矢野顕子トリオ、NYライブ大盛況で幕

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魅力的な歌声と力強い演奏で観客を魅了した矢野顕子さん。後方はドラムのクリス・パーカーさん=16日、ニューヨーク(撮影:高橋)

魅力的な歌声と力強い演奏で観客を魅了した矢野顕子さん。後方はドラムのクリス・パーカーさん=16日、ニューヨーク(撮影:高橋)

シンガー・ソングライターでピアニストの矢野顕子さんが16日、イースト・ビレッジにあるJoe’s Pubで毎年恒例のNYCライブ「Akiko Yano Trio featuring Will Lee & Chris Parker(矢野顕子トリオ)」を行った。今回は早々に完売した午後6時の部に加え、午後8時半の2セットの開催となった。会場は多くの日米のファンで埋め尽くされた。

今年も例年同様、1970年代からの親しい友人であるウィル・リーさん(ベース/ボーカル)とクリス・パーカーさん(ドラム)とのトリオを組み、息の合ったパフォーマンスで会場を盛り上げた。

盛大な拍手と歓声で迎えられたライブは「Chinsagu no Hana(ちんさぐの花)」の矢野さんの力強い歌声で幕を開けた。

2曲目の「Nothing In Tow」の後、矢野さんはメンバーを紹介。「ちんさぐの花」は沖縄の古い民謡だと説明、「Nothing In Tow」は、コロナ禍の時に、自身が作詞作曲を手掛けたと語った。

ベースのリーさんが歌声を披露した「One Two Three」の後、ゴジラの咆哮(ほうこう)が聞こえると、「Godzilla vs Mothra(ゴジラVSモスラ)」が演奏され、盛り上がった。

次に人気曲の「Ramen Tabetai(ラーメンたべたい)」を、ピアノから離れ、立って会場に語りかけるように歌う矢野さんに会場が酔いしれた。

宇宙飛行士の野口聡一さんが4年前に、国際宇宙ステーション(ISS)での滞在中に書いた詞に曲をつけた、全14曲のアルバム「君に会いたいんだ、とても」を紹介。その中の「The Rising Dragon(ドラゴンはのぼる)」を披露した。

ISSのチケットを見せて語る一幕もあった。

昨年の坂本龍一さんの死去にも触れ、どうしても演奏したかったとして、坂本さんの「Thousand Knives(千のナイフ)」を紹介。これは矢野さんがYMOをサポートしていた時に演奏していたもので、とても大好きな曲だという。演奏前にすでに歓声が上がり、力強いドラムで始まったこの曲はこの日一番の盛り上がりを見せた。

この曲が終わると「今日は来てくれてありがとう、今日は2セットあるんです」と英語で語りかけた後、日本語でも「今日は本当に来てくださってどうもありがとう」とあいさつすると、一層、大きな歓声が上がった。

最後の曲として、「Hitotsudake(ひとつだけ)」を日本語で、温かな笑顔いっぱいに歌い上げた。

バラエティー豊かな8曲を演奏し終え、鳴り止まない拍手で迎えられた、アンコールでは矢野さんがソロで「Prayer」を披露。「Canton Boy(在広東少年)」を再び3人でを届けると、大きな拍手と歓声の中で、幕を閉じた。

矢野さんのライブに初めて訪れた日本人女性は、「力強い歌声だけでなく、語りかけるような歌声に心が温かくなった。矢野さんの笑顔にも励まされた」と語った。

◇ ◇ ◇

「矢野顕子トリオ」は夏には東京公演に加えて大阪公演も開催される。10月に開催されるサンフランシスコとロサンゼルスでのソロ弾き語り公演のチケットも発売中だ。詳細はwww.akikoyano.com参照。

(2024年6月22日号掲載)

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