〈コラム〉法律の専門家がお答えします

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今週は「シンデル法律事務所」

今後の移民法改正に対する期待(H―1Bビザ)その1

オバマ氏の再選で幕を閉じた大統領選後、共和党の敗北の一因として、党が厳しい移民法政策を固持したことによる、ヒスパニック系の投票数の伸び悩みを指摘する声が上がりました。これを背景に、米国政府が、移民法改正の法案に取り組もうとする姿勢をみせるようになって来ました。長い間、米国に住む移民の方々は辛抱強く、移民法改正を待ち望んでいるのですが、私は、今回こそオバマ大統領と米国議会が前向きな移民法改正に取り組んでくれるものと期待しています。つい先日、移民法改正の切り口となりうる法案が、オリン・ハッチ(共)ユタ州上院議員ら4人の議員により提案され、議会へ提出されました。私はこの法案の少なくても一部が可決され、非移民ビザが取得しやすくなることを期待します。非移民ビザシステムの改善は、各産業の柱を担う企業が、優秀な非移民就労者を獲得することにも繋がると思っています。
現在、米政府は米国企業に雇用されるコンピュータープログラマーやその他専門職就労者に与えられるH―1Bビザの年間発行数に上限枠を設けています。この上限枠のため、H―1Bビザは年間6万5000ビザしか発行されません。新法案には、この年間上限枠を11万5000ビザに増やし、また高い技術力や高い教養を持つ外国人への永住権枠を増やす姿勢が見られます。以下、ハッチ上院議員のオフィスが公表したImmigration Innovation Act of 2013の概要(H―1Bに関する抜粋)を紹介します。
◆H―1B雇用ベース非移民ビザ(H―1Bビザの年間上限枠を6万5000から11万5000へ引き上げ)
経済状況や雇用マーケットに適した上限枠が設けられるよう、H―1Bの上限枠をエスカレーター式に上げ下げするシステムの確立を考案。その中で、最上限枠を30万ビザとし、ビザ上限枠がそれ以上を超えないようにする。毎年提出されるH―1B申請書のボリュームに合わせ、適切なビザ追加枠を設けられるよう、以下のシステムを提案:
● 申請開始から45日までに上限枠に達した場合→追加枠2万ビザ
●申請開始から60日までに上限枠に達した場合→追加枠1万5000ビザ
●申請開始から90日までに上限枠に達した場合→追加枠1万ビザ
● 申請書受付開始から275日後までの185日の期間中に、上限枠に達した場合→追加枠5000ビザ
修士号以上の学位を持つ専門職就労者のH―1B発行上限枠(現在2万の上限枠)をなくし、H―1B保持者の配偶者にも就労許可を与える。
※こちらあくまでも法案段階ですのでご注意ください。 (次回4月13日号掲載へ続く)

(「WEEKLY Biz」2013年3月9日号掲載)
sindel_faceup〈今週の執筆者〉 弁護士 デビッド・シンデル(David S. Sindell – Attorney at Law) NY、NJ州公認弁護士、NY弁護士会会員 アメリカ移民法弁護士協会会員 1994年NYマンハッタンにシンデル法律事務所を設立。移民法を専門に扱う。以後1万件以上のビザ、永住権等の取得実績を誇る。2011年4月にはCA州シリコンバレーにもオフィスを設立。NY、CA、日本を中心とした法律セミナーの多数開催をはじめ、多数の日系情報誌にも法律記事を連載中で、在米日本人を中心に広く好評を得ている。米国在住の日本人とも交流が深く、米国を拠点に直接日本語で法律相談にも応じている。 〈今週の執筆事務所〉シンデル法律事務所 7 W. 36th St., 14Fl. NYC Tel:212-459-3800 Email:slony@sindelllaw.com Web:www.sindelllaw.com
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