「アメリカ五大オーケストラ」の一つとして知られているニューヨーク・フィルハーモニックは、2021年6月までの公演を全てキャンセルすることを発表した。
NYフィルの178年の歴史の中で、シーズン全体の中止は初めて。社長兼CEOのデボラ・ボルダさんは、「健康面や経済面での課題はもちろん、私たち全員が直面している課題は深刻」と悲痛な胸中をつづった。
2020年3月12日から21年6月13日までのコンサートのチケット保有者、またはシーズン契約者はチケットの払い戻しが可能。しかし、同楽団は大幅な収益の減収により存続自体が危惧されている状況のため、チケット代の寄付を検討してもらえるよう要望している。
米メディアによると、今回の中止によって約1000万ドルの赤字になるとのこと。このため、既に団員やスタッフの一部減給や解雇などが通告されている。今後この状態が続けば収入の確保がより一層困難となり、活動の大幅な削減が避けられない見通しだ。
新型コロナウイルスの影響でコンサートが中止されてから約7ヶ月間、同楽団はオンラインで無料ストリーミング配信を続けている。今冬には、オーケストラの動画シリーズを増やしていく意向だ。
現在、今年12月31日までに150万ドルの募金を目指す「NY Phil Plays On Fund」への寄付を募っている。(give.nyphil.org/campaign/ny-phil-plays-on-fund/c285842)