ニューヨークまで来たぞー、みたいな(笑)。すごい感慨深かったですね〜。世界一の都市に足を踏み入れて、何か街全体から、さぁこれからだって、もっと頑張るようにって、励ましをいただいたような気持ちになりました。

最後に読者にメッセージをお願いします。

やました 「断捨離」っていうのは、片づけであって片づけにとどまらない。片づけを通して、モノを整えながら、空間を整えながら、人生そのものを整えていく有効なツールなので、ぜひ、皆さん活用していただけたらなと思ってます。あと、大切なことはどうか楽しんでやってくださいってことですね。

◇ ◇ ◇

「断捨離」(だんしゃり)とは?
ヨガの行法哲学「断行・捨行・離行」をもとに生まれた言葉。

●断=入ってくる要らないモノを断つ
●捨=家にはびこるガラクタを捨てる
●離=モノへの執着から離れ、ゆとりある“自在”の空間にいる私

つまり、「家のガラクタを片づけることで、心のガラクタをも整理して、人生をご機嫌へと入れ替える方法」。「そうじ」をしたり、モノを捨てたりすると、な ぜか心も軽くなる、というのは誰もが経験していること。「断捨離」とは、皆が漠然としている「そうじ」や「片づけ」を再定義し、自分の「内在智」(心や体 を快方向に導くセンサー)を磨くための行動へと落とし込んだメソッドです。結果、自分の心をご機嫌に、ついでに運気も向上させてしまおうという方法論でも あります。義務感を伴う「片づけ」から、自分の内在智や運気を磨く「断捨離」へ。
(著者本『新・片づけ術「断捨離」』(マガジンハウス)紹介サイトから)

 

やました ひでこ

職業:クラター・コンサルタント

東京都出身。石川県在住。大学在学中に入門したヨガ道場で、心の執着を手放す行法哲学「断行・捨行・離行」に出合う。その後、モノの片づけを通し、誰もが実践できる自己探求のメソッドとして落とし込んだ、住まいと心のガラクタの新・片づけ術「断捨離」を考案。2000年ごろからクラター(ガラクタ)・コンサルタントとして「断捨離セミナー」を全国各地で開催。「片づけ」「整理・収納」「掃除」という概念の組み立てから、実践による意識変容までのメカニズムを明解にしたセミナーが話題を呼び、受講者は年々広がりを見せている。監修に『断捨離のすすめ』(同文舘出版刊・川畑のぶこ著)がある。公式サイト:www.yamashitahideko.com

 

〈インタビュアー〉
高橋克明(たかはし・よしあき)
専門学校講師の職を捨て、27歳単身あてもなくニューヨークへ。ビザとパスポートの違いも分からず、幼少期の「NYでジャーナリスト」の夢だけを胸に渡米。現在はニューヨークをベースに発刊する週刊邦字紙「NEW YORK ビズ」発行人兼インタビュアーとして、過去ハリウッドスター、スポーツ選手、俳優、アイドル、政治家など、400人を超える著名人にインタビュー。人気インタビューコーナー「ガチ!」(nybiz.nyc/gachi)担当。日本最大のメルマガポータルサイト「まぐまぐ!」で「NEW YORK摩天楼便り」絶賛連載中。

 

(2012年11月3日号掲載)

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