日本クリニック「医療の時間」第35診
皆さんも知っての通り、運動に欠かせない大事な要因として、運動の強弱、頻度、スタイル、時間などがありますが、よく忘れられている要因として、運動するタイミング(食前/食後など)も大切な要因です。よく知られているように、中性脂肪が高いと心臓病のリスクを高めます。しかし、では中性脂肪が低ければ大丈夫といえば、そうでなく、高脂肪の食事の摂取後に、中性脂肪が一時的に上昇するようであれば、やはり心臓病のリスクがあることが分かっています。
米国スポーツ医学学会が先月発表したニュースでは、京都府立大学(応用生命科学)の助教授で、米国スポーツ医学学会のメンバーでもある、青井渉医師による研究結果が取り上げられていて、非常に興味深い内容となっていました。
青井医師によると、高脂肪の食事を取る1時間前と食後1時間の運動による効果を調査するため、男女それぞれ、ほどよい早さの2キロのウオーキングと、2〜3キロのダンベルを使用した軽めの運動を15分行わせたところ、食後の運動においては、経過2〜6時間で、著しい中性脂肪の低下が見られ、さらにこの低下は低比重リポタンパク(VLDL)と悪玉コレステロールの値にも見られました。ただし、この中性脂肪値の低下は、食事で摂取された脂肪分にほとんど影響されていませんでした。この結果から運動は、食事で摂取した脂肪よりも、肝臓での中性脂肪を分解することが分かります。
この研究結果より、食事1時間前の運動でも中性脂肪分解は見られましたが、食後の運動と比べるとその効果はかなり低い結果となりました。ということは、どうせ運動するなら最高の効果が得られる、食後のタイミングで行いたいですね。Let’s Exercise after your meal !!
(米国スポーツ医学大学の研究報告から)
(次回は4月27日号掲載)
〈今回の執筆者〉ケン・ヴィターレ医師/Kenneth C. Vitale, MD
日本クリニック/15W 44th St. 10FL. NY,NY 10036
ペインマネージメント、スポーツ医学認定医。