オフ・ブロードウェイで絶賛上演中!「TRIP OF LOVE」の魅力 第2弾

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日本人制作スタッフを紹介

 

2008年、大阪でのトライアル公演で(©James Walski)

2008年、大阪でのトライアル公演で(©James Walski)

出口最一さんが総合プロデューサーを務めるミュージカル「TRIP OF LOVE」の公演がオフ・ブロードウェイで開幕した。制作費1400万ドルをかけブロードウェイの一流制作スタッフと作り上げた壮大なショーに、日本からも制作スタッフが2人ほど参加する。

日本のクリエイティブ陣がオフ・ブロードウェイに投げかけるものとは何か。舞台の迫力を左右する照明デザイナーの原田保さん、パフォーマンスの核となるダンスの振付アシストを務める北見礼子さんにお話を伺った。

蜷川作品も手がける照明デザイナー、原田 保

「自分が影響を与える」側だからこそNYに

原田 保

〈プロフィル〉 はらだ・たもつ スミイ・ヨシオ氏、サワダ・ユウジ氏︎の下で照明デザインを学んだ後、照明デザイナーとして独立。演劇、ミュージカル、オペラ、コンサートなどを手掛ける。主な作品は、蜷川幸雄演出の「L’ alouede」「藪原兼業」「NINAGAWA Twelfth Night」「As You Like It」「Erendira」など。第15回読売演劇賞を受賞。

照明デザインを担当する原田保さんは、1982年~2007年まで蜷川幸雄作品を中心に活動し、演劇、ミュージカル、オペラ、コンサートなどのキャリアを持ち、07年度には読売演劇大賞、最優秀スタッフ賞を受賞する実力者だ。照明のキャリアは45年。日本を中心に活動し、米国の公演に携わるのは初だが、至って落ち着いて構える。

原作・演出・振付責任者のジェームス・ウォルスキーさんの熱望に応え

08年の大阪公演(トライアウト公演)に関わった当時から、ニューヨークも一緒にと声がかかっていたものの、正直自分が行くことは本気で考えていなかったという。しかしその4年後に原作・演出・振付責任者のジェームス・ウォルスキーさんが来日し、原田さんが手がけた「劇団新感線」の舞台を観ることに。そしてその直後、ウォルスキーさんの熱望により原田さんのニューヨーク行きは本決まりとなった。

45年のキャリアにゆるぎない自信

原田さんは自らのオフ・ブロードウェイのデビューに関して、浮き足立った様子をまったく見せない。ニューヨークの制作スタッフに影響されるというよりも、むしろ「自分が影響を与える」側だからこそここにいると意識する。蜷川幸雄作品や劇団新感線で見せた壮大な舞台を、オフ・ブロードウェイに持ち込むというプロデューサーらの期待を理解している。そして今回の公演で観客を驚かせることにもゆるぎない自信を持つ。

「成功」は採算が取れてこそ

多くの日本人がニューヨークでの公演を実施する中で、原田さんにとっての「成功」は採算が取れてこそ。「(資金の)持ち出しなら趣味の世界。採算が取れることを目指してやっています」という。オフ・ブロードウェイの上演は、当たればロングラン、くじけば早々に終了というシビアな世界。その中で、「TRIP OF LOVE」が観客の反応とともに変化し成長するのか、消えるのかは全く未知の世界だと語る。

スーパー歌舞伎の舞台のため、日本に一旦帰国

プレビュー公演中にも日本の劇団やスーパー歌舞伎の舞台のため、日本に一旦帰国するなど照明のプロとしてひっぱりだこの原田さん。「売れなければ終わり」の世界に切り込み、新たな可能性を静かに待つ。

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ブロードウェイに携わることを目指す

北見 礼子(きたみ・れいこ)
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大阪トライアウト公演出演
ダンスアシスタントに抜擢

ダンスの振付アシストを担当する北見礼子さんは、2008年の大阪公演でダンサーとして出演。その才能はプロデューサーの目に留まり、ニューヨーク公演ではダンサーの指導や振付の組み立てをする立場となった。
初めて制作スタッフとして関わることとなり、戸惑いもあったと話す。ダンサーとして舞台に立っていた時とは違い、演出や音響など多くの人と関わりながら作りあげるためスケールの大きさを肌で感じている。
北見さんは07年に、大阪公演に向けた振付を一から決める為のワークショップからダンサーとして参加。そしてその後の公演にも出演した経験は今に生かされている。ブロードウェイに出演経験のあるダンサーたちをも指導する北見さんから日本との違いを聞くと「意識」だという。ブロードウェイの俳優は組合という組織があり、そこに入るにも経験が必要となる。それが俳優たちにとっての成功への道となり、自信やモチベーションを保ち、彼らのプロ意識につながっているという。
「TRIP OF LOVE」の成功のためにできる限りのことをしたいと語る北見さんは、スタッフとして、そしてダンサーとしてもキャリアを深めている。今後は拠点を日本からニューヨークに移し、ブロードウェイに携わることを目指すつもりだ。

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●日程 プレビュー公演:9月26日〜10月17日 本公演:10月18日〜無期限 ※水、土曜日は昼夜2回公演、月曜日休
●会場 ステージ42(旧ザ・リトル・シューバート・シアター)422 W 42nd St. NY, NY 10036
●情報 ウェブサイト フェイスブック
●チケット Telecharge(発売中)電話:212-239-6200 ウェブ
●チケット料金
プレビュー公演:A席99ドル B席69ドル
本公演: A席109ドル B席79ドル

(2015年10月10日号掲載)

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