世界中のアートフェアに出展 画家 松本和久さん ハラコチャン作品をNYでも知ってほしい

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自宅アトリエでハラコチャンアートと松本和久さん(9月22日)

自宅アトリエでハラコチャンアートと松本和久さん(9月22日)

世界中のアートフェアに出展している画家の松本和久さん。9月からニューヨークのチェルシーにあるギャラリー「Montserrat Contemporary Art」で出展している(2023年2月末まで)。ニューヨーク初進出を前に出展作で代表作でもある“ハラコチャン”などの作品に込めた思い、日本と海外での観客の反応の違いなどを伺った。

自作動画(注1)、拝見させていただきました。圧倒的なオリジナリティーと独自の世界観。そして何より「美し」かったです。

ありがとうございます。(ニッコリ)

ファンの皆さんの反応を聞くと、ほとんどの方が「やさしく温かい印象を受ける」という中、「ミステリアスで独特」という一見、真逆の反応をする方がいたのも印象的でした。

アーティストは、自分の心で創造したものを表現するわけですが、(それを受け取る)観客は千差万別の反応があって当然ですよね。見ている人の心に今あるイメージがそのまま反映するものだと思います。幸せな気持ちで見る人はハッピーなものを感じ取るし、悩みがある人が見るとドンヨリと見えるかもしれない。この絵はこういうものですよ、こう感じてほしいんですよっていう押し付けがましいものは、僕にはないんですよ(ニッコリ)。ただ、人と人との調和、愛情、平和、自然、そういったものを一つの画面の中で融合して表現したい、そういう思いは若い頃から今も変わらないです。

アトリエでの松本和久さん(2020年)

アトリエでの松本和久さん(2020年)

一目瞭然の個性の輝きが必要

WAKUさんの世界観は前衛的にもかかわらず、どこか懐かしさも感じさせてくれます。

10年くらい前から、北米、ヨーロッパなどの世界中のアートフェアに出展してるんですけれど、2010年だったかな、ニューヨークに出品した際、ギャラリストの社長さんから言われたんです。「世界は広いんですよ、WAKUさん」って。世界中のアートフェア作品を見渡した時に、パッと見て“ジャパンの”“WAKU MATSUMOTO”だって誰もが分かる絵が見たいんです。これだけ世界中からインパクトを持ったアーティストたちが集まってきて、自己主張している中、やっぱり、ジャパンのWAKU MATUMOTOの作品だって一目瞭然の個性の輝きが無いとダメだと。今は、そういう作品が求められているんだと。

そこからですね、創作コンセプトを深く掘り下げブラッシュアップし、シンプルでシンボリックなデザインの今の「ハラコチャンスタイル」が生まれたわけです。

契約ギャラリストから言われて、なるほどなって思わされてからです。

世界に出たからこそ、自身の日本というアイデンティティーに気付かされたというか。

そうですね。結果、今となってはアメリカやヨーロッパからのオファーは、ハラコチャン作品ばかりです。(笑)

誰もがモデルのハラコチャン

WAKUさんの作品を代表するキャラクター、ハラコチャンには具体的なモデルはいらっしゃるんですか。

イメージは一番身近にいる妻が始まり…ではあるのですが、コンセプトはLBGTQも入っていますから世界中の女性に限らず、老若男女、誰もがモデルです。これに関しても特定はしていなくて、鑑賞する側の人それぞれが「うん、これはアタシだ」とか、「知り合いの誰々に似ているよね」とか思ってもらえればOKなんですね。ハラコは、漢字で「原子」と書きます。「げんし」と書いて、「はらこ」。コンセプトはぜひ、ホームページ(注2)をぜひ見てください。

要するに、原子は全ての物質界の元、一番小さな大元であり根本であるということ。そこからイメージを膨らませハラコチャンと命名しました。

冬のコート近景。自宅アトリエで(9月22日)

冬のコート近景。自宅アトリエで(9月22日)

