何もしない日も一日 何かを実行するのも一日
初めまして、中島敏行と申します。僕がいつも大切にしている言葉、自分が自分らしくいられる心の中にある言葉の数々を、6回にわたりエピソードを交えてお話していきたいと思います。
第1回は、自分の原点。いろいろな場面や人との出会い、教養を身に付けたりなど、ターニングポイントは人それぞれですが、僕の場合は居食屋「和民」を展開するワタミ株式会社の採用試験の時に訪れました。
当時の和民は首都圏内に店舗展開し、株式を店頭公開したてで、本社は雑居ビルの一室にありました。社長を含め社員は皆若く、元気で活気のある印象を受けていました。最終面接の時、渡邊美樹社長から「君はこれまで何も教養を身に付けてこなかったんだね。このままでは君の人生は変わらないよ」と、初対面にもかかわらず見透かされていました。当時36歳だった社長はオーラと勢いが強烈で、そんな社長から僕に向けて放たれた言葉が衝撃的だったのと同時に、「もうこの会社での内定はないだろう」と半ば諦め掛けていました。すると「よしっ! 僕が君を何とかしよう。だから必死に付いて来なさい。“3年間は死に物狂いで勉強します”とここに一筆書きなさい」と言われ、この会社でなら僕はやり甲斐を持って邁進できるかもしれないと感じ、誓約書にサインをしました。「一緒に頑張ろうよ」と社長から両手を差し出され、固い握手を交わしました。
「何もしない日も一日、何かを実行するのも一日。時間は“限りあるごまかしの効かない大切な自己資源”。だから内容のある、実りのある一日を過ごそうよ」と社長から言われた僕は、雷に打たれたような衝撃を受けたことを今でもはっきりと覚えています。そしてこの言葉を受けて僕は生活を一変し、新生活のスタートを切りました。
〈profile〉 中島敏行(なかじま としゆき) 肥後ばってんラーメン オーナー、Magokoro Inc.社長。千葉県出身。経営マネージメントを学び、1996年ワタミ・フードサービス(株)(現WATAMI)に入社。創業者である渡邊美樹氏(現会長)から直接指導を受け、居食屋和民の店長、スーパーバイザーを経て03年W&E Hospitality Inc.へ転職のため渡米。05年に肥後ばってんラーメン店長に着任、10年独立。