国際空手道連盟極真会館の国際大会である「オールアメリカンオープン国際空手道選手権大会2019」が6月22日、ニューヨークのジョン・ジェイ・カレッジ内体育館で開催された。会場に詰めかけた観客は、男子の部、女子の部のトーナメント戦に加え、選手による板割りや型の試合を大きな声援を送りながら観戦し、場内は終日熱気に包まれた。〈写真はいずれも6月22日、ニューヨーク。提供写真以外は撮影:中沢〉
今年で24回目を迎えた同大会は、世界18カ国から強豪選手が集結。今年11月に開催される4年に1度の世界大会を目前に、男女ともに熾烈(しれつ)な熱い戦いが繰り広げられた。
男子の部、準決勝第1試合では、「マシンガン」の異名を持つアショット・ザリヤン選手(ロシア)と若手ホープとされるソウタ・ナカノ選手(米国)が対戦。ザリヤン選手が優勢に試合を運び5─0の判定勝ちで駒を進めた。
準決勝第2試合では、2017年チャンピオンで今大会大本命の、アントニオ・テゥセウ選手(フランス)が西村界人選手(日本)から強烈な上段前蹴りで技ありを奪い、決勝進出を果たした。
注目の決勝では、ともに優勝候補のテゥセウ選手とザリヤン選手が互いに譲らず、本戦引き分けの熱戦を繰り広げた。延長の末、テゥセウ選手が優勢に試合を運び、5─0の判定勝ちで見事勝利した。2年ぶり2回連続(昨年は欠場)優勝に輝き、会場は割れんばかりの大きな歓声に包まれた。
また、女子の部ではアナスタシア・カサノワ選手(ロシア)が重量級で優勝。各階級優勝者で争う「YOKOZUNA戦」の決勝でも、軽量級優勝のレイラ・ポラク選手(ハンガリー)を下し、2017年以来の総合優勝を手にした。
今回ベスト8に選出された選手は、11月に開催される第2回世界大会への出場権が与えられる。
「ルール抜け道利用する技多く残念」
国際空手道連盟極真会館・松井館長総括
例年に勝る大きな盛り上がりを見せた今大会だが、国際空手道連盟極真会館の松井章奎館長は、「試合の内容を高める目的で行ったルール改定から3年目の大会となったが、ルールの抜け道を利用するような“荒手”の技で勝ちだけをねらう試合展開などもあり、あまり褒(ほ)められたものではなかった。オールアメリカン大会は、世界各地から強豪選手が集うトップクラスの国際大会になっているので、観客の皆さんもすごく盛り上がってくださるし、大会の雰囲気はすごくいい。それだけに、今回の男子決勝など良い試合も多い中、このような内容の試合があったことは非常に残念だった。日本人選手は技術的な見どころはなかったに等しいので、11月の世界大会を前に大いに反省しなければならないと感じる」と厳しく総括した。
入賞者
■一般男子
優勝/アントニオ・テゥセウ(フランス)
準優勝/アショット・ザリヤン(ロシア)
3位/西村界人(日本)
4位/ソウタ・ナカノ(米国)
5位/ユウジ・イシカワ(米国)
6位/山川竜馬(日本)
7位/クーロッシュ・エバジー(米国)
8位/モネット・ギャレット(米国)
■一般女子
軽量級優勝/レイラ・ポラク(ハンガリー)
軽量級準優勝/ルディヴィン・ヴェダポダガム(レユニオン)
中量級優勝/シャイネス・エライムー(フランス)
中量級準優勝/ヴィヴィアン・ハラス(ハンガリー)
重量級優勝&YOKOZUNA/アナスタシア・カサノワ(ロシア)
重量級準優勝/マリア・ジャスコ(ポーランド)
■その他
試割賞/アショット・ザリヤン(24枚)
技能賞/シャイネス・エライムー
敢闘賞/レイラ・ポラク
(2019年7月6日号掲載)