JS、オンライン討論会「日韓両国における新型コロナウイルスによる地政学」配信、250人以上がライブ参加で大注目

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オンライン討論会の様子。米外交問題評議会(CFR)日本担当シニアフェローのシーラ・スミス博士(左上)、JS理事長のジョシュア・W・ウォーカー氏(右上)、The Korea Society政策&コーポレート・プログラムのシニア・ディレクターのスティーブン・ノーパー博士(下)

オンライン討論会の様子。米外交問題評議会(CFR)日本担当シニアフェローのシーラ・スミス博士(左上)、JS理事長のジョシュア・W・ウォーカー博士(右上)、The Korea Society政策&コーポレート・プログラムのシニア・ディレクターのスティーブン・ノーパー博士(下)

ジャパン・ソサエティー(JS)とコリア・ソサエティー(The Korea Society)は4月10日、オンライン討論会「日韓両国における新型コロナウイルスによる地政学(Geopolitics of Coronavirus: Japan and Korea)」を開催した。現在、世界で猛威を振るう新型コロナウイルスが日本と韓国に与える影響をテーマにした同会は、ネットライブ配信され、250人以上が参加し大きな注目を集めた。

同会は、JSとThe Korea Societyの5回目の共同プログラム。スピーカーに、米外交問題評議会(CFR)日本担当シニアフェローのシーラ・スミス博士と、The Korea Society政策&コーポレート・プログラムのシニア・ディレクターのスティーブン・ノーパー博士を迎え、専門的な知識に基づいて討論が行われた。司会はJS理事長のジョシュア・W・ウォーカー博士。

新型コロナウイルスの世界的な大流行は、単に公衆衛生の危機にとどまることなく、経済、政治、国際関係、国際機関、スポーツなど、多くの面に影響を与え、国際的な秩序を揺るがしている。今回は日本と韓国に焦点を当て、現在起こっていることをベースに、新型コロナウイルスに対する両国の政策や対策の違い、今後の2国間の関係や影響などについて、専門家らによって分析された。

【動画】youtu.be/oYANFuwWfi8

(© Japan Society (NY),  The Korea Society)

日本では、1月中旬から徐々に感染が広まり、3月中旬には「新型コロナウイルス特措法案」が可決され、4月7日に7都府県を対象に「緊急事態宣言」が発令された。これは欧米諸国で発令された「外出禁止令」や「都市封鎖」とは異なり、違反者に対する罰則などはなく、日本企業が在宅勤務の強制を実施することはできない点をスミス博士が指摘。民間の行動を完全に変えることはできないとし、日本政府は外出禁止を住民に強制する権限がないと語った。また、武漢市(中国湖北省)をはじめとする「都市封鎖」が実施された国・地域における日系企業へのダメージは計りしれず、今後の経済的な影響を危惧した。

一方、韓国では、昨年12月にパンデミックを想定した演習を行い、技術的・科学的な面では準備がある程度、整ってはいたが、政治的な面では2月初旬までは体制が整わなかったという意味で、対応が遅れていたとノーパー博士は指摘。非常に速いペースで感染者が急増したが、治療と検査だけでなく、民間での積極的な社会的距離(social distance)の確保が徹底されるなど積極的な政策を取ったため、抑制することができたと同氏は語った。

また、ノーパー博士は、東京五輪・パラリンピックの開幕が2021年7月に延期された点に関して、日本オリンピック委員会(JOC)は今後、15カ月後の状況を慎重に判断し、ワクチンの開発や対策をより重要視する必要があると述べた。同会では、この困難を乗り越え、両国がこれまでに築き上げてきた経済的な協力関係をより強固なものにする必要性を、再認識する機会となった。

ウォーカー博士は、「コリア・ソサエティーとジャパン・ソサエティーが、これからより良い関係を築き上げる始まりとなることを願っています」と語り、参加者に感謝の言葉を述べ、討論会は締め括られた。(文・田部井愛理)

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