人民元と基軸通貨
先ごろ中国人民銀行が、「人民元はこれから30年をかけてドルに代わる基軸通貨になるべきだ」という報告書を出しました。基軸通貨とは、国際的な決済を一手に引き受け、各国の外貨準備として世界中で通用する通貨のことであり、もちろん現在は米ドルがその役目を担っています。
とはいえ、米ドルが基軸通貨になったのは第二次世界大戦後のことで、それまでは英国のポンドがその役目を担っていましたが、1944年のブレトンウッズ協定以後、ドルが金ドル本位制とともに基軸通貨となりました。71年のニクソンショックにおいて金本位制は崩れたものの、米国の圧倒的な経済的、軍事的パワーの裏付けとして、変動相場制に移行後も、ドルが世界中の財布を押さえることとなっています。
基軸通貨には絶対的な信用が求められるのは当然ですが、世界の貿易の決済を押さえることで、圧倒的な情報がすべて米国の金融機関に集められ、あるいは世界各国が外貨準備として米国債を保有することで、米国の財政を保証して貰うこととなり、米国にとっては、絶対に手放せない最大の武器となっています。
ヨーロッパ諸国がユーロを導入したのも、米国による経済的な世界制覇に対抗するためであり、イラク戦争でフセイン政権が米国に倒されたのも、イラクが原油取引の決済をドルからユーロに変更しようとし、米国の逆鱗に触れたためと言われています。
中国は3兆ドル以上の外貨準備高を保有しており、米国債に多額の投資をしています。また、中国は自国の経済を守るために、「通貨バスケット制」という管理為替制度を採用しており、少しずつ自由化を進めてはいますが、果たして人民元がドルに代わる日が来るのでしょうか?
(次回は7月13日号掲載)
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