純粋に作品を感じてくれる欧米人

日本と世界、ギャラリーに来る観客の反応に違いはありますか。

あのね、面白いのは、フランスにしろドイツにしろスペインにしろ、ヨーロッパの人って純粋に作品を、まず自分の目で見てくれます。自分の心で感じてくれるんですよ。欧州は伝統的な芸術文化の礎がありますから、アートへの関心が高く高尚なんです。

日本の場合は、まずは作品の評判を聞いてから見るとか、著名な大先生の描いた作品だからすごいと思い見るとか。自分のハートで直接感じたものや自分の審美眼に自信が持てないから、既に有名であるとか、画家の学歴や知識から入る方の方が多いですね。

分かる気がします。(笑)

欧米人は、まず自分からストレートに良いものは良い、これは好きだ素晴らしい、って言ってくるんですね。僕の作品はインターナショナルカラーといって、世界中どこへ持っていっても共通する三原色を使って創っているので、まず色彩が目を引きます。で、そこからアートラバー(アートファンの呼称)は創作コンセプトを私から聞き出すわけですね。そこで初めてハラコちゃんのコンセプトを話すわけです。そこで、なるほど!と、瞳を輝かせすごく喜んでくれますよね。

自分の感性で見てくれて、そこから具体的に何を表現しているのかを自分で聞いてくれて、そして自分で納得してくれる欧米の方に対して、日本の方は、やっぱり、なんとなく控えめで謙虚なんですね。僕がSNS(インターネット交流サイト)で「海外で何々賞をもらいました」とか、「どこどこで認められました」とか発信して、そこから初めて作品を見てくれて「すごいですね~」って感想を言ってくるって感じですね。アートに対しての感動センサーは海外の方の方がすごいかもしれません。そういう意味において「HARACOchan♡ARTは世界共通語」なんですね。

肖像画贈呈を記念して。(左から)世界三大投資家のジム・ロジャーズ氏、インド人実業家のサチン・チョードリー氏、松本和久さん

肖像画贈呈を記念して。(左から)世界三大投資家のジム・ロジャーズ氏、インド人実業家のサチン・チョードリー氏、松本和久さん

モンゴルやスペインでも評価

それにしても、本当に世界各国で活動されていらっしゃいますね。

9月には日本とモンゴルとの国交50周年記念事業でモンゴルの公立小学校から高校まで約300校の美術教科書に私の作品も選ばれ掲載されます。11月は第47回Japanese Art Selection – 50の視点─スペイン・セビリア/精鋭50人のアーティスト/代表画家選抜されての招待出品します。これは日本のあらゆるジャンルの作家の中から50名だけが選ばれたわけなのですが、特筆すべきは欧州の著名美術評論家であるポール・フロート氏が私の作品をセレクトしてくれたことです。そのおかげでモダンアート部門でのハラコチャン作品が受賞・招待出品作に選出されたわけです。

ご自身の国際的な評価が、母国日本でそう伝わってないことに悔しさはないですか。

日本はどうしても画壇派閥、みたいなものがあるんですよ。そういった組織の枠組みや、ヒエラルキー社会からはみ出してしまったアーティストは世界へ飛び出すんでしょうね(笑)。僕は、いつだってはみ出し者で無所属なんです(笑)。集団が好きじゃないので、日本の著名な大先生に忖度(そんたく)するのも苦手。若い頃は「松本君、この作品のこの部分をこう直しなさい」とか言われたこともありましたが、素直に言う通りにはできなかったので、画壇の出世は逃しました(笑)。はみ出し者で自由奔放な創作姿勢と、今でも若者のように!チャレンジ精神は失わずにその作品発表の場を海外に見い出してきた結果、欧米でのハラコチャン♡コンセプトアートへの関心度が高まりつつある現在なわけです。

作品発表の場は欧米の方が合う

WAKUさんが海外を主戦場にするのも自然の成り行きですね。

私的には「主戦場」という表現はしっくりこないですね。戦う場ではなくて、やっぱり自分の表現したいアートを世界中の人々へメッセージ発信できる聖地というような喜びがあるからなんです。

