今週は「シンデル法律事務所」
B1 in lieu of H1B ビザ
カテゴリーの存続について その3
目的
B1 in lieu of H1Bビザカテゴリーは、外国企業が米国企業へ短期間中に専門的な業務を行う専門職従事者を派遣する際に発行されるビザとして設けられたカテゴリーです。外国企業の雇用主は、このビザカテゴリーを利用することにより、通常、H1―Bカテゴリーに該当する専門職従事者のビザ取得時に必要とされている、移民局での複雑な申請過程に対する労力と、高額な申請費用の出費を回避することができます。このビザカテゴリーなしには、専門職従事者を米国会社へ短期派遣することできない外国企業の雇用主もいらっしゃるでしょう。B1 in lieu of H1Bビザカテゴリーは、外国企業の中でも特に、米国に子会社や系列会社を持たないため、米国で専門職従事者のH―1Bビザの申請をすることが難しい外国企業がオプションとして考慮できるビザです。また、H―1Bビザの発行がCAP枠に到達した後の暫定期間中に、専門職従事者のサービス提供が必要となる際にも利用が考えられるビザカテゴリーです。もちろん、B1 in lieu of H1Bビザカテゴリーは、H―1Bの代替ビザとしての利用は適切ではありませんので、このB―1ビザで専門職に従事する専門職従事者が、米国での専門業務に長期間従事することは適切ではありません。
B1 in lieu of H1Bビザが年間いくつ発行されているか、正確な資料の報告はありません。米国国務省は、B―1ビザの発行数の統計を報告していますが、その全体数の中で、いくつのビザがB1 in lieu of H1Bに該当するか等の内訳の記録はなく、国務省の統計記録の中では、B1 in lieu of H1Bビザも、B―1ビザとして記録されています。推定発行数から判断すると、B1 in lieu of H1Bビザカテゴリーの利用は控えられている傾向があるようです。多くの米国領事館では、B1 in lieu of H1Bビザの発行に消極的な態度を取っており、一般的に、B1 in lieu of H1Bビザの発行は不認可というケースが多くみられます。しかし、弊社では、B1 in lieu of H1Bビザが日本で認可されたケースも経験しています。今後、B1 in lieu of H1Bビザカテゴリーの必要性をきちんと記録していくことが重要であると共に、このカテゴリーを利用してビザを申請する方々は、B1 in lieu of H1Bビザの必要性と専門職従事者の短期業務内容について、詳しく状況を説明することが必要となります。
(次回は8月第2週号掲載)
(「WEEKLY Biz」2013年7月13日号掲載)
〈今週の執筆者〉 弁護士 デビッド・シンデル(David S. Sindell – Attorney at Law) NY、NJ州公認弁護士、NY弁護士会会員 アメリカ移民法弁護士協会会員 1994年NYマンハッタンにシンデル法律事務所を設立。移民法を専門に扱う。以後1万件以上のビザ、永住権等の取得実績を誇る。2011年4月にはCA州シリコンバレーにもオフィスを設立。NY、CA、日本を中心とした法律セミナーの多数開催をはじめ、多数の日系情報誌にも法律記事を連載中で、在米日本人を中心に広く好評を得ている。米国在住の日本人とも交流が深く、米国を拠点に直接日本語で法律相談にも応じている。 〈今週の執筆事務所〉シンデル法律事務所 7 W. 36th St., 14Fl. NYC Tel:212-459-3800 Email:slony@sindelllaw.com Web:www.sindelllaw.com
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