2020年1月12日(日)まで
マンハッタン区アッパー・イースト・サイドにある美術館「フリック・コレクション(The Frick Collection)」で9月18日から、世界初となる、ルネサンス期の彫刻家、ベルトルド・ディ・ジョバンニの作品展「ベルトルド・ディ・ジョバンニ;フィレンツェのメディチ家におけるルネサンス彫刻(Bertoldo Di Giovanni;The Renaissance of Sculpture in Medici Florence)」が始まった。同時に、ベルトルドに焦点を当てた約500ページにも及ぶ世界初の美術書(84.95ドル)もフリック・コレクションから出版された。同展は翌年1月12日(日)まで。
フリック・コレクションで所有していたベルトルドの作品「盾持ち(Shield Bearer)」から着想を得て、ベルトルドがもたらした功績と精巧な作品に価値を見出し、今回の展覧会を企画したという。同館はベルトルドの作品をニューヨークで唯一見ることができる美術館として、彼のアーティストとしての位置づけを確立し、作品を再定義している。
作品は、同館保有以外にもドイツやフランスからも約20点収集。イタリアからの、15メートル以上にも及ぶフリーズ彫刻『ポッジョ・ア・カイアーノにあるヴィラ・メディチのポルチコのためのフリーズ(Frieze for the Portico of the Medici Villa at Poggio a Caiano)』は、伊国外で初披露する形となった。ブロンズ像やメダル彫刻、さらに他の芸術家と共同制作した作品も展示されている。
キュレーターのアレキサンダー・J・ノエル(Alexander J. Noelle)氏は、「世界で初めて、彼の作品に関する展覧会を開催することができ、大変光栄に思う」と16日に行われた記者会見で語った。
彫刻家、ベルトルド・ディ・ジョバンニとは
ルネサンス文化発祥の地フィレンツェで活躍したベルトルド・ディ・ジョバンニは、作品に遠近感を持たせる「透視図法」を世に広めた彫刻家ドナテッロの弟子、ルネサンス三大巨匠ミケランジェロ・ブオナローティの師、そしてレオナルド・ダ・ヴィンチとも交友関係があった。さらに、当時のフィレンツェを実質的に統治したメディチ家とのパトロン関係も強固なものだった。そして、後年には教師として若手の育成に励んだという。
ルネサンス期の繁栄における重要人物ベルトルドは、芸術家として素晴らしい作品を制作するだけでなく、外交的で多くのビッグネームと厚い人脈があったにも関わらず、現在まで日の目を見ることはなかった。
ベルトルドが脚光を浴びる、他では見ることができない展覧会にぜひ訪れてみてはいかがだろうか。
書籍『Bertoldo di Giovanni』はフリック・コレクションのミュージアムショップ、公式ウェブサイト(frick.org)、または電話(212-547-6848)で購入可能。
■概要
【日時】2019年9月18日(水)~2020年1月12日(日)、火─土曜日;午前10時~午後6時、日曜日;午前11時~午後5時 ※毎週月曜日は休館日
【会場】The Frick Collection
【場所】1 E 70th St New York, NY 10021-4981
【チケット】22ドル、65歳以上17ドル、学生12ドル、10歳未満は入場不可。※任意の金額制(pay-what-you-wish)での入場は毎週水曜日午後2時~6時
【詳細・公式サイト】www.frick.org