マクロビオティック(4)
マクロビオティックは、故・桜沢如一(海外ではジョージ・オーサワとして知られている)が確立した日本の伝統的な玄米菜食を基本とする食事法で、基本理念は次のとおりです。
(1)自分が住む土地と季節に合ったものを食べる(身土不二=しんどふじ=)
人の身体をつくるのは食物です。食物を育てるのは土です。すなわち人と土とは切っても切れない関係にあるので、自分が生まれ育った土地でとれる旬の食材を食べるのが原則です。たとえば果物の場合、南洋のバナナやパパイヤなどは陰性過多なので、冬には食べないほうが無難です。(20年前に激しい腹痛に襲われました。1週間後にもまた激しい腹痛に襲われました。共通する食べ物は、パイナップルでした。それ以来こわくて食べていません。バナナは欲しくなったときに、たまに、すこしだけ食べます)
(2)食材は部分ではなく全体を食べる(一物全体)
生命あるものは全体を食べるという考え方で、米なら精白された白米ではなく、玄米や胚芽米、野菜なら皮や根や葉を丸ごと食べます。魚なら頭からしっぽまで食べられる小魚が理想です。この食べ方は、食材の栄養価を効率よくとることができる、調理が簡単になる、ゴミが減るので地球環境によい、といった利点があります。
(3)火またはガスで調理する
玄米は圧力釜で炊くと、何倍もおいしく食べられます。
(4)よく噛んで食べる
一口ごとにハシを置き、七、八十回は噛みます。病人は100回以上噛んでください。
(5)肉、砂糖、卵、酪農品のほか、芋、ズッキーニ、トマト、なす、ピーマンなど、陰陽のバランスのよくない野菜類を食べない
マクロビオティックは、基本的には個人でする料理法です。だから、それをビジネスに絡めると、むずかしい点も出てきます。いちおう基本は守っていますが、芋やズッキーニを使うこともあります。そのほうが料理の幅が広がるからです。つまり「そうえん」は、マクロビオティックに入る門と考えていただければいいのです。
(次回は2月11日号掲載)
〈プロフィル〉山口 政昭(やまぐち まさあき) 長崎大学経済学部卒業。「そうえん」オーナー。作家。著書に「時の歩みに錘をつけて」「アメリカの空」など。1971年に渡米。バスボーイ、皿洗いなどをしながら世界80カ国を放浪。