弁当・ケータリング事業などでBento文化をニューヨークに広めてきた「BentOn(べんと・おん)」(社長:古川徹氏)が、オハイオ州ラブランド市(851 Loveland Madeira Rd, Loveland, OH 45140)に工場を新設した。
6月3日には、同市長も招いてテープカットとともにオープン記念式典を開催。新工場は自宅での食事をサポートするミールキット事業専用となり、同事業は今後、中西部から全米展開を目指す。
大都会から小さな町への事業展開
BentOnは2006年に設立。現在、ニューヨークでは(1)日替わり弁当の製造及びオフィスへの配達(2)ケータリング事業(3)ミッドタウン45th通りの店舗運営─という三つの事業を軸としている。これに加え、20年に開始したミールキット事業が加わる。
ミールキット製造の拠点をオハイオ州にした理由は「物流の効率性」。全米展開を目指し、ミールキットの配達地域をニューヨークから東海岸の主要都市、中西部へと進める過程で同州拠点の利便性に気付いた。
ラブランド市にしたのは「大都会のニューヨークとは別の、小さい町で勝負したかったから」と古川氏。「あとは名前がかわいかったから」と笑顔で話す。
オハイオ州への進出を決めた21年の7月から約2年かけて工場を作り、大型オートメーション機械をシンガポールから購入した。
地域に密着し日本食を広める
中西部では、まずオハイオ工場で作られたミールキットを、シカゴ、デトロイト、ミシガン、コロンバス、インディアナなどの、主に自動車メーカーに勤める日本人の駐在員家庭に届ける。加えて、ポップアップやケータリング、同工場を路面店として開放するなど、地元米国人へ日本食の素晴らしさを広めていく。 工場では弁当、ミールキットのほか、中西部では手に入りにくい惣菜・魚・野菜などの販売も検討中だ。「地域に密着し、『工場=近寄り難い』ではなく、ふらっと立ち寄れる工場を目指しています」と古川氏は語る。
「便利で、かつ、おいしい食事」を
ミールキット事業は、コロナ禍で同社の売り上げが8割ダウンした中で生まれた。古川氏は「ニューヨークの人たちの拡散力によって次の展開につなげることができた」と感謝を示す一方で、中西部では「単身の人たちも安心した駐在生活を過ごせるようにしたい」と思いを語る。
激しい変動の時代、ますます忙しくなる人々が求める「便利で、かつ、おいしい食事」のニーズに応える。
◆BentOn Kit
【公式サイト】www.bentonkit.nyc
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(2023年7月8日号掲載)