日本クリニック「医療の時間」第8診
今年もあと2カ月ちょっとで終わりですね。ホリデーシーズンにはいつもよりも出費が増えたり、パーティー参加が増えたりで気づいたら洋服がきつくなってしまうことも…。1年の疲れが出る時期でもあるので、体調管理はしっかりして年末と年始を迎えたいものです。ところで、栄養補給のためにサプリメントは取った方がいいの? とよく聞かれます。もし何か治療中でどうしても食べ物ではなくプラスの栄養がほしい時には安全性の高い、自然なサプリメントを薦めています。しかし体調不良もなく、ただ健康になりたいという方にはなるべく食べ物からの栄養摂取を薦めています。しかも安全性の高い、自然なサプリメントは高いですよね。では基本的に体力維持、もう少し体力をつけたいときに、なるべく季節のもの(値段も季節はずれより安い)を取るとすれば何を食べたらいいのか? 効果的な身近な食べ物をいくつかご紹介します。ただ、これを食べれば絶対に元気になるというわけではなく、バランスなので他の食べ物ともうまく組み合わせてくださいね。
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☆リンゴ:1日1個は食べましょうというくらい体のお掃除をしてくれる果物でもあります。坑酸化作用があるだけではなく、食物繊維もたっぷり(リンゴ1個約130グラムには4グラムの食物繊維が含まれています)。心臓にも良いといわれるのは、LDL(悪玉コレステロール)値が高いのを下げる作用があるという研究結果が出ているから。1日1/2個でも効果があるそうです。またリンゴの皮には心臓疾患予防ダイエットに効果があるといわれているフラボノイドも含まれているのでなるべく有機産を食べてくださいね。ちなみにフラボノイドは炎症予防や痙攣(けいれん)予防にも効果があります。
☆ホウレンソウ:これも冬が旬ですね。栄養素が高い時にたっぷり食べましょう。ただシュウ酸が多いので、結石がある人は注意してください。鉄分、ビタミンAとCがたっぷりなのでこれまた心臓疾患予防によく、がん予防に必要な坑酸化作用も豊富。脳の機能にもホウレンソウパワーが効果的。
☆ピーマン(赤・黄・緑):ビタミンCがほかのどんな食べ物よりも多いといわれています。頭のてっぺんから足先までに良い食べ物ともいわれています。坑酸化作用があり、目にも良い(ビタミンCとベーターカロテン)、心臓(ビタミンB6と葉酸)、肺(ビタミンA)、リウマチ(ビタミンC)。しかも赤や黄のピーマンは生でも甘くておいしいのでサラダにぴったり。
☆タマネギ:タマネギには胃腸や心臓疾患に効果的な栄養素が豊富です。特に二硫化アリルプロピルとクロムが血糖をコントロールし、高いのを下げる効果があります。ただこれも毎日少しずつ食べないと効果なしですが。余談ですが、祖母の叔母は化学者だったのですが、紫タマネギを煎(せん)じて、糖尿病に効く薬を作ったそうなんです。
☆ロメインレタス:レタスよりもロメインが良い。というのはビタミンCと葉酸含有量がとても多いのです。(レタスのビタミンCが2ミリグラムのところ、ロメインは11ミリグラム:葉酸はレタスが14マイクログラムのところ、ロメインは64マイクログラム)。いつもレタスを買うときに味や新鮮度で選んでいたのですが、ちょっと栄養素が気になり調べてみました。
☆大豆:豆腐に限らず、納豆などの大豆製品はおなじみの健康食品。コレステロールや飽和脂肪酸を含まず、良性タンパク質が豊富です。そのため心臓疾患予防にも効果的。小豆や黒豆もとても体に良いので、ごはんにまぜて炊くなどして取り入れてください。
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こうやってみると、普段食べているような食品が多いと思いませんか? できるだけ季節物、農薬を使っていないもの、地産地消を意識して買い物をしてみましょう。体だけではなくて、頭の整理、心のお掃除にもなりそうですよ。 (次回は11月27日号掲載)
〈今回の執筆者〉宮下麻子先生/Asako Miyashita, MS, RD
日本クリニック/15W 44th St. 10FL. NY,NY 10036
米国登録栄養士。コロンビア大学教育大学院で栄養教育学修士課程卒業。日本ではマクロビオティック料理学校のリマクッキングスクール師範科を修了。米国栄養士協会会員。専門は体重マネジメント、予防栄養学、スポーツ栄養学、摂食障害など。