そういった意味で、今でも資本主義経済世界の中のアート市場の中心地はニューヨークなんですね。

そして、ニューヨーク在住の日本人アートファンの人たちにも、「あれ~、日本人アーティストでこんな画家さんがいたんだ。あの世界三大投資家で有名なジム・ロジャーズ氏の肖像画制作を手掛け贈呈している唯一の画家。しかもオリジナルデザインのハラコチャンアートって超カワイイわ~っ、大好き!」って。(笑)

余談になりますが、知る人ぞ知る「ハラコチャンTシャツ」は日本のレディースの間で、人気ファッションアイテムです。
(ハラコチャンTシャツ紹介ムービー はこちらから)

アート市場として熟成したニューヨークのアートコレクターの眼力にかなう作品を創り発表し認知される喜び。そういう「アートな感性のシャープさ」を肌で感じながら、自分自身の創作の励みやエネルギーに転換していくには、作品発表の場は日本の土壌じゃなくて欧米の方がずっと僕にはマッチしていると、感じてはいます。

制作している時、WAKUさんは頭の中で何を考えているのでしょう。

画面の調和を意識しています。描き始めると、入り込んでいって無心になります。あらかじめ作品によってテーマは決めておきますが。なんかね~、筆先に意識をフォーカスしながらある一線を越えると、どんどん集中力が増し、次の線とか色とか形や流れはオートマチックに手が動くようになりますね。考え込んじゃうと、逆にストップしちゃって描けなくなる。そういう感覚、ちょっと人生と似てますよね。

最後に読者にメッセージを。

世界のアートの中心であるニューヨークで自分の作品が展示されるのはとても誇りに思います。今回は個展ではなくて半年間の常設展示です。私のハラコチャン作品が一流アートコレクターやご来場のお客さんたちに認知してもらう機会となれば幸いです。

日本には「ワクワクハートのカワイイ♡ハラコチャンを描き、世界中に発表している」アーティストWAKUさんがいるんだと、ぜひ知ってもらいたいです。そして、今回ニューヨークに持ってこられなかったハラコチャン作品の数々を私が制作したミュージックビデオ(注3)をぜひご覧になってください。

■ギャラリー情報
【ギャラリー】Montserrat Contemporary Art
【住所】547 West 27 St New York NY
【営業】水─土曜 正午〜午後6時
【ウェブ】www.montserrat.us/waku-matsumoto

アトリエでの松本和久さん(2018年)

アトリエでの松本和久さん(2018年)

【プロフィル】
松本和久(まつもと・わく)
1982年群馬青年美術展(現:群馬青年ビエンナーレ)/優秀賞・群馬県立近代美術館作品買上所蔵
1986年スペイン・マドリード自費留学
2008-2010 WAKU-ART/青山 PROMO ARTE
REDDOT ART FAIR in New York, ART SANTA FE,
ART FAIR MIAMI, S.O.A.F.Soul Open Art Fair,
Art Monaco 2013,
ジャパンアーティストフェスティバル/マルタ共和国
マルタ ヴァレッタ・メディテレニアン・カンファレンスセンター(招待作家)
日欧宮殿芸術祭 2021 in ベルリン/シャルロッテンブルク宮殿
ドイツ・日本タンガーミュンデ友好展 /エルベ芸術の絆
Artexpo New York 2021
日本・モンゴル国交樹立50周年記念事業2022
【新美源~後世に伝える日本モンゴル美術総集】
(モンゴル公立学校300校美術教科書にハラコチャン作品掲載)
ドイツ・ミューヘン 日本ドイツ現代芸術文化交流展2022(招待画家)
ミューヘン ニンフェンブルク宮殿オランジェリー会場
スペイン・セビリア 第47回ジャパン・ウイーク2022招待出品
2023年3~5月 平和を祈るアートの祭典~美の結集
Peace tu the World in Tokyo 2023(選抜画家)

〈HP〉WAKU MATSUMOTO
〈FB〉WAKU MATSUMOTO
〈動画〉HARACOchan’s ♡ concept Art 2019
〈動画〉wakuart WM – YouTube
〈動画〉48yohane – YouTube

(2022年10月22日号掲載)

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