帰国時には英語より日本語のほうが重要
「在米親子にアドバイス」日米の教育事情
米日教育交流協議会(UJEEC)・代表 丹羽筆人
現地校の新年度開始に向けて、多数の子どもたちが日本からやって来ます。保護者の皆さんは、まず、お子さんが現地校になじめるかどうかを不安に思っていることでしょう。一方で、英語力が伸び、日英両語を使いこなすバイリンガルに育ってほしいという期待もお持ちでしょう。
英語力の伸びについては、個人差があり、在外年数や在外生活開始年齢、事前の英語学習状況などによって大きく異なります。ただし、一般的には、在外3~5年での大きな伸びは期待できませんし、在外生活開始年齢が上がれば上がるほど、ハードルも高くなります。幼稚園や小学校低学年で来た場合には、大きく伸びたように感じることも多いのですが、ボキャブラリーや表現力は同学年並みですし、帰国後に忘れてしまうのも早いので、学年相応の学習を継続し、英語力を保持せねばならないのが実情です。小学校高学年や中学、高校で来た場合には、英語に慣れるまでに時間がかかりますし、現地校の学習内容も高度なので、宿題をこなすだけにも時間を要する子どもも目立ちます。
このように、小学校高学年以上で来た場合には、現地校での英語の学習に苦労することも多いですし、一方で、帰国後に進学する学校のことも考えねばなりません。中学や高校入試においては、国内生と同様の入試を行う学校が目立ちますし、入学後は、国内生とともに学ぶことになるので、同学年の国内生と同様な日本語での学力が求められます。一方で、英語力を重視した試験を行う学校もありますし、英検の合格級やTOEFL、TOEICなどのスコアを選考基準とする学校もあります。しかし、特に3~5年で帰国する場合には、英語力でアドバンテージを得ることは難しいことも多く、このような試験のみに絞って対策をするには注意が必要です。
現地校は公教育なので、極力休まず通学することが大切です。成績も良いに越したことはありませんが、合否の決め手となる学校はごくわずかです。あまりプレッシャーをかけることなく、のびのびと通学させてあげたいものですね。
(写真提供:名古屋国際中学校・高等学校)
【執筆者】にわ・ふでひと 河合塾在職後に渡米し、北米の補習校・学習塾講師を歴任。現在は、「米日教育交流協議会(UJEEC)」の代表として、「サマー・キャンプ in ぎふ」の企画・運営、河合塾海外帰国生コース、名古屋国際中学校・高等学校、名古屋商科大学の北米担当などを務める。他にデトロイト補習授業校講師(教務主任兼進路指導担当)
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