円安の光と影
昨年10月末に79円台だったドル円相場はアベノミクスの影響から、今年に入り20%以上の円安となり一時は100円台の大台を突破、日経平均株価も9000円台割れから15000円超えまで1・6倍以上の上昇となりました。
約1年の間に日本経済は大きく変化し、2020年オリンピック東京開催決定も手伝って、先行きに明るいものが見えてきました。
ところがクレディスイスは、先ごろ発表された「2013年度グローバル・ウェルス・レポート」の中で、昨年6月から今年6月までの間に、日本国民は5・8兆ドルを失い、前年度のレポートでは360万人(米国に次いで世界第二位)いた100万ドル以上の純資産を持ついわゆる富裕層が130万人消えた、とレポートしました。
5・8兆ドルとは実に国民の富の20%に相当します。円安株高はアベノミクスの恩恵である、と安倍政権は自画自賛していますが、見方を変えると5・8兆もの「ドル」換算の富が、まさに円安によって激減したのです。
日本にいて円だけの生活をしていると実感がわきませんが、米国で生活している日本人にとっては、円の対ドル相場は間違いなく生活に直結しています。収入を円で得ているのか、ドルで得ているのかで、円高が円安に振れることにより実際の収支が大きく違ってくるからです。具体的に言うと、1年前には80万円あれば1万ドルの価値があったものが今では100万円近くないと1万ドルの価値になりません。
株式相場においてもドル建ての日経平均は1年間で30%しか上昇していません。しかも今年5月に節目である150ドルを付けて以降調整が続いています。ドル建て日経平均の動向は海外投資家が投資をする際の指針となっているため、円建ての動向と共にドル建ての動きもチェックすることが必要です。
(次回は12月第2週号掲載)
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