【NY歴史問題研究会 通信】vol. 2 第60回例会(8月例会)-その2

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西岡力先生、髙橋史朗先生、山岡鉄秀氏が講演

ニューヨーク歴史問題研究会は8月24日、8月例会である第60回例会を開催。前回(9月9日号掲載)西岡力・麗澤大学客員教授の講演に続き、今回は髙橋史朗・明星大学特別教授、山岡鉄秀・モラロジー研究所研究員の講演を紹介する。

NY発の教育を発信していきたい

髙橋史朗・明星大学特別教授「台湾・ベトナムの大学に広がる日本の礼儀作法―グローバル人材の育成とおもてなしの心―」

講演する髙橋史朗氏

講演する髙橋史朗氏

 

2番手を務めた髙橋氏のテーマは「台湾・ベトナムの大学に広がる日本の礼儀作法―グローバル人材の育成とおもてなしの心―」。マナーの学会の会長でもある髙橋氏は資料を用意し、順を追って解説した。
第1に台湾・ベトナム・フィリピンの大学に広がる「日本の礼儀作法」講座を具体例を挙げて紹介した。
第2に日本政府の「グローバル・シチズンシップのための道徳教育 あり方検討委員会」でその土台となる「親子の情愛」が重要ではないかと説いた。
第3にダボス会議の議論の3本柱を紹介し、人類・地球のリスクを顕在化させないためには一人一人に求められる道徳教育が課題だと説いた。
第4にOECD(経済協力開発機構)の” Education 2030 “の3本柱の紹介、第5にPISAに来年追加される新たな試験、第6に日本青年会議所が2年連続して「日本道」「親道」プログラムに取り組んでいることを紹介した。最後に、小中学校で道徳が教科になることでの最大の課題として、子供の内面の評価、愛国心や伝統・文化を教える難しさを説明した。

「現地校では日本に対して“ゆがんだ歴史教育”が行われている」と語る髙橋氏は、日本の補習校(補習授業校)の役割に触れ、文部科学省の在外教育施設グローバル人材育成強化戦略で書かれている事柄を紹介した。その中でも「日本の歴史や文化を発信する教育拠点」とならなければいけない、「日本人のアイデンティティーの確立をしっかりやる」という項目を強調した。こういう観点からニューヨーク発のグローバル・シチズンシップのための道徳教育の試みとしての具体的提案を挙げた。

まず、野口英世の功績を後世に伝えることを挙げ、次に日本人学校で「母から子への手紙」を書いてもらい、親子を集めた発表会を開催したいとした。「親心」あふれる手紙として、母シカが野口に宛てた手紙を原文と訳文が書かれた資料を聴衆に配り、髙橋氏自身が読み上げた。

「歴史認識問題と私たちが教育を再生していくということは深くリンクしている」と述べる髙橋氏は、「まず、自分を温かい目で見る。そして自国をアジアを地球を温かい目で見る。そういうことを広げていかなくてはいけない」と語った。

韓国の講演でも「それぞれの立場を尊重しよう」と訴えた髙橋氏は、「本当に意味で相互理解するということはどういうことか学びましょう」と語り、そのためには説得力のある自己主張ができなければいけないと強調した。

最後にソニー創業者・井深大氏が書いた『あと半分の教育』を紹介、「道徳」の大切さを説明したあと、「ニューヨーク発の教育を発信していきたい」と締めくくると、大きな拍手が巻き起こった。

皆が協力し合って対処を

山岡鉄秀・モラロジー研究所研究員「今、子供たちの世界で起きていること―教育現場で浸透する反日政策―」

 

講演の最後を務めた山岡氏のテーマは「今、子供たちの世界で起きていること―教育現場で浸透する反日政策―」。

自身の“本拠地”の南半球の学校で起きている、日本人の子供たちへのいじめの例をスライドを使いながら具体的に紹介した。それは、卒業記念の劇で日本人を悪く言う豪州人の役をやらされたり、知らない子供から、ボールをぶつけられたり、罵詈雑言(ばりぞうごん)を浴びせられるというもの。「反日洗脳教育は確実に浸透してきている」と述べる山岡氏はもはや人ごとではないとし、いつ、どこで起こってもおかしくないとした。

一番解決しなければいけない問題は皆が協力しなければいけないと説き、意見の相違があっても、「日本の子供たちを守る」という目的のためには、協力し合って対処していかなければならないと強調して締めくくると、会場は拍手で包まれた。

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次回の開催は9月28日。詳細はこちらを参照。

(2016年9月23日号掲載)
(過去記事はこちらでまとめてご覧になれます)

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