〈コラム〉法律の専門家がお答えします

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senmonka

今週は「シンデル法律事務所」

CBPによるカナダとの
国境警備体制は適切か

カナダとの国境付近における最近の政府による国境警備の実態について、現状を紹介いたします。
ワシントン州フォークス市で最近、2人の高校生が国境警備員に身柄を拘束されました。2人が卒業生総代、そしてレスリングチームのエースということもあり、メキシコに強制送還されないよう、何千人もの地域住民がアピール集会に集まりましたが、結局強制送還を余儀なくされました。
あるエクアドル人(22歳)の事例です。9年間米国で生活している彼の父親は、医療器具の配送の仕事で国境南の国道87号線の検問所で身柄を拘束され、エクアドルへ強制送還されました。観光ビザで米国に入国後、不法滞在が続いていたということです。父親の強制送還後、彼の米国での生活は一変、借金だけが残りました。なお、米国に残された家族の半分は合法的に米国に滞在しているそうです。
次に、カナダへの移住を希望する家族を支援している在バッファローの団体「VIVE」のエグゼクティブであるBrian氏による話を紹介しましょう。2008年の1年間で、カナダ移住のために、カナダで移民審査官との面接を待っている間に、国境警備員や移民税関執行局(ICE)のいずれかによって、20〜40家族が逮捕されたということです。つまり、政府職員が米国から自主的に出国しようとカナダへの移民申請プロセスの最中にある人達の身柄を拘束しているのです。国境警備局員のCotsworth氏の見解では、カナダでの書類申請など一切関係なく、すべての人を平等に取り締まっているということです。しかし、彼らの活動の源は、我々が支払っている税金であることは言うまでもなく、それら使い道について未だ疑問が残ることは否めません。
最後の事例ですが、ある日、バーモントで雪道を歩いていたVicknell氏とその妻は、木陰から突然現れた国境警備局員に銃を向けられ、立ち止まるよう指示されたそうです。警備員は当時、麻薬所持者やその密輸者の取り締まりのために国境付近を警備しており、2人に身元確認を迫ったといいます。その時の恐ろしい心境をVicknell氏は生々しく語っていました。
専門家の多くは移民法システムが改善されない限り、このまま社会の脅威とならない人達に対する取り締まりや逮捕は集中して続くだろうと予想しています。ある国境警備職員も、「社会の脅威とならない人達には合法的なステータスを与え、より効果的な国境警備策を講じるべきである」と述べています。
このように、いくつか事例や各関係者の見解を抜粋し紹介しましたが、現在の国境警備に対する政府の施策および大義名分に対しては議論の分かれるところであり、実際、社会にとって脅威とならない不法移民対策についても大きく議論が分かれます。そのような中、現政府の国境警備強化は引き続き行われています。皆さんも不意に道端や公共の乗り物の中で、国境警備局員から身元確認を求められることがあるかもしれません。
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(「WEEKLY Biz」2010年5月8日号載)
sindel_faceup〈今週の執筆者〉 弁護士 デビッド・シンデル(David S. Sindell – Attorney at Law) NY、NJ州公認弁護士、NY弁護士会会員 アメリカ移民法弁護士協会会員 1994年NYマンハッタンにシンデル法律事務所を設立。移民法を専門に扱う。以後1万件以上のビザ、永住権等の取得実績を誇る。2011年4月にはCA州シリコンバレーにもオフィスを設立。NY、CA、日本を中心とした法律セミナーの多数開催をはじめ、多数の日系情報誌にも法律記事を連載中で、在米日本人を中心に広く好評を得ている。米国在住の日本人とも交流が深く、米国を拠点に直接日本語で法律相談にも応じている。 〈今週の執筆事務所〉シンデル法律事務所 7 W. 36th St., 14Fl. NYC Tel:212-459-3800 Email:slony@sindelllaw.com Web:www.sindelllaw.com
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