今週は「シンデル法律事務所」
東日本大震災による影響を
受けた日本人への救済措置
2011年3月11日に東北を中心に発生した未曾有の大震災につきましては、弊社でも大変心を痛めております。被災された方、また被災により影響を受けている方々また企業には心からお見舞い申し上げます。
さて、今回の大震災を受け、米国移民局は震災により影響を受けた日本人に対して一時的な救済措置を発表しました。下記にいくつか例を紹介しますが、救済措置を受けるには様々な条件もあり、実際に震災の影響を受けていること等、ケースによっては各種証明書類が必要となります。
⒈米国内での非移民ビザの延長またステータス変更申請を現ステータスが切れた後でも認可の対象とする。また、延長やステータス変更を行うことなく日本へ帰国予定であるにもかかわらず、震災の影響で帰国できないままビザステータスが切れているか、切れかかっている場合、特定の条件の下、B―1またはB?2ビザを申請することにより、滞在延長を認める場合もある。
⒉米国への臨時入国許可証が認められているにもかかわらず、震災の影響で日本へ帰国できず、臨時入国許可証の期限が切れたか、切れかかっている場合の許可証の延長を認める。最終判断は地区移民局の審査官の裁量によるが通常6カ月の延長となる。
⒊米国永住権申請の審査中に取得が可能な米国出入国許可証保持者に対し、その期間の延長を認める、また当申請の特急審査を行う。
⒋特定の法律的条件の下、F?1ビザの学生に対し、震災の影響で授業料の支払い等経済的困難が生じている場合、キャンパス外での就労許可証の特急申請を認める。最終的には学校のDSO(留学生アドバイザー)からの推薦状など、各種書類が必要となるが、少なくともフルで一学年を終了していること、学業成績が良く、フルでの授業履修状況であること、経済的苦難を避けるための就労が必要であることなど、様々な条件がある。
⒌米国市民および米国永住権保持者の近親の家族として提出される米国永住権申請の特急審査を行う。ただ申請カテゴリー毎に割り振られている年間発給上限数が有効である場合に限る。
⒍就労許可証申請の特急審査を行う。
⒎グリーンカード等米国への移民であることを示す書類を保持することなく、米国国外で待機状態となっている方々への援助を実施する。特に移民局出張所が無い場所であれば、移民局また国務省が対応する。
⒏ビザ免除プログラム(VWP)で米国に入国している場合、一定条件の下、最寄りの地区移民局にて救済措置を受けることができる。また、空港にいる場合、空港内の米国税関国境保護局(CBP)へ連絡することで救済措置を受けられる可能性がある。法律上、VWPで入国した個人の滞在延長を認める法律はないが、震災の影響で日本へ帰国できない相当の理由があれば出発日のリクエストができ、許可されれば罰則なく最大で30日の滞在延長が可能となる。
以上、ご自身が該当する場合、できる限り移民局を納得させられるだけの証拠と説明を用意することが何よりも大事になります。
(次回は5月14日号載)
(「WEEKLY Biz」2011年4月9日号載)
〈今週の執筆者〉 弁護士 デビッド・シンデル(David S. Sindell – Attorney at Law) NY、NJ州公認弁護士、NY弁護士会会員 アメリカ移民法弁護士協会会員 1994年NYマンハッタンにシンデル法律事務所を設立。移民法を専門に扱う。以後1万件以上のビザ、永住権等の取得実績を誇る。2011年4月にはCA州シリコンバレーにもオフィスを設立。NY、CA、日本を中心とした法律セミナーの多数開催をはじめ、多数の日系情報誌にも法律記事を連載中で、在米日本人を中心に広く好評を得ている。米国在住の日本人とも交流が深く、米国を拠点に直接日本語で法律相談にも応じている。 〈今週の執筆事務所〉シンデル法律事務所 7 W. 36th St., 14Fl. NYC Tel:212-459-3800 Email:slony@sindelllaw.com Web:過去一覧