〈企業トップインタビュー〉日本航空 米州地区支配人 兼ニューヨーク支店長 中村泰寛氏

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昨年5月就任 各拠点へ自らが飛び情報収集

米州で育ったスタッフが日本やアジア、欧州などでも活躍できるようになれば

0823-17men-jal_interview 2014年3月末より、ニューヨーク=成田線の運航を毎日2便に増便した日本航空。13年は増便に向け多忙な1年であったが、その年の5月、同社の米州地区支配人兼ニューヨーク支店長に就任した中村泰寛氏。ボストン、シカゴ、サンフランシスコ、ロサンゼルス、サンディエゴ、ホノルル、グアムの米州全拠点とカナダのバンクーバーまでの広大な範囲を統括する米州地区の支配人、またニューヨーク支店長として多忙な毎日を送っている。毎週のように各拠点へ自らが飛び、現地スタッフからの生きた情報に触れる中村支配人に航空業界の未来はどう映り、どのような展望を描いているのか、話を伺った。
◇ ◇ ◇
―ニューヨークに赴任されて1年が過ぎましたが。
 中村氏 もともとアメリカは経済的に活発で、着実に伸びている印象があります。中国へ赴任した1991年とドイツへ赴任した2001年は、湾岸戦争やアメリカ同時多発テロ事件があったこともあり、その後しばらくは、世界経済にも当社のビジネスにも影響がありましたが、ニューヨークへ赴任してからのこの1年は非常に堅調であると感じています。特に当社は2010年に一度経営破綻し、規模を縮小して収支を厳しく見ながら再スタートさせていただいていることもあって、経済の堅調さを身近に感じさせていただいているように思います。
―具体的にはどの領域で伸びが見られますか。
 中村氏 アジアとアメリカ間のお客さまの動きが順調に伸びており、特にアメリカからアジア方面への渡航者数はここ数年で増加の傾向にあります。将来を考えると、日本はこれから人口が増えないと見込まれており、海外から日本へ来ていただくお客さまを増やしていくことは重要なポイントですね。また、最近の航空機は随分と長い距離を飛べるようになりましたが、それでもアメリカからアジア諸都市への移動を考えると、まだまだ一度どこかを経由するケースが少なくありません。その拠点として日本を使っていただけるよう、アジア方面へ行かれるお客さまにも便利で快適なサービスをご提供していきたいと考えています。
―ニューヨークオフィスはワンワールド加盟各航空会社とオフィスシェアをされていますが。
 中村氏 このような形で各航空会社の仲間が職位にかかわらず机を並べている様子は、ほかでは拝見したことがありません。他社のエグゼクティブオフィサーも個室を持つことにこだわらず、こうして和気あいあいと仕事をしている様子は珍しいですよね。
―オープンスペースのメリットは。
 中村氏 とても良い影響があると感じています。何より距離が近いので、各社の担当者同士が親近感を持って、手軽に直接話をしながら業務を進めていくことができます。提携を通してお互いにさまざまな新たな情報やアイデアに接することができるようになりましたが、直接確認できることで細かい部分までしっかり理解し合えるので、自然と業務がスムーズに流れていると感じます。ダイレクトコミュニケーションは重要だと今さらながら思います。
―今後の展望は。
 中村氏 担当の米州地区全体で、地区を越えて活躍する人材を育成することと、この地区のセールス力を強くすることに力を入れていきたいと思っています。米州のスタッフは優秀で、意欲もあり素晴らしい。将来的には、米州で育ったスタッフが地域を越えて日本やアジア、欧州などでもマネジメントとして活躍できるようになればと願っています。そのための制度改革も実施していく予定です。

 〈プロフィル〉中村泰寛(なかむら・やすひろ) 福岡県出身。九州大学法学部法律学科卒業。1984年日本航空入社。伊丹空港支店、北京支店、整備本部業務部、フランクフルト支店総務マネジャー、労務部次長、安全推進本部部長などを歴任。運航本部副本部長を経て、2013年5月1日より米州地区支配人兼ニューヨーク支店長に就任。浄乃夫人との間に長女と長男。趣味は映画鑑賞と妻との散歩。座右の銘は「疾風に勁草(けいそう)を知る」。
(「WEEKLY Biz」(ニューヨーク)2014年8月23日号掲載)

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