56年ぶりとなる東京五輪を目前に、日本から海外に向けて積極的な観光PRが行われる中、独自の商品アイデアとデザインで勝負をかけるブランドがある。J─Kanjiは、「株式会社ZEN」(取締役・山喜多邦夫氏)が運営する日本の漢字文化に焦点を当てたプロダクトブランドだ。日本の漢字文化を世界に広めることをコンセプトとし、雑貨やアクセサリーなどの商品企画やデザイン、販売などを行っている。
英語名を漢字に印鑑や千社札人気
デザインに日本文化のモチーフを取り入れたシールやステッカー、マグネット、Tシャツなどを取りそろえているが、中でも個人の「名前」を扱う印鑑や千社札が注目を集めている。例えば「John」という英語名に「叙恩」と漢字の当て字を表記。約500種類の名前を用意している。「自分の名前が漢字になる」というプレミアム感が受けて、売り上げはうなぎ上りだという。同社のブランド責任者・片桐英晃氏(イロハ・デザインコンセプト社長)によれば、J─Kanjiがスタートした2017年12月当初は苦戦したものの、19年から急上昇し、同年の1月から11月までの推移は500%アップという驚異の数字を叩き出している。
東急ハンズや観光地、都庁展望台内で販売
現在、J─Kanjiの商品は日本全国で販売されている。東急ハンズやドン・キホーテ、キデイランドや博品館といった有名店、浅草や京都など日本の主な観光地の土産店、空港など海外から訪れる人々をターゲットにする店舗で販売されている。中でも好調な売れ行きを見せているのは東京都庁の展望台内にあるショップで、千社札と印鑑で月に5000個ほどを売り上げている。
英語名の友人へのお土産にして
前身となる会社も含めると雑貨業を20年続けている同社だが、J─Kanji誕生の背景には「日本の消費者動向の減退」があった。ある大手の取引先店舗では「海外客がいなければ成り立たない」と話していたほどだという。景気が悪くなったことも重なり、日本国内の消費に頼っていくことに危機感を感じ、まずは海外から日本に訪れる観光客など「インバウンド」向けに商品を企画・販売したという。
J─Kanjiのコンセプトは「日本の漢字文化を“正しく”広めること」だと片桐氏は話す。「よくある日本語を面白おかしく表現したTシャツや入れ墨などがありますが、そういうのはやめようよ、と。あくまで真面目に、正しい使い方で日本の漢字文化を広めたいと思っています」。また、「日本の消費者が海外に旅行する際、英語名の友人への土産として購入してもらえたら」と語った。
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J─Kanjiはこれから五輪や大阪・関西万博に向け、今後もさまざまなアイデアを盛り込んだ商品を打ち出していく予定だ。そして、海外展開もすでにスタートを切っている。(次回=2月22日号掲載=に続く)
■情報
【北米販売サイト】j-kanji.com/shop/
【北米問い合わせ先】〈電話〉212-997-0210〈Eメール〉info@weeklybiz.us